フォードの8Dはどんな問題解決手法?

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皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。

このブログは、問題解決のためのフレームワークや手法、ツールをご紹介していますが、今回はFord社で開発された8Dモデルに焦点を当ててみたいと思います。

ステップごとに、何をするべきかをまとめておきましたので、あなたの問題解決にお役立てください。またところどころ、TBP(トヨタ・ビジネス・プラクティス)からの補足を入れてありますので、問題解決により効果的な8D考察になっていますよ。

8Dとは

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この8DのDはDisciplineのDです。

Disciplineは「しつけ」とか「自制心」というのが一般的な訳ですが、Cambridgeの辞書によれば

a subject or a particular type of work

ということで特定の分野や学科というような意味合いがあるようですね。

きちんと鍛錬して得たもの(=しつけ)、というという感覚を含む単語なのかなと思います。5Sにも「しつけ」が入ってますし、問題解決にそういった姿勢が必要と言われれば、なんとなく納得もしますね。

8Dモデルは、品質に関する問題解決のアプローチであり、自動車業界ではかなり一般的に使用されているようです。

特に自動車メーカーに部品を卸していると、お客様(自働車会社)から、使用するように指導されることも多いのではないかと思います。

現在では、ヘルスケア、小売、金融、政府、他の製造業で広範囲に使用されているとのこと。

ただこの手法の生まれは、どうやら1980年代ということで、日本のQC活動の問題解決ステップから影響を受けたことは明らかですね。

Ford社で、慢性的な品質問題に悩まされていたことから考えだされたようで、「必要は発明の母」といった感じです。

8Dの進め方

ではさっそく8D問題解決プロセスを見ていきたいと思います。

8D適用場面

まず適用場面ですが、

  • 安全性または規制の問題が明らかになった
  • お客様からの苦情
  • 予想よりも高い故障率が出ている
  • スクラップ、パフォーマンスの低下、またはテストの失敗が許容できないレベルで存在する

のような品質問題が発生した際にはいつでも、というところでしょうか。

先のFord社での誕生逸話のように、何か根深い品質問題がある時などは、こうした体系的なアプローチが有効です。

8Dのステップ

では次に8Dの個々のステップを見ていきます。

8Dと言いながら、9つあるステップ(笑)

8Dステップ

D0:計画

発生した問題を解決するための計画を立て、前提条件を決定します。適切なプランニングは、よりスムースな問題解決の進行につながります。

開始する前には、SME (Subject Matter Expert=そのトピックの専門家)に相談してみましょう。

SMEからフィードバックを受け取った後、問題の症状に関する情報を収集していきます。状況によっては緊急対応アクション(Emergency Response Action:ERA)も必要になりますね。これにより、お客様に不良が流出してしまうのをとりあえず防ぐこともできます。対症療法です。

D1:チームを結成

製品やプロセスの知識を持つ人々からチーム作ります。クロスファンクショナルチーム(Cross functional team:CFT)であるべきです。問題の発生したプロセスに関わる部門から、なるべく全員参加が望ましい。

リーダーは、8Dプロセスを知っており、チームをリードできる人物です(ただし、調査中の問題について常に最も知識があるとは限りません)。

また海外の問題解決では、「チャンピオン」または「スポンサー」といって、プロセス変更に最終的な決定を行う人物を、この段階ではっきりさせる傾向があります。あとでぐちゃぐちゃしないためにも、これは見習った方がいいと感じますね。

チームには適切な準備も必要でしょう。基本ルール(ground-rule)を設定し、スコープについても話し合っておきましょう。

D2: 問題を定義する

問題に関して、誰が、何を、どこで、いつ、どのようにして、どのくらいの、いわゆる5W2Hで明らかにします。

現状の悪さ加減を、数値データで語る定量化(quantification)も重要です。

問題がきちんと数量化・言語化出来れば、目標もこれに応じて記述することができます。この辺はシックスシグマのDefineのところでもお話しましたね。

また8Dでは次のステップで、「暫定封じ込め作戦」を行うため、特性要因図や付随するなぜなぜ分析もここで行うことが推奨されています。

D3:暫定封じ込め作戦

暫定封じ込めアクションの実行と検証の段階です。緊急対応アクションともいうのでしたね。

お客様をさらなる問題から守るため、封じ込めアクションをまずは実行。

当然こちらは対症療法ですから一時的なもので、通常永久的是正措置(Permanent Corrective Action :PCA)が実行された後に不要となります。

医療で言えば、患者の出血が激しいので、まずはそれを止めてから根本的な処置に移るのと似ていますね。

こういう時、英語でも「バンドエイド」という表現を使いますが、これによりお客様からの更なるクレームが入ってくるのを防ぐこともできます。「出血」を止めないと死んでしまう(取引打ち切り)というのも、治療とよく似た考え方です。

D4:真因と流出ポイントを特定、特定、検証

こうして時間稼ぎをしている間に、真因の特定です。

可能性のあるすべての要因を特定します。要因の洗い出しには、特性要因図やCause & Effect Matrixが有効です。

ここでは、あいまいなブレーンストーミングではなく、すべての原因を検証または証明する必要があります。現場で行うなぜなぜ分析も効果的ですし、いわゆるシックスシグマのAnalyze(分析)で使われる統計ツールも役に立ちます。

またなぜなぜ分析を行う際には、不良が「なぜ発生したのか」と「なぜ流出(エスケープ)したのか」の2点に対して行うことが必要です。

このへん本家の8Dでは説明されていなかったりするのですが、適用を強くお勧めします。

D5:問題/不適合の永続的な解決策を選択して検証

前項で真因が見つかったら、それに対して永久的是正措置(PCA)を考えだします。

8DではFMEA(故障モード影響解析)を行うことが推奨されています。

またアイデアの幅を広げるには、以前ご紹介した「アイデア 7 ways」も効果的です。

先ほど流出に関しても、真因発見(なぜなぜ)の分析をしたはずですから、これがポカヨケを設置するヒントになっていくでしょう。

人を責めずに、仕組みに着目して問題解決することです。

D6:解決策の実施と検証

最善の是正措置(Corrective Action)を実施します。アイデア 7 waysの評価法や、簡易版であればクライテリア・マトリックスという方法もあります。

実行には、実行のためのアクションプラン(ガントチャート)が不可欠です。

誰が、何を、いつまでに、誰と行うのかを明確にしたプランを作成し実行します。すべての利害関係者に伝えておくことで、スムースに事を運ぶことができます。

また8Dでは、この実行の段階に、改善施策の有効性の検証を組み込んでいます。統計ツールで、本当に成果があったのかを確認することも必要になるでしょう。

またTBP(トヨタ・ビジネス・プラクティス)と同様、結果だけでなくプロセスも検証しておくと、同様のケースへのヨコテンも捗ります。

D7:予防策を講じる

管理システム、運用システム、慣行、および手順を変更して、この問題および同様のすべての問題の再発を防止します。

D7では、この8Dプロジェクトで達成された成功を、文書で保存・共有する作業を行います。これにより、同様の製品、プロセス、場所、または製品ファミリーでの問題を解決、あるいは未然に防ぐことができます。

D7のアクティビティは次のとおりです。

  • 問題予防のための同様の製品とプロセスのレビュー
  • 作業手順と指示の作成ならびに更新・周知徹底
  • 作業の標準化・実践
  • FMEAの更新
  • 管理計画の制定・更新と実行

D8:お祝い

いよいよ最後のクロージングに入ります。

チームの努力が認めれるような場面を作りましょう。これによりチームが、組織からも正式に感謝されていることを感じます。こうした感覚は、その後チームの皆さんに、更なるカイゼンアクションを取りたいと思ってもらう重要な要素になります。この時チャンピオンや、スポンサーと呼ばれる人の参加も欠かせません。

またここで、活動に対する個々のフィードバックを行うといいでしょう。TBPでは、お客様・個人の成長・会社という3つの視点での振り返りが求められていますしね。

D8のアクティビティは次のとおりです。

  • 将来参照するために8Dドキュメントをアーカイブ
  • 問題解決をより良くする方法について学んだ教訓を明文化
  • チームの皆さんで成功をお祝いする

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は、Ford社で生まれた。8Dという問題解決の手法をじっくり確認してみました。

このようにしてみると、問題解決型QCストーリーやTBPとも大きな違いがないことがはっきりします。

問題解決というのは、科学的なアプローチです。

問題をはっきりさせ、原因を探り、仮説を立てて実行し、結果を検証する。結果が良ければそのプロセスを再現できるようにし、結果が出なければまた原因を探りなおして同様のプロセスを踏む、といった感じですね。

これは当然シックスシグマのDMAICステップでも同じです。

それぞれのステップ中で、その時々の状態を見えるようにするために問題解決のためのツールを使用するわけです。いわゆるQC・新QC7つ道具的なものであったり、統計ツールであったり、その他さまざまなフレームワークやトヨタで考えだされたカイゼンツールであったりですね。

どの手法を使うかは、お客様との関係や、組織の決定によると思いますが、大事なことは結果が出るということ。

いずれの手法を使ったところで、正しくステップを踏めば結果が得られるようにデザインされていますので、状況に応じて選択されていくのがいいでしょう。QC・新QC7つ道具を、必要に応じて使用してください。

あなたの問題解決が、実りあるものになりまうように。

今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。

ではまた!

8Dの日本語の本、ないんですよね。

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