トヨタ A3の書き方 How to write A3 in Toyotya
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皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
レポートや報告書、なかなかどう書いていいかわからない、そんな悩みはないですか? 特に普段書き慣れていないと、めんどくさくて仕方ない、ということもあるかもしれません。
ただ、ビジネスにおいて、「情報共有」や「コミュニケーション」というのは、市場で勝ち残るためにも避けて通るわけにはいきませんよね。
改善活動においてもそれは当然のことで、ヨコテンしたり、標準化したりするのに、どんな形であれ残していくことは、組織としての成長のためにも、なくてはならない業務になります。
そこで今回お伝えするのは、改善活動で使われる、「A3」という書き物についてです。
ただの書き物を超えた、トヨタの「A3」がどんな要素を秘めているのか。ぜひぜひ皆さんのカイゼン活動にお役立てください!
トヨタ A3
A3、それはただの紙のサイズ。A3サイズは297mm×420mm。
でもトヨタでは違った意味を持っています。ずばりレポートであったり、レポートする行為そのものであったり。
このA3、海外でもずいぶん有名になってきています。それは「カイゼン」が「Kaizen」として、あるいは「Hoshin」が方針管理を表す言葉としてそのまま使われているのと同じように、このA3も「日本生まれ(Toyota生まれ)の画期的な改善ツールやMethodとして認識されてきている」からですね。
若干言葉が独り歩きしてしている感もありますが。
A3ってなんぞやというところと、実際にA3書くのに使われる英語ってどんなものがあるのか、について見ていきましょう。
トヨタのA3 一枚で伝える術
遠い昔、まだパソコンもコピー機なんかもない時代、すべての資料が手書きであったわけですよ。
そもそも量を書けない、簡潔にそして当然正確に伝えなくてはならない、そんな時代の要請から生まれたレポート技術、私はそんなふうに聞いています。
逆にあなたがレポートを受ける側である場合も、考えてみてください、部下がスーパーボリュームたっぷりの資料持ってきたら、読みたいですか?
私は嫌です。情報にも「5S」や、「JIT(ジャストインタイム)」の考え方を取り入れなくてはいけません。
要点、ほんとに大事なところだけ厳選して持ってきてほしい、そう思うはずですよね。
Manageする側は特に忙しくもあるわけで、その貴重な時間をムダなく合理的に使う知恵とも言えるでしょう。トヨタのA3は、一枚で正確に簡潔に伝える術なのです。
ちなみ海外ではA3はそのまま「エイ・スリー」で通じます。
Toyota A3 sheet
ちなみにこのA3、タイプとしては4つしかありません。レポートの様式を、仕事場で使うものって考えたら、そんなにいっぱいは無いですよね。
以下その4タイプですが;
- Proposal A3 提案型
- Problem Solving A3 問題解決型
- Status A3 状況報告型、そして
- Informational A3 情報共有型
です。
書く順番も、経験上だいたいこんな感じじゃないかと思います。
何か企画する、あるいは改善したいと思うところがあって「提案型」ではじまり、問題解決やProject遂行、ないしは完了で「問題解決」を使う、上司からの「あれどうなってる?」的な問いかけに対する「状況報告タイプ」があって、最後の「情報共有」は活動を記録し、シェアするの報告書って感じになります。
トヨタ A3 書き方
定義すると、以下のようになります。
Can Understand Whole Picture at First Sight.
A3 is defined as, a one-page story to develop consensus,
to highlight a problem, propose solutions, share information, or just simply detail the status of a situation.
訳しますと、
「一目で全体像が理解できること。
A3は、コンセンサスを構築するための、1ページのストーリーと定義されます。
問題を強調したり、解決策を提案したり、情報を共有したり、単に物事の現状を詳しく説明したりするのに使います。」
という感じになります。
この「コンセンサスを構築するための、1ページストーリーであること」というのはかなり重要なポイントです。
だらだら書かず、簡潔に、しかしながら大切なことは網羅されていて、誰が読んでも瞬時に全体の情報を把握できるようになっていることが、よいA3 の条件になります。
例えば「問題解決型」の流れとしては、
- 状況背景(なぜこのテーマが選定されるのか、前提を共有する)
- 現状(そんな中、現在はこんな問題があるという情報)だったり、あるいは企画の目的だったり
- ターゲット、現状とそのGapを指し示して、真因を探る分析が述べられ
- 具体的にどうするというCountermeasure, action planが展開されて
- 結果を記載
- Follow upやRisk Management的な部分の情報を共有
です。
テーマによって必要な情報は変わっってきますが、
Carefully Screened Data & Information, with Logical Sequence.
慎重に取捨選択されたデータや情報が、漏れなく、論路的に展開されていること
というのがカギになってきます。
なにせ紙面は限られていますから、
- 本当に必要なデータや情報であるか
- 論理的に破綻していないか、その提案や問題解決は理屈がちゃんと通っているか
の真価が問われます。
書いてみると、その対象に対する知識や洞察、あるいは他社にも理解してもらえるような内容なのか、というのが浮き彫りになってきますよ。
後はよくある6W2H(Why, What, Who (Whom), When, Which, How and How much/many)を心がけて書くと、情報の漏れも少なくなるかなと思いますね。
A3 トヨタのmethod
私が上司にA3を提出する際、頻繁に起きたのが「書き直し」です。
当たり前ですけど、基本的には上司の方がビジネスわかっていますし、経験もあります。そして彼らには部下を育てる義務ある。
で、上司側からすれば、出されたDraftのA3みるとわかるんですね、「ここの理解が足りてない」とか「こうしたら、この人はもっと伸びるだろう」みたいなものが。
ですので、いろいろアドバイスもらって、書き直して、足らんところは勉強して手直しして、みたいな感じで、徐々に書き上げることで、書く側(もちろん上司側も)の能力的な部分を伸張させるプロセスになっていくわけですね。
つまり下記のようなことが期待できるのです。
- Coach & teach (Human Development) コーチする・教える(人間開発)
- To assign clear responsibility, ownership, & accountability 明確な責任感の醸成
- Get plan from subordinates 与えたタスクのプランを、はっきりさせることができる
- Mentor objectives & get things done メンターとして、物事を成し遂げ(させ)ることができる
- Align people & teams along common goals 共通の目標に沿って、人とチームを調整する
- Learn for effectiveness, efficiency & Improvement 有効性、効率性、改善について互いに学んでいく
なので、冒頭にも書きましたが、A3を書くというのは、単なる仕事における報告書を作るというのとは、一線を画しています。
部下を育て、課題や問題を遂行する上での重要な「コミュニケーションツール」として機能し得るのです。
まとめ
そんなわけで今回はA3というものについて焦点を当ててみましたが、いろんな意味でLeanを目指すのがA3というレポート術の意義かもしれません。
何度も言いますが、改善は「人づくり」ですからね。そしてひいてはOrganization Developmentというところにもつながっていくのです。
A3、書き慣れると楽しいですよ! 今はパワポなんかあれば、きれいに作れますしね。
ぜひチャレンジしてみてください。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。ではまた!

