自働化と自動化の違い イノベーションも模倣からだ
Autonomation.
どうも皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
工場を「じどう化」したいなー、という声、最近はよく聞きますね。
世は「IoT」とか「Smart Factory」、「AI」とか、工業系の情報を気にしていると、見ない日はないのでは? というくらい今全盛です。全部機械がやってくれるんなら、こんな楽なことはないのですが。
でもそれは、単純に機械を導入したいという「自動化」ですか? それともトヨタで言うところの、「にんべんのついた自働化」でしょうか?
海外の方と、工場改善活動を議論していると、時々「どっちの事言っているの?」と、首をかしげたくなることがあります。
そこで、今回は、「自動化と自働化の違い」に焦点を当てながら、「自働化」導入のコツなど、お話ししていきます。
この記事で、「自動化と自働化の違い」や、考え方が明確になるでしょう。
「自動化」と「自働化」とは?
まずは、この二つ、英語にしてみましょう。違いがよくわかります。
- 自動化:Automation。オートメーション。これは単純に、今やってる作業を機械にやってもらうようにすること。
- 自働化:Autonomation。オートノメーション。いわゆるトヨタの、“にんべん”のついた自働化とは、こちらのこと。
このAutonomationという、あまりなじみのない単語ですけれども、“Autonomous”という単語から来ています。これは、
「自主的な、自立した、自律性の」という意味で、自分自身で判断して自分をコントロールしているものを指します。
こちら「ネイティブと英語についてはなしたこと」さんのサイトからの引用ですが、AutomationとこのAutonomousの違いが、よくわかるまとめになってますね。
つまり、このAutonomationは、「自律型欠陥制御システム」と名付けることができます。 以前もお話ししました、トヨタ生産方式を支える2本の柱のうちの一つ、「自働化」とは、「自律型欠陥制御システム」であるわけですね。
こうしてみると、自動化(機械で大量生産)とは、字面が似ていても、全く違うものであることが、御理解いただけるのではと思います。
自働化と自働化の違いを詳しく
自動化(機械化)することで、大量のものが、速く、安く、少ない人数で生産できるようになりました。古くは蒸気機関の登場まで、さかのぼれる話ですね。「産業革命」というくらいですから、人類史上「革命的」な変化であったことは確かです。
例えば大きなもの。単純に、巨大な、そして重いものなど、作るのはとても大変。これを一度に大量に作るというのは、人力のみではほぼ不可能でした。これを実現したのが、「自動化」=機械化です。
ただ、人の動きを単純に機械に置き換えても、残る問題があります。それは、「機械は、なんか間違いがあっても、お構いなしにどんどん作る」です。
普通機械は、その行動が、いいか悪いかを認識できません。「何かおかしいな、作るのはやめよう」、という人間のような認知機能は備わっていませんからね。
止まることなく生産し続けるということは、不良品を大量に生産してしまうことがあるということです。
人の動きを機械にしただけの「じどう化」を「“にんべん”のない自動化」と言います。
これに対して、「“にんべん”のついた自働化」(Autonomation)は、簡単に言うと「機械に、この判断に当たる部分もやってもらう」ということなのです。
不良をつくらないため、何か異常があったときは、機械が自動的に止まってくれるようにする。これがあると、人間は、安心して、ほかの作業に従事することができます。問題があったときだけ呼んでね、ってなもんです。
「管理者」と「管理」のあるべき姿ですね。
自働化の歴史と具体例
このトヨタの「自働化」ですが古くは、 豊田自動織機という会社の創始者、豊田佐吉(とよださきち)さんという方まで、さかのぼることができます。
「人の役に立ちたい」と強く思う佐吉さんは、当時(幕末から明治~大正)、日本の主要産業であった、「はたおり機」に注目します。
豊田佐吉さんという方は、非常に優秀な発明家であったようで、多くの発明品を残されています。中でも「糸が切れると自動的に織機が止まる仕組み」というのが、この「自働化」の先駆けとして、とても有名です。
単純にすごいですよね。私も、「ポケットにティッシュが入っていたら、洗濯を止めてお知らせしてくれる洗濯機」とか欲しいです。目のつけどころがシャープですね。トヨタだけど。
さておき、異常の時に、機械が「自律的に」止まって、品質不良を防止する考え方は、「トヨタ生産方式」の「にんべんの付いた自働化」の原点です。
その後、こうした考え方が、自動車製造の現場にも受け継がれ、生産を支える「思想」として確立していったと言います。
自働化の事例については、Omronさんのホームページの製品紹介など、参照されてみるといかがでしょうか?
あとは、こんな本も出ています。
改善の極意は「盗むこと」です。いい結果さえ出るのであれば、どんどんほかの人・先人がやった知恵を拝、借してしまいましょう。
何も、一からやらなくたっていいんです。むしろ、うんうん唸っている時間を短縮するため、盗んだアイデアを利用してしまいましょう。
おそらく、微調整が必要です。そこに時間をかければいい。
そして、そうした「成功した事例」を多数、実際に適用することで、あなたの中の「改善センス」が磨かれていくはず。
そうしたら、きっとかなりオリジナルな改善「作品」(自働化とか)を、思いつくようになって行けますよ。
モデリングですね。
まとめ
そんなわけで今回は、自動化と自働化の違い、考え方や、活用の方法までお伝えしました。
ちなみに、TPSハウスの「自働化の柱」にくっついているのは、「あんどん」だったり「ポカヨケ」だったりします。
要は、「自働化」で自律的に機械が判断するとして、では異常をどう人間に伝えていくのか、その方法論が「あんどん」システムということですね。
あるいは、ポカヨケも、機械が異常を見つけて、「お知らせと強制的作業中断」を担っているわけです。
この辺も、良い本いっぱいです。ぜひ一度目を通されてみては、いかがでしょうか?
機械と人間の仕事を、とことんまで分けていくのも、トヨタのカイゼンの考え方ですが、このあたりも、いずれ記事にしていきたいと思っています。
自働化の意味することがわかれば、導入する場所や機能も見えてきます。ぜひ取り組んで見てください。
今回も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!