変化の中で生き残る これからのビジネス『ビジネスモデル2.0図鑑』
Business model 2.0
皆さんこんちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
さて最近は、私の中で「コロナと共に」、あるいは「コロナ後の世界」ということが大きなテーマになっています。
なのでここ最近は、これに沿ったテーマの記事を、ちょこちょこ書いているのですが。
今まさに、時代が変化するポイントに立っているなと感じます。
つい最近は、「ビジネスモデル2.0図鑑」という本を手に入れました。近藤哲朗さんという方の本ですが、100の革新的なビジネスモデルを、図鑑のように掲載して紹介している本です。会社というものが、社会や技術の変化とともに生まれてくるのだなーというのがよくわかる本です。
そんなわけで今回は、「変化の中で生き残る、これからのビジネスモデル 『ビジネスモデル2.0図鑑』」と題しまして、革新的ビジネスとその成功のカギについてです。
今回の記事で、新たな時代に向けたビジネスモデルの構築や、その見極めのアイデアをお持ち帰りください。事業のオーナーさんや、求職されている方にもヒントがありますよ!
「逆説の構造」が、当たるビジネスのカギ
「ビジネスモデル2.0図鑑」は、ビジネスにおける経営資源の4要素、「ヒト・モノ・カネ・情報」にカテゴリーを分けて、革新的なビジネスを紹介している本です。
見開き2ページで、左にそのビジネスのモデル、右側には内容の説明が書かれていて、読み物として、飽きない作りになっていました。
世の中の「天才」たちによる、新たなビジネスモデルという「ひらめき」を学べると、とてもいい図鑑です。
その中でも今回、私が最も紹介したいのは、本書の中で「逆説の構造」と記述されているところ。
この「逆説の構造」とは何かといいますと、要はいかに既存のビジネスとの「差異化」が図られているか、ということです。
著者の近藤哲朗さんは、対談の中で
一見誰もやらないようなことをやろうとするとき、そこには仕組みが必要になります。そこにビジネスモデルが必要になると思っています。これが僕の考えるクリエイティビティです。
と述べられています(「ビジネスモデルに革新をもたらす「逆説の構造」とビジネスモデル図解ー近藤 哲朗・小山龍介対談『ビジネスモデル・ビジュアライゼーション』」)。
具体的に言うと、「ふつうは「何屋さん(ここにビジネスが入る)」って○○だよね、でもこの会社はちがっていて、xxxなのが新しいんだよ」と言える、斬新なアイデアがあるかどうか、ということ。
例えば本書でも紹介されている、「俺のフレンチ」の場合。始まった当時、このビジネスモデルがすごかった点は、以下のように説明出来ます。
「普通フランス料理って、きちんと座って、時間をかけてコースメニューを食べ、代金も結構な値段だよね? でもこの「俺のフレンチ」は立ち食いスタイルで、料金もかなり庶民的なんだ、すごいよね!」という感じです。
確かに、フレンチが立ち食いというのは、かなりのインパクト。常識を覆すアイデアですよね。
近藤さんは、アイデアが斬新である=「逆説的」であればあるほど、実現も難しい代わりに、革新度も高くなると述べられております。
構築できれば、誰も簡単に手を出せなかった分、「一人勝ち」状況をEnjoyできる。
このように、本書で合計100個紹介されている、「新しいビジネスの形」は、読んでるだけで、心ワクワクさせるものになっています。
「逆説」はマーケティングマネジメントの基本的考え方
とはいえこうした「逆説的」という考え方も、決して新しいものではなく、マーケティングマネジメントの中では、基本的なものになります。それが「ポジショニング・ステートメント」と呼ばれるものです。
この「ポジショニング・ステートメント」とは、自分たちの会社・ブランド・製品・サービスが、ターゲットとしている市場の中の、特定のニーズをどのように満たしているかを、簡潔に説明したものです。
特に同業他社と比べて、自分達は「どう違うのか」、「なぜ選ばれる価値があるのか」ということを明確にしなければ、当然市場では勝ち残っていけませんよね。
「ポジショニング・ステートメント」は、マーケティングやブランディングの基本、「差異化」であり、「逆説」の追求でもあります。
ちなみに2011年の、Amazonの「ポジショニング・ステートメント」を見てみましょう。
For World Wide Web users who enjoy books, Amazon.com is a retail bookseller that provides instant access to over 1.1 million books. Unlike traditional book retailers, Amazon.com provides a combination of extraordinary convenience, low prices, and comprehensive selection (How to Write Market Positioning Statements – #Cornell360).
日本語訳ですが、
「本を楽しむWorld Wide Webユーザーのために、Amazon.comは110万冊以上の本への即時アクセスを提供する小売書店です。従来の書籍小売業者とは異なり、Amazon.comは、並外れた利便性と低価格、そして包括的な選択の組み合わせを提供します」
です。
ここで注目したいのが、
- For who; 誰のため(市場の特定のターゲット)
- What; どんなサービスを提供し
- Unlike; それが差異化されているポイントは何なのか(具体的な強み)
の3点。
上のAmazonの例は、ビジネスの根幹がしっかりかつ簡潔に記述されていて、とても力強い「ポジショニング・ステートメント」になっています。
「差異化」・「逆説的」というところも、Amazonのサービスは2011年頃まだ本当に斬新で、同業他社の追随を許さないものがありました。
今ではこうしたEサービスも、当たり前になってきていますが、動画配信、定期配達やKindle 含めた電子Bookのサービスなど、時代と共に常に進化し続けているあたり、Amazonさすがという感じがしますね。結局いまだ他社の追随を許していない、と思います。税金の話は気になるところですが(笑)
ビジネスモデルと、ビジネスの「寿命」
今、「時代と共に常に進化」というお話をしました。これはつまり、どんな革新的なアイデアのビジネスモデルも、いつまでも「新しいままではいられない」、ということ意味しています。
どんなに革新的でも、いつか必ず、分析されマネされていきます。
宿命です。
先ほどの「俺のフレンチ」の例で言えば、この形態は「いきなりステーキ」に模倣されました。このことは、「ビジネスモデル2.0図鑑」の中でも触れられています。
以前ご紹介した北野唯我さんの「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法」にも、「仕事のライフサイクル」という考え方が展開されています。
仕事やビジネスモデルのライフサイクルは、基本以下のようになります。
①斬新なアイデアで華々しくデビュー→②ユニークで話題性抜群・規模拡大、ぐんぐん伸びる→③ビジネスモデルが標準化され、分析・模倣される→④コモデティティ化(普通化)して生き残るか、仕事(ビジネス形態)そのものが消え去るか。
なので転職で言えば、①か遅くとも②の段階で、伸びる会社を見つけられて参加できるといいということになりますね。
では、こうしたビジネスのライフサイクルの宿命の中で、事業主体である「会社」はどうすべきか。
先ほどのAmazonのところでも触れましたが、結局常に変化していくことが求められるわけですね。
今あるノウハウを生かしつつ、社会構造やマーケットの変化を読み取りながら、進化し続けていくことが問われる。
「カイゼン」し続けるということです。
ちなみに、各会社のそのような取り組みを見ることができるのが、財務諸表の一つ、「キャッシュフロー計算書」になります。
このキャッシュフロー計算書の「投資部門のキャッシュフロー」がマイナスであれば、その会社がきちんと未来に向けて「投資」しているということを意味します。
そして、先ほども述べた「今ある自社の強みを生かした、新しい分野への取り組みかどうか」を確認しましょう。
本業と全く「畑違い」のことに手を出していたら、それは危ない。素人が訳も分からずに起業しようとしていることと、基本同じですからね。
こうした情報は、会社の「有価証券報告書」に記載があります。これはその会社が上場していれば、ホームページのIR情報というところで手に入ります。あるいは金融庁のEDINETで。
転職したい・投資したいというなら、ぜひこういう情報を調べてから、考えてみるのがいいでしょう。
まとめ
というわけで今回は、「変化の中で生き残る、これからのビジネスモデル 『ビジネスモデル2.0図鑑』」でした。
「ビジネスモデル2.0図鑑」、読み物としても本当に面白いですよ。
また巻末には、この本で使われている「アイコン」が載ったパワポのテンプレも無償配布されていて、お得です。
著者の近藤さんは、ビジネスモデルを「自分で書いてみる」ことを勧めておられます。特に自分のいる会社のビジネスモデルを理解するということは、業務理解やPR活動、あるいは新たな事業構築に役立つだろうとのこと。
投資や転職なんかで、ある会社を深く知りたい、という時も使えますしね。
何より楽しそうです。
差異化出来ていて、「逆説度合い」が強ければ、これからの成長が期待できます。
皆さんも、ぜひ楽しみながら、いろんな会社の「ビジネスモデル」を考えてみてください。
ちなみに、著者の近藤さん、「ビジネスモデル2.0図鑑」の全文掲載チャレンジというのもやってらっしゃるので、一度サイトを訪問してみてはいかがでしょうか。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。ではまた!