品質管理じゃない、品質「創造」だ! CTQを学ぼう

皆さんこんにちは! 今日もどこかでカイゼンサポート、Kusunoko-CIです。

仕事をしていくうえで大切なことって何でしょうか?

いろいろな回答が出るとは思いますが、私が一つ絶対に欠かせないものとしてあげたいのが、「お客様の声」です。

商売は買ってもらってなんぼの世界ですから、お客様の求めるものを、少しずつ先回り・上回る形で創造し提供し続けることがビジネスを継続させる秘訣ではないかと思います。

ということで今回は、CTQ(Quality to Quality;クリティカル トゥ クオリティー)というフレームワークのご紹介。

企業がお客様のニーズを定義して、それを満たすためのアクションを考えだすのにたいへん有効な考え方になります。もちろん後工程(お客様)に良品のみを提供することにも使えますよ。

シックスシグマの世界ではよく使われる手法です。ぜひやり方を学んで、必要とされる商品・サービス作りにお役立てください。

CTQ ってなんだ?

Critical to Quality(CTQ:クリティカル トゥ クオリティー) は、お客様のニーズを特定し、その情報を測定可能な製品、およびプロセス要件に落とし込んでいくためのシックスシグマの考え方です。

これにより、私たち製品やサービスを提供する側は、お客様が欲しいと思うような品質特性を理解して、より良いものへと向上していくことができるようになります。

プロセスへの改善Projectを始める前に、お客様にとって重要な、製品またはサービスの品質・特性をきちんと理解しておかなくてはいけません。

CTQ活動で、特性の背後にある要因を見つけだし、どうそれらを満たすのか、方法を見つけ、継続的にカイゼンしていくことになります。

こうした一連の考え方と、それにまつわる作業がこの CTQ です。

CTQフレームワークをやる前に

実際に作業に入る前に、少し全体像を眺めてみます。とはいえCTQのフレームワークはいたって簡単です。

CTQはお客様の声から

CTQを作成する最初のステップは、お客様のニーズをリストにすることです。

できればお客様が、サービスや製品に何を求めているのか、実際に確認してみたいところですね。いわゆるVoice of customer(VoC)というやつです。

アンケートを取ったり、お客様をお招きして期待する機能や使い心地などをお話ししてもらう手法というのは、マーケティングの世界では常套手段になります。

またカイゼンの世界では、「後工程はお客様」という考え方を持たないといけなかったですよね。

自分たちのアウトプットが、次工程のインプットになる場合、その工程=お客様は何を求めているのか、しっかり把握しておかなくてはならないはずです。

このようにCTQは、何も本当のお客様だけではなく、工程間や部署間で使っていくことも可能となります。

SIPOC分析の手法でも、お客様とOutput(Input)をはっきりさせていきます。手法はちがっても、やることは同じ。それだけVoCが重要だということです。

CTQの3つの要素(横)

CTQを3つの要素に分割してみます。私は「横の軸」と呼んでいます。

「横」に入る串

  • Needs(必要性):先ほどの「製品やサービスへのお客様のニーズ」です。
  • Driver (推進要因):お客様が製品やサービスの品質を判断する際に、主にどのような要素や特徴を考慮するのかを、より具体的な要因に変換・翻訳します。
  • Required action(アクション):上記のドライバーが、お客様の基準を満たすために必要なプロセスやアクションは何なのかを導き出します。

CTQの3カテゴリー(縦)

また上記の3要素に加えて、CTQの属性になるカテゴリーが、いわゆるQCD(品質、コスト、納期)です。

縦にある軸(分類)」と呼んでいます。

「縦」に降りる串

工程カイゼンであればこの品質、コスト、納期の3つでOkです。

製品・サービスを実際にお客様に提供するケースであれば、上記3つに「差異化(differentiation)」という分類を加えることがとても重要だと思います。「QCDD」になりますね。他所と同じものを提供しても、なかなか商売で勝ち残ることはできないです。

私はだいたいこの3~4の縦軸分類で考えますが、皆さんの状況に応じて属性をもっと増やしてみてもいいかもしれませんね。

CTQフレームワークを作成

CTQの概要が見えてきましたので、これらに必要な情報を入力するための手順を見ていきましょう。

いつものように、課題・問題を扱うために集まったチームの皆さんで書き上げることになります。

以下の順番で、それぞれの項目を埋めていきます。

  1. ニーズ(Needs)を判断する:何が求められているのでしょう? お客様に直接尋ねるか、お客様と頻繁にやり取りするサービス・販売担当者に相談します。工場の工程カイゼンであれば、自分たちの後工程と話をする機会を設けましょう。普段こうしたチャンスはあまりないはずで、したがってたいへん貴重な瞬間になります。
  2. 要因(Driver)を決定する:何が求められているかわかったら、次は求められているものに寄与する要因です。先ほどの縦軸の属性(QCDD)ごとに考えていくとはかどります。
  3. アクションを設定する:これらは、上記の各要因(Driver)をアウトプットするためのプロセス、あるいは具体的な行動です。これらのアイテムが決まってくると、具体的な改善アクションを考えることができます。必要なものがCTQフレームワークによって「見える化」されたわけですね。

CTQフレームワークの例 ピザ屋さん

CTQ ツリーがどのように機能するか具体例を見てみます。今回もピザ屋さんのCTQを考えてみます。

ニーズ(Needs)

まずはニーズです。お客様はこのピザ屋さんに何を求めているのか、アンケートで確認しました。

ニーズ(Needs):他では味わえない、おいしいピザと優れたサービスがお手頃価格ですぐに手に入る。

総合すると、お客様はこのような特徴を求めていることがわかりました。このニーズを、ピザ屋さんが目指すべき具体的な特徴(要因)に変換・翻訳していきます。

要因(Driver)

  1. 差異化:製品の多様性(他では味わえない)
  2. 納期:注文から受け取りまでのリードタイム(すぐに手に入る)
  3. 品質:原材料(おいしく安全)と接客の質

4.コスト:リーズナブルな価格(お手頃)

お客様のニーズは、時にあいまいです。そこをうまく具体的な要件に落とし込むのがポイントですね。

アクション(Required action)

では次に、この要因を達成するための具体的なアクションやプロセスを考えてみます。

1の 差異化:製品の多様性(他では味わえない)を満たすため、

  • 地域・国などのカテゴリーで、特徴のあるピザを期間限定で提供する
  • 通常のトッピングに加えて、四季折々“季節のトッピングオプション”
  • 「ピザに意外とあう飲み物」をメニューに加える

も3つを考えてみました。

2の納期:注文から受け取りまでのリードタイム(すぐに手に入る)を実現するためには、

  • ネットで予約する仕組みをより拡充する
  • ネット注文で支払いも完了
  • 事前調理の製法を向上させて、注文から完成までの調理時間を極限まで短縮

です。

3の品質:原材料(おいしく安全)と接客の質には、

  • 使用される食材の生産者表示
  • 可能な限り地産地消を目指す
  • 記載されているピザのカロリーを明示
  • 良い接客が報われるような褒賞システムの確立

を考えました。

4、コスト:リーズナブルな価格に関しては、

  • 配送オプションを廃止、お客様による引き取り販売方式に一本化
  • 農家さんとの直接取引による原価低減
  • 一部食材の販売で収益の多角化を図り、ピザ価格に反映させる
  • プロセス改善をすすめ、多能工化と自働化による省人化

とこのような一連のアクションを設定してみました。

一つ一つはさらに小さなアクションに分解され、より具体的なカイゼンアイテムになっていくはずです。

アクションプランを作って、ニーズに最も効きそうなものや、手軽に始められるものから行動に起こしていきます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はCTQ(クリティカルトゥクオリティ)というフレームワークのご紹介でした。お気付きになったかもしれませんが、こちら新QC7つ道後の系統図にそっくりですね。実際に横向きに展開している例も多いです。

お客様の求めるものを、少しずつ先回り・上回る形で創造し提供し続けることがビジネスを継続させる秘訣。ぜひ潜在的なニーズを言語化し、製品・サービスの競争力を高めていってください。

ビスネスは結局のところ、お客様が何を求めているのかを、いかに顕在化出来るかにかかっています。そこがはっきりすれば、後に続くアクションはとてもクリアになる。

ただそこが一番難しいのも事実

お客様が「こういうもの、あったらいいな」と口にするものは、「その商品サービスがあったら実際に買う」ということとは必ずしもイコールではない

そこが見つけられたら、どんな商品もメガヒット間違いなしです。

ではどうするのかということが問われると思うのですが、それがいわゆる市場調査であったり、あるいはこれまでの商品・サービスの傾向をデータ分析していくという作業になっていくでしょう。出来る限りのデータで、でも結局は推測なのですね。

カイゼン活動の場合で言えば、QC・新QC7つ道具による課題設定のためのツールの活用も助けになってくれるはずです。

パレート図、親和図、マトリックスデータ解析法などと合わせて、推測・判断の精度を上げるようにしていくといいでしょう。

このCTQは、マーケットインの考え方です。お客様なしに商売は成り立ちませんので、ぜひトライして、最も効果のある所への具体的なアクションを見つけてほしと思います。

もちろん自分の仕事(工程)の後工程(=お客様)のニーズを明確にして、自分の仕事の質を向上してくというふうにも使えます。必要なものを提供できる人というのは、「仕事の出来る人」とみなされますからね。みなさんの差異化にもつながって行きますよ!

今日も読んでいただきましてありがとうございました。

ではまた!

 

[図解]コレならわかるシックスシグマ Kindle版

シックスシグマの概要を学ぶには。流れくらいはわかります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA