ファシリテーションの技術

皆さんこんにちは! 今日もどこかでカイゼンサポート、Kusunoko-CIです。

仕事柄、カイゼンワークショップの進行をお手伝いすることが多いのですが、結果の伴うものになるかどうかは、イベントの促進者=ファシリテーターによるところが大きいです。

そこで今回は、「ファシリテーションの技術」と題しまして、こうしたワークショップやイベントで、ファシリテーターが果たすべき役割や、気をつけなければならないことをまとめてみました。

知っているのと知らないのでは、イベントの成果がまるで違ってきますので、ぜひこちらの記事を読んで参考にしていただきたいと思います。

ヒントは「名脇役」。

ワークショップとファシリテーターの役割

Photo by Matthew Osborn on Unsplash

まず我々がよく行っている、カイゼンワークショップとは何なのか、をちょっと見てみたいと思います。

カイゼンワークショップは、通常のカイゼン活動ではなかなか解決しきれない問題を、より広範な参加者ともに、集中的に取り扱おうという趣旨の活動です。

一連の活動を通して、参加者は今回ターゲットになる問題のみならず、カイゼンツールやコンセプト、より効果的なカイゼンの進め方などを、今後のために学んでいくことが求められます。

またこれにより、経営陣は、学習しそれを適用して常に育つ組織作り(Learning Organization)といった、企業文化の変革を期待している場合も多いです。

「広範な参加者と集中した時間」というわけで、多くの経営資源を投入することになりますから、当然目に見える・見えない両面での成果が求められますね。

私のいる会社では、ここに外部のカイゼンコンサルタントを招いて、指導を得ることも多いです。

こうした中、成功といえる結果へ、ワークショップなどの活動を導いていくのが、ファシリテーターの役割になります。

またこうしたワークショップスタイルに関わらず、1回限りの会議や、複数のセッションのイベントでも、ファシリテーターの役割は当然大きなものになります。

議論を管理し、すべての参加者からアイデアを引き出し、到達した結果に参加者全員が納得できるように持っていくこと、それがファシリテーターに求められる技量になります。

活動の成否は、ファシリテーター次第といってもいいかもしれませんね。

ファシリテーターは、このような目標を達成するために、ワークショップやイベントをデザイン・指導・管理することが求められます。

効果的なファシリテーションと5つのトピック

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ワークショップやイベントをうまくファシリテーションするには、最初にグループの望ましい結果や、今回のイベントの背景・文脈(方針管理・戦略など)を理解する必要があります。

大掛かりなイベントであればあるほど、上層部ときちんとお話をしておかなくてはいけません。

ワークショップの場合など、その組織が現状抱えている問題・課題は何なのか、経営層が今回のイベントを通して何を達成したいのかをしっかり把握しましょう。

場合によっては、経営層が思い描いていたものとは違うタイプのワークショップや、改善のためのツールを提案しなくてはいけないかもしれません。

背景・文脈や目的が明確であれば、イベント全体をデザインし、結果に到達するための最適なツールを選択できますね。特にカイゼンワークショップの場合は、イベント発案者がカイゼンツールの内容や目的を理解できているとは限りません。

そのような場合は、イベント発案者や経営層に、抱えている問題を明らかにすることから、適切なツールや仕組みを理解してもらうまでの過程に関与するのも、ファシリテーターの役割になってきます。

以下5つの点について確認してみましょう。

サイズと構造

達成したい目標の大きさによって、イベントの大きさというのは変わってくるでしょう。

ワークショップの場合で言えば、どのくらいの数の参加者やチームを編成すれば望む結果を得られるのかを考えなくてはいけません。

この辺は、当然組織の大きさによっても変わってきますので、一概には言えませんが、VSM(モノと情報の流れ図)ワークショップの場合などは、いずれにせよそのバリューストリーム全体(EtE)に関わる全部署からの、少なくとも一人は参加することが必須になります。

大規模なグループになればなるほど、全員が参加し、アイデアを生み出し、さまざまなトピックをカバーするのが難しくなるのが常です。

小規模な「ブレイクアウト」グループの設定を検討してください。

特に難しいのは、Webなどでワークショップをファシリテーションしている時です。

我々が良く使用するGoogle meetには、参加者を小グループに分けてそれぞれに議論をしてもらうための機能が備わっています。こうした機能を使って効率よい議論やブレインストーミングが行えるように準備しておきましょう。

アジェンダの作成

アジェンダというと会議内での議事進行目録のような印象を受けますが、ここで言っているのはもっと大きな全体のスケジューリングも含めてのことです。

  1. 上層部や、主催者側との意識合わせや課題の把握に費やす期間
  2. 主催者がイベントに必要なものを準備するための時間
  3. イベントに突入する前の、参加者へのトレーニング(ワークショップではこちらも重要)
  4. 実際のイベント期間
  5. プロジェクトフォローアップ期間

などざっくり言っても、これだけのことをデザインしておかなくてはいけません。

また当然ですが1の個別アジェンダ、2の準備のためのリスト提供、3と4のより詳細なスケジュール、5の方法やレポート内容の設定も細かく決めておく必要があります。

またこれらは前もって、チャンピオンである経営層や主催者、ものによっては参加者にも事前に展開されなければいけないものですから、早めの準備が必要になります。

ただ一度ひな形を作ると、2回目以降はそんなに工数はかからないと思いますので、初回に頑張って作成してしまいましょう。

個別の会議アジェンダに関しては、以前ご紹介したA3タイプがシンプルですが効果的です。

もちろんこの段階で、トレーニング資料や参加者が使用するレポートのフォーマットなども作成しておかなくてはいけませんね。

しっかりとした準備が成否を決めます。ほぼ準備の段階で決まってしまうといっても過言ではないかもしれません。

イベントの流れや、時間配分も考慮して作成してください。

個別イベントのガイドとコントロール

議事とグループのプロセスが整ったら、議事進行をどのように導き、管理するかを考える時が来ました。

  • 基本ルールの設定:全員の貢献を尊重すること、一度に1人だけに話させること、コメントを軽蔑することを避けることなどが含まれます。
  • シーンの設定:目的と議題を実行します。全員が自分の役割と、グループが達成しようとしていることを理解しているか確認してください。
  • アイスブレーカー:イベント前参加者は、意外と固くなっているものです。自己紹介や軽アクティビティで、リラックスさせるのもファシリテーターの役目になります。
  • 勢いやエネルギーの維持:議論が進むにつれて、介入する必要があるかもしれません。参加者が集中して、興味を保てているかを確認してください。適度に休憩を入れるタイミングを計ってください。
  • 注意深く参加を促す:ファシリテーターは注意を怠らず、積極的に耳を傾け、自分が関与していることを示します。これは、他の参加者にとって良い手本となるでしょう。参加者の皆さんはどうでしょう? 話しかけたり、質問を振ったりして「つなぐ」ことを意識してください。
  • チェックポイントをみつけ要約:議題を管理し、達成したこと、次にすべきことを参加者に伝えます。チャプターごとに進行するイメージで、現状の議論を要約し、次に進めます。

上記に加えて、議論がテーマから逸れていっていないかを確認してください。話を広げることは、時に悪いことではないですが、常に本筋を意識した議論がより建設的なディスカッションを産みます。参加者はそこに気が付かないことが多々ありますので、こちらもファシリテーターの役割になります。

小さなイベント・会議を計画している場合でも、大きなイベント・ワークショップを計画している場合でも、常に結果を念頭に置いてください。

イベントがさまざまな日やトピックにまたがる場合は、それぞれの望ましい結果と、それらが全体的な目的にどのように貢献するかを明確にしておきます。

話し合いが結論に達していない場合は、トピックを保留し、より多くの情報を収集し、未解決のポイントに対処する時間を、新たにスケジュールする必要もあります。

また、会議中一人が議論を支配している場合は介入してください。

礼儀正しく、しかししっかりと、「皆さんの意見をきいてみませんか?」と声かけしてみてください。そういう方に、全員を参加させる役割を振ったりするのも、時に役立ちます。その方も育ちますので。

記録とアクション

ファシリテーターの責任の中には、アウトプットの記録、およびこれらをまとめ、共有し、確実に実行されるようにすることがあります。

イベントからの出力を正常に記録するためには、何を、どのように、誰が記録するかを明確にすることです。

参加者が提示された情報を聞き、見て、理解するようにしてください。何が起こっているのかを正確に記録します。

メモを取るときは、グループが選んだ言葉を使うようにしましょう。よくわからない場合は、後で確認します。

自分は進行に集中できるように、メモ係を決めるのもお勧めです。

スマホでブレインストーミングのホワイトボードやメモの写真を撮ったり、Webで行っている場合は、参加者に了承を取って録画するのもかなり役立ちます。

イベント後は、当然合意された行動が実行されているかどうか、フォローアップするのも我々の役目です。

チームリーダーがいる場合であれば、彼らにも責任を持たせます。

反省・改善

ミーティングを促進した後、自分のパフォーマンスを振り返り、次回はどうすればもっとうまくやれるかを考えてください。

参加者、あるいは同僚にフィードバックを求めてもいいでしょう。改善の際にも、ここまで語ってきた以下の点から、自身や結果を見返してみるといいでしょう。

  • サイズと構造
  • アジェンダ作成
  • イベントのガイドとコントロール
  • 記録とアクション
  • 反省・改善

効果的なファシリテーターになるには、イベントを効果的に計画および指導し、グループの望ましい結果に焦点を合わせ続ける必要があります。

ファシリテーターの成否は、結局のところ、「イベントやワークショップが、彼らの望んだ成果を出せたかどうか」です。

問題解決であれば、議論し決定されたことが、確実に実行され、チームや組織が思い描いていた結果を出せたのかどうかにかかってきます。

問題・業務の中身を深く知っている必要はないですし、また知ることもできないかもしれません。

ですが、それをよく知ってる参加者の皆さんを上手にガイドし、その知識や経験の中から、最適な方法や答えを導き出していくのがファシリテーターの役割になります。

そのような意味において、ファシリテーターは、人の潜在的な可能性を導き出す「コーチング」にも似た役割を果たしていると言えます。

我々は、ヒトや議論にコミットしながら、それでいて、良い意味での「部外者」であり続ける、絶妙な距離感やバランス感覚が問われているのだと考えます。

議論し、結論を出し、実行するのはあくまで主体である参加者です。その一連の進行に介入し、促進するのが我々の役目であることを常に心に置くことですね。

まとめ

いかがでしょうか。

今回は「ファシリテーションの技術」と題しまして、ワークショップやイベントで、ファシリテーターが果たすべき役割や、気をつけなければならないことをまとめてみました。

ヒントは「名脇役」と冒頭でもお伝えしました。

主役を食わず、脇に徹しながらも他の出演者を立て、結果として映画や舞台を心に響くものにするのが名脇役ではないかなと思います。

一朝一夕にはかなわないかもしれませんが、少しずつ、そんな域に達していきたいと私自身も考えております。

英語でやると本当に難しいんですけどね(笑)。

今日も読んでいただきましてありがとうございました。

ではまた!

禅の域に達している。とてもこんなふうには。。。

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