誰がやっても同じ品質を出せるのが 良いマニュアル その作り方
Work instructions that anyone can understand.
皆さんこんにちは! 今回久しぶりの業務カイゼンネタです。
今はいろいろなところで、正社員の方と派遣の方が一緒に働いている会社というのも多いのでと思います。
派遣の方が長く働いてくれるのならいいのですが、ところによっては数日単位、あるいは一日だけで人が入れ替わるような工場なんかもあったりします。これは教えるのも、製品の質を保つのも一苦労です。
そんなわけで今回は、「誰でもわかる作業手順書を作るなら」、ということを考えてみたいと思います。
マニュアルなのか作業手順書なのかSOPなのか
それにしても、いろんな言葉の使われ方をしています。
ざっと調べただけでも、マニュアル、作業手順書、標準作業書、SOP(Standard Operational Procedure) 、仕様書(しようがき)などなど…。
何が違うのでしょうか? ちょっと定義をはっきりさせたいですけど、これ無理っぽいです。
結局会社ごと、あるいは産業ごとにも違った呼び方をしているようですね。
私が以前働いていた飲食や小売りでは、「作業マニュアル」とか「接客マニュアル」とか、はたまた「掃除マニュアル」みたいな感じで全部「マニュアル」で統一されていました。
写真も多用されていてどれも結構な分量でしたが、ある程度読んでおけばそれなりに作業はできるようになっていました。わからないときは片手に抱えながら操作して、なんてこともありましたね。
その後は海外ではこの「マニュアル」という表現はあまり聞かなかった。私たちは、よくSOPと呼んでいました。標準作業書ですかね、日本語で言うと。ISOに準拠しているやつです。
当時はセールスとかサービス部門ですから、あんまり作業手順書(work instructions)とかは呼称として出てこなかったです。手元にある(車の)サービス業務に関する説明書には、「Service Management Guide」って書いてあります。
なので、現場の方とマニュアルを、あるいはSOPを作りたいね、という話になったときは、きちんと自分たちがこれから何を作ろうとしているのかを確認したほうがいいと思います。
どんな文書を作るのか
私は、こういう類のものには、大きく分けて二つあると思うのです。
1つは、いわゆる「知識やノウハウの伝承・継承」を目指した網羅的なもの
2つ目が、作業者が目の前において、見て確認しながら作業を進めていくためのもの
です。
ちなみに私は現在工場などで改善を行うことが多いので、工場などで勤務している作業者さん目線で書いていきたいと思います。
網羅的なもの
上記いずれどちらも必要ですが、1のはかなり膨大で、作業者さんには必要ない情報もあるのではと思います。
この辺は線引きもあいまいになるとは思うのですが、以前トヨタの自工程完結のご紹介をした時、
1.業務フローを書く
2.Inputとoutputをはっきりさせる
3.誰がやっても同じOutputが出るようにそのプロセスで行うタスクを、可能な限り細分化していく。
4.特記事項があれば合わせて記載し、後で使う人が迷わないようにする。
5.常にアップデートする
6.文書化して、そのタスクに関わる誰にでも閲覧可能にする。
というフローで作るということをお伝えしました。
パッと見てわかると思いますが、これはかなり膨大な量の情報群です。こういうのが網羅的な上の1つ目に関する文書で、大事なときに参照しできるという優れものです。
特に人が代替わりしてしまう時など、正しい知識・経験、あるいは「暗黙知」を失わせないためにとても重要な文書になります。
確認しながら作業
しかし、ライン作業者さんや特に技術の伝承が意図されない働き方の作業者さんにまで、こういう情報が必要かというとそうでもない。
ここで登場する確認しながら作業する用の、より簡素化された作業のためのマニュアルというのが必要になってきます。
結論としては「必要な情報が、必要なときに、必要な分だけ供給される」、情報のJust In Timeマニュアルというのが、良いマニュアルになってくるのではないでしょうか?
これをやるに当たりKusunoko-CIが今考えているわかりやすい文書の条件は、以下のようなです。
- 作業しながら
- いつでも見たいときに、作業ステーションからアクセスでき
- 文章は極力使わず
- 写真、むしろ動画がメイン
- いくつかの角度からの映像が見られ
- 注意点なども別途情報として表示される
- 必要であればより深い情報に行きつくことができ(1の網羅的なものへのリンク)
- この情報そのものへのフィードバックも返しやすい
とこんな感じです。
目指すは、誰がどう読んで(見て)も必ず同じ結果が導き出されるマニュアルです。
よいマニュアルの目安
これをマニュアルと言っていいのかな。作業仕様書のほうがいいかもしれません。あるいはSOPとか? 現状使われているもので、一番近いものの呼称をあたえるといいのではないでしょうか。
具体的な注意点としては、
- 一文を短く書く
- そもそも文章は極力使わない。写真・そして動画。
- 書くのは6W2H:「なぜ、どれを、いつ、どこで、誰が、何を、どうやって、どのくらい」
- 時系列に書く
- 専門用語を使わない
こういう感じです。
Kusunoko-CI賭けてもいいですが、これが守られれば結構わかりやすい作業マニュアルになると思いますよ!
で、今考えているのは、Google driveでWeb page作ってシェアする。そうすれば、誰でも同じ情報に端末からアクセスしていけるですよね。多分直観的にも操作しやすいです。
出来れば、スマートグラスシステムとか使えるといいんですけどね。私は個人的にEPSONさんの製品が好きです。
まとめ
ということで今回は、作業者さん用のマニュアル(ということ落ち着いたのか?)の作り方についてでした。
とにかく大事なことは、わかりやすいこと。いらん手間は、極力かけさせないことですね。
こちら(実際の作業者ではない)が良かれと思ってやってはみたものの、実際の作業者さんは全然使ってくれなかった、なんてことはよくあります。その辺は、実際に作業されている方の声をきちんと反映させていかなくてはならないです。
そして、こういうマニュアルは「正しいことを書かない」というのも大事です。
「え⁉」と思うかもしれませんが、「正しいことと」と「誰がやっても同じレベルの品質のものが、同じような時間内でできる」というのは、全く違うことです。見やすく、わかりやすく、作業がしやすくて、かつ必ず同じ品質が出る」これが良いマニュアルですね。
それともう一つ、文章についてです。「あなたの文章は理解されていない」、と思っていてください。あるいは「いつも誤解されています」。それを前提に情報を伝える努力をすると、あなたの作るマニュアルは、飛躍的に理解しやすいものになっていきます。人と人が分かり合うというのは、これほどまでに神経を使うものなんですよ。
ということで、今またお手伝いするプロジェクトがありますから、頑張ります! Win-win 目指して!