時間がないあなたにもできる 時間改善法
Time management method for those who are lack of time
現場改善のお手伝いをしていると、こういわれることが多々あります。「改善する時間がない」。忙しいのでしょうね。よくわかります。皆さん残業してまで、なんとかかんとか今ある業務をこなしてらっしゃる。本当に頭の下がる思いです。そこで今回、Kusunoko-CI的に提案できそうな、時間管理の改善法を考えてみたいと思います。
時間改善法
もう結論から入りましょう。時間が欲しいわけですよね。業務改善とか、仕事のことのみならず、日常生活においても時間が欲しい。そういう状況にある方多いのではないでしょうか。そんな皆様にお贈りしたいのが、これです。
何かやめる
これだけです。どうです、簡単でしょう?
仕事も、プライベートもそうですけど、なにかをやりたい、でも時間が足りないというなら、本当にやり方は単純極まりないです。何かをやめるしかないのです。
老若男女、金持ちな人もそうでない人も、1日24時間だけは、とても均等に、公平に分け与えられています。1,440分、86,400秒。泣いても笑ってもこれを増やすことは絶対にできません。そして人は7時間は眠らなければならない。何度もこのブログでご紹介する精神科医の樺沢先生は、健康とあらゆるパフォーマンスを鑑みてこの7時間は眠る、ということを推奨しておられます。
そうすると24時間―7時間で、14時間、840分、つまりは50,400秒が我々の手元に残る計算です。一度エクセルか何かで一日のスケジュールを書きだしてみるといいと思いますが、視覚化するとよくわかる。我々本当にタイトな毎日を送っていますよ。
ちなみにこれ、下の写真見ていただけますか? なんだと思います? これね、ミキプルーンの苗。ではなくて、Kusunoko-CIの月・水・金のスケジュールです。
どうですか、若干積み上げグラフにも似たこのスケジュール表。私が初めてこれを作って、客観視した時の感想が何だかわかりますか? 「1日って思ってるより短い」です。いやほんとにタイトだよ毎日。自己成長したいとか、英語ももっと勉強したいとか、いろいろ考えますよね。で、寝る時間とか、身づくろいとか仕事とか、本当にどうしたってやらなきゃいけないことグラフにしていったら、本当にたいして時間残されていないんですよ毎日。びっくりしちゃいましたね。
それまで、ちょっとだらだらYou tube見たり、なんかちょっと(けっこう)いかがわしいサイト見たりとかして時間、もうないじゃないですか。
これが、視覚化の最大の利点なんです。そして何かをここにねじ込みたいなら、何か止めるかしないんですよ。あれもこれもは無理なんです。『Think clearly』の著者ロルフ・ドベリ氏も言っておりますが、「金持ちが一番大切にしてきたことは『フォーカスすること』だ」ということです。何にフォーカスして、人(自分)・もの・金の(経営)資源を投入してきたか、ということなんですね(ちなみに火・金には運動が入っています、FYI)。
改善する時間がない
だから、カイゼンのお手伝いに行き、「改善する時間がないんです」という言葉を聞くたび、伝えたいのは、業務の棚卸をしてください、そして時間を作り出してください、ということです。
5Sの話の中でもしましたが、必要かそうでないかを見極めるというのは、非常に大切な作業です。そして、断言してもいいですが、今やっている作業の100%が本当に絶対に必要な仕事で全く無駄なく業務をやっているというのは、極めてまれ、もっというならほぼあり得ません。もちろん比率は変わってきますが、一つ一つ丁寧に我々のタスクを吟味していけば、必ず全仕事量の10%弱くらいの時間は捻出できると思うのです。例えば8時間労働なら50分くらいは。
今やっている作業で、
- 前任者から引き継がれて、なんとなくやっている作業、とか
- 誰が必要としているのか、今一見えない仕事、とか
- なんかよくわかんないけど、良かれと思って始めた作業
というものはないですか? これらは、自分たちの業務を見返すうえで、とても分かりやすい判断基準になります。ずばり、付加価値はついていません。
でもこういうことは得てして起こります。そして我々日本人はいったん始まってしまうと(制度化してしまうと)、やめる勇気や決断力を持っていません。それは我々が農耕を基礎に生活を育んできたことと無関係ではないでしょう。自分の所属するコミュニティーがやっている、自分から率先して止めてしまうのは角が立つ、とりあえず右へ倣え・・・。
これらはすべて私たちが感覚的に、物事を角が立たぬよううまくやっていくために編み出した知恵でもあるのですが、もう感覚で語るのはやめましょう。事実で語るのです。必要か・そうでないか。
やめるための視覚化
これから書くことは、できればあまりお勧めしたくないです。仕事場の業務棚卸にとてもいい方法ですが、副作用もとても強いからです。
本当にやるなら、注意事項をきちんと守ってからやってくださいね。それを守らずに「効果が出ない」とか、「悪手だった」とか、そんなの当り前ですから。
やり方
まずは、エクセルに表を作ります。そして何時から何時、何をしましたか、何が成果物ですか、と書き込んでいきます。業務によっては1時間かもしれないし、2時間かもしれないし。成果物もすごく目を見張るものだったり、費やした時間のわりにはそうでもなかったり。とにかくやったことや成果を記録にまとめていきます。そして上司とチェックするのです。これいる? いらない? 付加価値ついてる? これ君の仕事? などなど。そうやって、組織や会社のために我々が本当にやらなければならないこと(付加価値のついた仕事)以外は、なるべく排除していく。その議論のために「この1時間何やってたの」シートを有効活用してください。
そしてもちろん先ほどの付加価値のCriteriaのように、やったことを吟味し、やらなくていいことを見つけ出していく=時間を捻出していくわけです。Googleでは、こうした業務と直接かかわりのない、Creativeな仕事をする時間を、従業員の義務として一定時間持つように定められているようですね。
用法
サウジのトヨタ時代の、私のカイゼン師匠に教えてもらったこの方法、業務棚卸には大変有効です。ですが先ほど述べたように用法容量に気を付けながら使っていかなくてはいけません。以下にその危険性をあげていきたいと思います。
- 余った時間の使い方:これは今回のテーマであるわけですが、余った時間についての組織のコンセンサスができていないと、「1時間余りました」、「じゃこれもやれ」と普通にほかの業務をアサインされたら、無論カイゼンはできませんよね。何のための業務の棚卸なんだかよくわからなくなりますから、マネジメントサイドは厳に目的をはき違えないようにしてもらいたい。平準化はした方がいいですけども。
- 日ごろの信頼関係:上司も部下も、真剣に仕事をしていて、お互いにRespectできるような関係性が構築されていないと、これは極めて危険な「諸刃の剣」になります。「あいつはよくさぼるから」とか「あいつ働いてねーし」と思う上司、思わせてしまう日ごろの行いの部下の間では使ってはなりません。ただ相手を責めるだけのツールになり下がってしまいます。
- 改善ツールであってMicro managementツールではない:たまにいる、部下の一挙手一投足まで管理したい上司の方には、絶対にお勧めしません。これはそういうあなたの支配欲を満たすためのものではありません。そういう目的では使わないでくださいね。
- 改善組織円熟度:例えば、上司と部下のいい関係でこれが導入されました。そして時は去り、今このシートの本質的な意味を知るものが、組織の中にほとんどいなくなってしまいました。今やこのツールが何のために導入されたのかわかりません。でも前任者から引き継がれたのでやっています。目的とかよくわかりませんが、慣習なので。と先ほどお話した状況の中によく埋もれがちなのが、なんであれカイゼンツール。大事なのは人です。人がそれをやる意味を理解している組織は強い。そうでなければ高額のコンサル料を支払った最高級のMethodologyも何の意味もないガラクタになり下がってしまいます。しかも瞬く間に。
まとめ
いかがでしたか? カイゼンする時間や目標を達成するために費やす時間が欲しいなら、優先順位の低いもの、あるいはあなたの人生や仕事に付加価値を付けないものから順に取り除いて、時間を捻出していくしかないのです。それはまさしく5Sの考え方。今のあなたの時間の使い方は、3年後5年後のあなたを作るための大事な投資になっていきます。それは組織も同じこと。カイゼンする時間を作るためにカイゼンするのです。ムダどりするのです。
短期的な快楽は蜜の味。でも長期的にはドラッグと一緒です。
もう一度、あなたの14時間、840分、50,400秒、どう使いますか? エクセルシートで可視化するの、危機感もつのってとてもおすすめですよ。今回「時間管理シート」↓も添付してみました。ぜひお試しあれ!
時間管理表エクセル