情報とプロセスの流れ図 Information and process flow (Swim lane)

「モノと情報の流れ図」は、皆さんよくご存知かもしれません。VSM (Value Stream Mapping)と呼ばれるもので、トヨタ発祥の改善ツールです。では、情報とプロセスの流れ図 Information and process flow (Swim lane)はいかがでしょう?

今回は、この情報とプロセスに特化した図のメリットや、書き方、注意点などについて解説していきたいと思います!

 情報とプロセスの流れ図とは

情報とプロセスの流れ図は英語では、“Information and process flow”と呼ばれ、“Swim lane”というあだ名がついています。見た目が水泳のレーンによく似ているからこのように名前が付いたようです。

基本的な描く目的は、いわゆるVSMと大きな違いはありません。VSMなら、カスタマーがいて、サプライヤーがいて、モノがどのようなプロセスで流れるか(工程)が書き表され、そこに各工程の人数、サイクルタイム、段取り替え時間、仕掛り、品質の%やトータルのLead timeなどを書き入れ、大きなモノと情報の流れを一目でわかるようにする、という感じです。

Value stream mapping example

それでは、例えば、主に情報がやりとりされるプロセスを描き表すにはどうしたらいいでしょう? それが情報とプロセスの流れ図の役割になります。先ほどの写真でいうなれば、黄色く丸を付けられたところなどにFocusした流れ図ですね。

イメージしてみるとわかりやすいかもしれませんが、例えば発注作業のような主にオフィス関連のお仕事、つまりある種の情報がコンピューターを経由してやりとりされ、よく属人的になってしまいがちなプロセスフローをどのように描きあらわすか、そして改善していくかというといわゆるVSMではちょっと難しい。ですので、こちらを使って全体的な流れを表すといろいろな問題点が見えてくるという、なかなかの代物です。

メリット

この情報とプロセスの流れ図を描くことのメリットは、以下のようなものがあります。

  • 関係部署総出で描きあげることで、現在の業務の流れ、タスクとその中身、システムとのやり取り、かかる時間、過程で作られる書類のダブりやプロセスそのものの複雑さが、全員に一目でわかる(見える化)、
  • 完成後Brainstormingを行い、共通認識のもと問題点・問題プロセスを浮き彫りにすることができる(共通認識)、
  • ダブりや漏れなどの、実際の書類を張り付けることでイメージがわきやすい、
  • 後工程で必要な要件をはっきりさせ、タスクの品質向上が図れる、

など。

最近ではシステムと個人のPCとのやりとりで業務を行うことが多くなり、仕事が属人化してしまうことも多いと思います。そして簡単にBlack box化してしまう。改善の一番最初のステップは問題を顕在化させる(見える化)することです。問題が見えなければ手の打ちようがないですから、こうした流れ図を書くことはとても理にかなっていることがお分かりいただけるかと思います。

情報とプロセスの流れ図 書き方

使うのはいたってシンプルな、□のスティッキー(タスク用=黄色、問題点=赤)、大きな模造紙、鉛筆と消しゴムとテープと毛糸くらいです。タスクの形も□か判断の◇くらいしか使いません、それを矢印でつないでいきます。あと、これ結構重要なのですが、関わる部署は全員必ずチームに入れてくださいね! じゃないと完成させられない(見える化できない)し、あとから改善アクション取れなくなりますから。絶対ですよ!

まずはワイワイガヤガヤ手を動かしてみてください。やってみると意外と楽しいです。書いては消しという試行錯誤の作業になります。

それから、黄色いタスクのスティッキーに書きいれる業務は、なるべく簡単に書くこと。英語でいうS+V+Oみたいなシンプルなものがわかりやすくていいです。

Information and Process flow sample

以下、番号順に書きいれる情報や貼り出す書類、またはその留意点などを説明していきましょう。

1 タイトル

もちろん、これが何のプロセスについて描かれたれたものなのか明確に。

2 部署

ここには関係部署がすべて書かれます。一番上の段はもちろんお客様です。直接お客様との取引ではないという時でも、前工程をお客様としてみなしましょう。

3 タイムラインとシステム

この横軸は時間を表します。左から右です。改善では「時間のかかっている工程はどこかに問題である」と考えます。単位はそろえましょう、時間・日・分など。そして一番上にシステム。同じシステムを使っているのか・違うのか、お客様のシステムなのか、タスク・工程とのやり取りも含めて書きいれていきましょう。

4 プロセス

ここが肝心のプロセスの部分です。注意すべき点は、上下で同じ時間位置に存在するタスクは、本当にその時複数の部署が異なるタスクを同時進行で行う時だけ、と覚えておいてください。基本的には階段状のタスクの連鎖が時間の経過を表します。左から右です。どんなタスクも後戻りしてもいけません

5 書類や紙媒体

ここには、選んだプロセスの代表的な書類や紙媒体で処理しているものの現物を張り出していきましょう。タスクもそうですが、ダブりや、違うタスクで似たようなことを何度もやっていたりしている現状が浮き彫りになってきます。あるいはそもそもいらないものがあったりと、発見が多いのもこの過程です。それから現物があると、後工程の部署が前工程と議論をしやすくなります。例えば、「いつもここで、この情報欲しいなって思ってたんだよね、いい機会だから付足せない?」とかそういう建設的な議論も活発になります。

そしてここまで出来たら、Brainstormingで問題点(pain point、赤いスティッキー)を張り出していきましょう。時間のかかっているもの、プロセスが複雑なもの、ダブり、また多くの人が問題を感じているところが優先度の高いところ=改善ポイントになってきます。

まとめ

今回この情報とプロセスの流れ図の記事を書くにあたり、ネットを調べてみましたが、あまり情報が落ちていないことに驚きました。で、英語のSwim Laneで検索すると画像は結構出てきます。ただ間違ってます。正しく書けてるのは、残念ながら見つかりませんでした。

皆さんはここに書いてあるやり方と留意点に従いながら、より良いものが作れると思いますよ。大事なことは問題の顕在化です。しかも他部署とともにというのがキーです。しかしながら、これはあくまでカイゼン始めるためのツールなので、あんまり根詰めてやらないでくださいね! ある程度やったら実際のアクション=問題解決(改善)をやるべきですから。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA