IoT 事例で考える可能性
今回のお題はIoTです。最近よく聞く言葉ですけど、いったい何なんでしょうね? 私Kusunoko-CI、今年は2019年のSmart Factory Expo, 日立大みか工場そして島根富士通工場を見学する機会に恵まれて、IoTが具体的に何を意味するのか、カイゼンにどう使われていくのか、その可能性は何なのかを考えてみました。
IoT 意味
IoT とは“Internet of Things”の略で、「モノのインターネット」と日本語では略されています。
様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され、
情報交換をし、相互に制御する仕組みのこと
とWikipediaに書いてあります。
単純に言えばIT技術によってモノとモノ、モノと生産工程とそしてインターネット、ひいては工場と工場をつなげていくような大きな産業構造の変化を表していることだと言えるでしょう。
例えばIoTの牽引役として有名なドイツには、「Industry 4.0」というコンセプトがあります。これは、
第一次産業革命:蒸気機関、
第二次産業革命:石油と電気、大量生産、
第三次産業革命:コンピュータの登場による産業の変化
であり、現在の我々が直面している変化が、第四番目の産業革命であるというとらえられ方によるものです。
Smart Factory Expo 2019
冒頭でもお話ししましたが、私Kusunoko-CI、2019年のSmart Factory Expoを見学することが出来まして、そこで様々な最先端の取り組みを実際に見させていただきました。
Smart Factory Expoは、各社最新技術のお披露目、その可能性の広さと未来を感じさせてくれる展示となっていました。私たちが幼い頃に科学雑誌で見たことがあるような世界に、今まさに人類は差し掛かっているのだなという感じがしましたね。多くの企業でキーとなっていたのが「共働」という概念であったのではと思います。例えば工場内で、人と機械が別々の仕事をするのではなく、いかに互いに助け合って生産性を上げていくのか、という試みが随所に見られました。
中でも私が一番夢を感じたのが、「Smart Glasses」でした。これは作業者が着用する眼鏡に、作業仕様書や、行くべき方向などのサポート情報、あるいは実際にオペレーターとやりとりするテレビ電話の画面などが映し出されていくもので、まるでドラゴンボールのスカウターみたいな感じです。これもいろいろな方式があるようで、福井大学の研究チームの展示では、網膜に直接像を映し出す技術も紹介されていました。いずれにせよ、いちいち紙を見なくても いい、あるいはコミュニケーションにスマホを使ったりしなくてもいい、というのは、相当な生産性アップにつながるでしょうね。このビデオは、実際にGEで実験的に使われているSmart Glassesの紹介になっています。いいなーこれ。
IoT 活用事例
IoT 活用事例という点では、今年、おそらく日本でも最先端を行くであろう二つ工場を見学させていただきました。それが日立大みか工場そして島根富士通工場でございます。
まずは日立大みか工場でございますが、RFIDを使って、モノが今どこにいるのか、そして作業者が何をしているのかがリアルタイムで把握されるシステムが構築されております。すごいですよ。その日の作業の進捗が一目でわかる、そしてそのデータは蓄積され、問題点は即座に改善活動のテーマとして取り上げられていく。この循環を、IoTがまさにサポートないしは促進しているわけです。
島根富士通工場もまた素晴らしかった。Takt timeに合わせて流れる組立コンベヤー、Toyotaの工場を彷彿とさせるあんどんや作業者の応受援システム、水すましがJITで部品やコンポーネントを供給する仕組みなど、日本でも最高レベルに改善がなされたLeanな工場であったなと、大変感銘を受けました。もちろんその工場全体の生産を支えているのがIoTの技術でありまして、まさに「新時代」といった感じであります。
この二つの工場に共通しているのは、自社独自のクラウドと情報処理システムを開発し、それを他社と「共創」という形で、コンサル業も含めながら新しいビジネスモデルを構築しているという点にあると思います。もちろん海外にも展開していまして、奇しくも両社ともタイにセンターがあって、そちらをアジア進出への拠点としています。
IoT 導入のメリット、しかし注意点
これはもう言うまでもないと思いますが、今までは膨大な時間のかかっていたデータ収集や分析が、IoT導入によりほぼリアルタイムで可能になってくる点、人に依存していた装置の点検や異常感知もセンサーで予測的に行えること(predictive maintenance) 、作業者の生産性の向上、需要計画や実際の生産の数値の ズレをアルゴリズムで瞬時に最適解を導き出すことが可能になるなど、枚挙にいとまがないでしょう。またAIやDeep Learningを使った画像解析など、判定基準の曖昧さがどうしてもついて回った外観検査などは飛躍的に進化していくのではないでしょうか?しかしながら、奇しくも両方の工場の方が口にされていたのが、「IoTがあって工場ができたのではなく、工場の改善の過程の中で現在のIoTのシステムへと進化していったのだ」という点です。さらに、大みか工場の方はこうもおっしゃっていました。「いくらIoTでデータを集めたからといって、現場の見える化や整流化ができていなければ、ごみ集めているようなものです」。つまり結局のところ、「人」あっての改善(IoT)といことになってくるのですね。「Garbage in, garbage out」です。
我々勘違いしてしまいがちなのが、テクノロジーを使うとなんだか問題が一気に解決してしまうのではないかというような気になってしまう点です。あるいはコンサルタントを呼んで、業務改善しましたが、定着しませんというのも同じような錯覚でしょう。できることは山ほどある。そしてたいがいは人を育てる仕組みづくりがカギなのではと、海外改善を通していつも感じてしまうことです。
日本の未来は明るい
IoTやAIというのは非常に話題性のあるトピックで、いずれどういう形であれ、我われの暮らしの中により一層浸透していくと思います。自動運転なんか、はやく量の経済で普及してくれないかなと思ってます。そしたらうちの父母も免許返上しても気にせず出かけて回れるのになーと。
それはさておき、日本の産業が技術が世界において行かれているとか、日本の世界におけるプレゼンスの後退がーなんて話をよく耳にしますが、この二つの工場やIoTのビジネスモデルを見ていると、まだまだ日本も捨てたもんじゃないぞ、と思えてきます。がんばれニッポン!そして私もそうした流れの中で、新しい提案も含めた工場改善、がんばっていかないとなー。私もインターフェースなしで、早くクラウドに繋がっていきたいです!