改善活動の進め方は「焦点化」である
Kaizen focusing step.
皆さんこんにちは、Kusuoko-CIです。今日も一日お疲れさまです。
前回、見える化が、現状把握のための基礎となる、というお話をしました。
問題が見えれば、手の打ちようがあるというやつでしたね。
では次に、問題が見えるようになったらどうするか、ということが知りたいことなんじゃないかと思います。わかるようになっても、問題解決が出来なかったら意味ないですもんね。
問題がある、でも今度はどうやって初めていいのかわからない。どうしていいのかわからない。
こうしたとき、やはり成功しやすいProjectの、正しい「道筋」を導き出していく方法というのがあります。
逆に言うと、こういうきちんとした手順を踏まないと、なかなか成功しない。
しょっぱなの一回目で成功しないと、なんとなく2度目はやりたくない気持ちになるのが人間です。なので、まずは今回ご紹介するステップを踏んで、確実に小さな成功を感じていただきたい。
そうすることで、2度目3度目と、続けて挑戦がより楽しくなっていくはずですから。
とうことで、とっつきやすい問題解決プロセスの、導き出し方をご紹介してみようと思います。
目次
改善活動、最初の進め方「焦点化」
以前もお話ししたように、今まさに問題が見えるようになっているわけです。
「バリューストリームマップ」とか「情報とプロセスの流れ図(Swim lane)」を書けば、プロセスや会社全体の中の問題点も見えてきます。
以前もお話ししましたが、そんなもの描く暇がないというなら、まずは本当に簡単なものでいいからプロセスを書いてみましょう。
視覚化することで、ほんとに頭の中クリアになっていきますからね。逆に書いてみないと、いつまでたってもわからない。
そして進めていくためのステップは、
- 現状把握:現状の問題を数値化する(悪さ加減はどれほどなのか)
- 目標設定:思い描いているターゲットは、それに対してどの位なのか
- ブレインストーミング:そのギャップ(問題)を生み出している、おおよその原因は何なのか
- 優先化:3で出てきた潜在的な原因で、今回のギャップ(問題)に対して最も効きそうなものはどれか
- アクションプラン:4で優先化された問題の原因をより突き詰めるための、大まかな行動計画を立てる
これだけです。
単純なんで、一個ずつちょっとずつやれば、全然難しくないはずですよ。
それでは一つずつ、順に見ていきましょう。
現状把握
これは見える化された問題が、どのくらい悪いのかを把握しておくこと。
数字やデータになっていることが望ましいです。
なので、例えば、歩留まりでどの位悪いのかの%とか。全体にかかる工程に時間がかかりすぎてるならどのくらいかかっているのかとか。あるいは、残業代で経費がかさみすぎているなら今どのくらい(何円)かかっているのか。
痩せたいなら、今の体重は知っておきたいですよね? それと同じです。
目標設定
そうしたら今度は、目標値です。
1の段階で、問題を数字で表しています。ということは「測れる」んですよ。
何パーセントとか何分とか、何円とかいうふうに、測れるということは改善していくうえでとても重要なんです。
なので、どんなこともなるべく計測可能なものにしていくことが大事です。
そして、どのくらい良くしたいですか?
何キロまで体重を落としたいのか、こういう具体的な目標設定が必要です。
基本は、お客様に望まれているものになります。そうでないと、誰のための改善なのかわからなくなってしまいますからね。
ブレインストーミング
1と2の引き算です。そこに引いた数=差が生まれます。それがギャップです。
トヨタ改善の進め方でもこのギャップアプローチというのは、基本中の基本になってます。
ここでやってほしいのは、そのギャップを作り出している、原因て何だろう? という探索です。
チームの皆さんで、とにかく考えられる限りのアイデアを出してみましょう。
このとき、いわゆる特性要因図(魚の骨図)のMan, Machine, Method, Materialの通称4Mで考えると、漏れがないブレストができます。
人、機械、方法、材料で4Mとなってますが、これも状況次第です。考えられる限りのカテゴリーを書いてください。このカテゴリーを考えるためのブレストをやってもいいですね。

6Mになってます。
優先化
今度は最も効きそうな原因を、ピックアップしないといけません。
ブレストで、ずいぶん「これが怪しんじゃね?」という要因は思いついたと思います。でも資源も時間も人も限られているわけです。
なので、最も効きそうなものを選んでやる。
この辺の選び方は、「勘・コツ」でも構わないと思っています。
皆さん、現場の方も交えて、いろいろなアイデアをすでに出しあっているはずですから、「これが一番効きそう」とか「これはほんとにやばいから、今回これからなんとしよう」というところに行きついているはずです。
なぜそんなことが言えるかというと、この今回ご紹介している正しいステップで改善を始めようとしている順序を、ここまできちんと踏んでいるからなんですね。
そうでなければ、こうした「勘・コツ」などというものは、当然極力排除されなくてはならない。
ただ、こうして問題を数字で把握し、関わるみなさんでアイデアを出して、そして行きついた要因なら、ほぼ間違いなく、それからやっていっていいはずですよ。
これが正しいステップを踏むことによって、Projectの成功率を上げる秘訣です。
ちなみに優先化と言えば、80対20の法則です。
アクションプラン
そうしたらProjectの行動計画を立てます。
出てきた要因を、さらに詳しく解析し、調査し、真因を追求して、改善案を作り出し、実行し、効果をみて、レポートにまとめるところまでを表に書いておきましょう。
- 何をやるのか
- だれが責任者か
- いつまでに
注意点などあれば、それも合わせて書いておきましょう。
こうして出来上がった計画表は、Projectの現場の、一番見やすいところに貼り出してください。
そして、緑なら計画通り、黄色で遅れ発生、赤で問題発生というふうに状況がわかるようにします。
こうすることで、進行状況の問題も見える化されて、すぐに手を打つことができるんですね。またも見える化が力を発揮します。
ワークショップ事例
残念ながら、ここに私が手掛けているProject事例を出すわけにはいかず。やっぱり会社の中のことなので機密になってしまいます。
ただ、上記のやり方が、我々が外部のコンサルタントを招いて行っているワークショップの、最初の準備工程になります。
これまで数多くのProjectを見てきて、失敗しているものを見ていると、やはりこうしてきちんとした手順を踏まずに、進めてしまったものが多いですね。
あるいは、すでに「改善策ありき」でProjectを進めてしまったとか。
結構陥りがちな罠なんですが、こんな具体例があります。
なんか市場で、とても良さげに見える機械を見つけた。最新で、すごい効率化が実現可能。
という謳い文句で導入した。でも様々な理由で使われなくなってしまった。これは例えば、生産状況が変わった、製品が変わった、メンテがたいへん、そもそもそのラインの現状に合わない機械だったなどなど。
こういうケースはだいたい、社長の鶴の一声で購入して、高かったので撤去も出来ず、使ってないのに工場の一番いいところに鎮座している、なんてパターンですね。
撤去の決断ができるかが問われていきますが。だいたい決断できません。
こうした無駄や失敗を避けるためには、現場を知っている方、経営サイド、様々な角度から、きちんとした手順を踏んで、真因を見つけてからの改善施策立案・実行でないといけないということです。決して、機械やシステムの購入・導入ありきで進めてはいけないのです。
きちんとした手順を踏んで、大きな問題をどんどん掘り下げ、焦点を浮き彫りにすること。そうすればかなりの高確率で、改善活動を成功させることができますよ。
まとめ
そんなわけで今回は、改善活動、最初の進め方「焦点化」でした。
ちょっとおさらいですが、
- 現状把握:現状の問題を数値化する(悪さ加減はどれほどなのか)
- 目標設定:思い描いているターゲットは、それに対してどの位なのか
- ブレインストーミング:そのギャップ(問題)を生み出している、おおよその原因は何なのか
- 優先化:3で出てきた潜在的な原因で、今回のギャップ(問題)に対して最も効きそうなものはどれか
- アクションプラン:4で優先化された問題の原因をより突き詰めるための、大まかな行動計画を立てる
でしたね。
あなたの目の前に広がる問題は、なんだか大きくて曖昧模糊で、わかりづらい。
それを、余計なものをどんどんそぎ落として、問題の核心にロジカルに迫っていくのがこのステップです。
問題が見えてきた時の快感は、脳内でなんかの物質出てるんじゃないかってくらい快感ですから、ぜひお試しあれ。
あなたのカイゼン活動に役立ててみてくださいね!
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。ではまた!