リーン生産方式の作り方 

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皆さんこんにちは! 今日もどこかでカイゼンサポート、Kusunoko-CIです。

さて何回かにわたり、一個流し生産や、少人化について語ってまいりました。

生産性を上げ、儲かる体質にするには、「流れで作る」ということが不可欠でしたね。

そこで今回は、このリーン生産方式の挑戦が始まると、具体的に何が必要になっていくのかを見ていきたいと思います。

シングル段取り、あんどん、多能工、応受援、ブリッジ生産、こうしたTPS(トヨタ生産方式)の工夫は、長いカイゼンの、必要性から生まれたものでした。なので、これだけを導入しても意味ないので、注意しましょう。

一個流しとレイアウト

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一個流しを実現するためには、プロセスに沿う形でレイアウトを変えることから始めなくてはいけません。

バッチで生産している間は、機械や機能でグループごとに「島」を作って、あっちへ運び、こっちに移し替えという作業が発生しているはずです。

仕掛かりも多いですから、かなりのスぺースも必要になります。時には仕掛かり専用の倉庫を用意して、そこへ一旦入れてからまた出してくるというムダも発生していることでしょう。

1個で流すということは、いわゆる「間締め」も行い、機能ごとではなく作業のプロセスを一筆書きするようなレイアウト変更をしていきます。

一筆で書けますか? 工場のレイアウトを少し眺めてみるといいかもしれません。

モノが1個で流れる=作業者さんの仕事は「サイクリック」なものになっていきますから、タクトとのバランスが見えてきます。

仕掛かりは減るので、余剰スペースが生まれます。新しいラインを増設することも可能になるかもしれません。

見通しもよくなり、安全性も確保できます。

誰が何を作ったのかが把握できますから、品質カイゼンをするのも容易になっていきますね。

いいことずくめです。

要素作業が違っていて、どうしても一本で流せないのなら、「魚の骨レイアウト図」を使って「Sub Assy」を考えてみることも必要になってきます。

シングル段取り

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一個流し流しを始めようとすると、段取り替えに時間がかかって流れないという現実が立ちふさがります。

ですので、いわゆる「シングル段取り(Single Minute Exchange of Die): SMED)」というカイゼンに取り組みます。

10分以内でやるということで、「Single Minute」です。

こちらも以前具体的な方法をご紹介いたしましたので、ぜひ参照していただきたく思います。

ちなみに、「調整に時間がかかる」というお話もよく聞くのですが、これには「合わせるな、当てろ」という言葉があります。

当てる、つまり必要とされる状態(幅とか高さとか)状態に一発でもっていくには、どうしたらいいのかを考えることです。

冶具や、製品のダミーかもしれませんが、こうした調整にかかる時間も短縮可能ですし、コンピューターからの設定呼び出しだって、何かしらやりようはあるものですから、ぜひ現場の皆さんと知恵を絞っていただきたいですね。

自働化

さて仕掛が減り、現場の見通しも良くなって、作業者さんお仕事も標準化されていきました。標準作業票が現場に提示してありますから、誰が来ても作業者さんが何をしているのかがわかります。

必要工数やかかるリードタイムがクリアで、生産数が増えればこのくらいの残業が必要ということも、マネジメントにきちんとした理屈で説明することが可能になってきますね。

ここまでで

  • 仕掛かり減
  • 製造リードタイムの短縮
  • スペース確保(倉庫の代金削減・新しい仕事の誘致可能性)
  • 品質向上

などお金に響いてくることから

  • 作業性向上
  • 読める納期
  • 労使間のフラストレーションの緩和

などの間接的な恩恵まで、いろいろといいことが多くなっています。

次に行いたいのは、「自働化」です。

機械による様々な作業というのはとても便利なものですが、そのすべてに常に人が張り付いていなければいけないならば、生産性という意味において「?」マークが点灯してしまいます。

この「にんべん」のついた自働化は、人の働きを機械にやってもらう、つまり機械に「人」のやっていることをやらせて、人の張り付きをなくそうというものです。

具体的には、

  • ライン・工程の異常を判断して、止まる
  • 品質の異常を見つけて、止まる

ということですね。

こうすることで作業者さんを、他の「人間にしかできない作業」へ割り振ることが出来るようになります。

ここで、異常があったら機会が自動的に止まる仕組みが必要になりますが、その異常を教えてくれる「あんどん」の設置も必要になってきます。

ただこうした「あんどん」を設置しながらも、うまく機能していない工場も多々あるのが現実です。

おそらくは、

①    機械・設備故障でつねに停止しがちである

②    品質を工程でつくリ込む能力がなく、原因が究明されていない不良が多発している

③    原因を究明し、改善につなげることのできる人がいない

④    異常を把握しても、すぐに対策を講じる仕組みがない

⑤    標準作業化が整備されていないため、何を異常として止まるのかがあいまいだ

などの理由が背後にあります。

あんどんがずーっと点灯しているのに、状況が何も変わらない(誰も何もしていない)、という場面に出くわしたこともあります。リーンの工夫だけ取り入れても、基礎が備わっていないとうまくいかないという例ですね。

TPS究極は少人化

ここまでくると、実際に工程から人を減らしていくいわゆる少人化ができるようになります。

以前もご説明しましたが、要素作業から無駄を省いていくことで、「省人化」が行えるようになりますが、これでは、小数点(3人が2.5人とか)になっただけで一人分まるまるを工程から抜くことはできません。

そこで何をするのかというと「応受援」の考え方です。

ライン内の前工程作業を後工程が手助けしたり、ライン間で忙しい所を手伝ったりすることで、この小数点分の作業というのを吸収することができるようになります。

設備が邪魔してるのであれば、設備を渡る橋(ブリッジ)などを設置して、作業者さんが自由に行き来できるようにすると良いでしょう。

生産の増減に対しても、フレキシブルに要員の増減ができるようになります。

ただしこうしたいわゆる「ブリッジ生産」を達成するためには、並行して多能工化(multi-skilled worker)が必要になるのは言うまでもありません。

日本だと、こうした考え方は浸透しやすいですが、海外の場合はなかなか難しいです。彼らは就職時に「Job description」という「こういうお仕事をしてください」という仕事内容のリストをもらっていて、それ以外の作業は基本的にしません。

なので今いる皆さんの、意識変化にも時間を割かないといけないですし、今後は雇う際にも少し気を使わなくてはいけない。ただ、その国の労働法的なこともありますから、人事の方と協力してトラブルの無いようにしたいですね。

この応受援の考え方は、もっと突き詰めると他の繁忙工場への応援に行き着きます。

人件費が固定費ではなく、工場の生産に応じて変わる変動費になりますから、財務的なインパクトも大きいです。

またこの応援によって、行った先の工場の現場カイゼン事例を、実際に目の当たりにすることができます。これはそのまま「ヨコテン」につながっていきますので、会社全体のレベルアップにも貢献していきますね。

ちなみにこうした人の「配置換え」で怖いのは、品質への影響です。こうした懸念を極力払しょくするためにも、応受援は優秀な方からが原則になります。

逆をやると、この仕組みの根幹が揺らぎかねません。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はLean生産方式の作り方と題しまして、リーンな工程を作るために具体的に何が必要になっていくのかをご説明いたしました。

こうした考え方は、工場だけでなく、オフィス系の仕事にも当てはまります。

キーポイントは、「要素作業と標準化」です。これがしっかり出来上がってくると、事務系のお仕事も応受援の考え方が生かせるようになっていきますし、なによりRPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化)の導入もはかどります。

トヨタ生産方式の機械の導入も、考え方としては全く同じです。作業を分割して究極まで単純作業にすることで、誰でもできるものにする。

そこを機械に置き換えるのです。

そうすることで、不必要に高い割には、融通の利かない機械購入という事態を避けることができます。

まずはプロセスを標準化して工程カイゼンをしてから、投資を考えてください。もし高い割には融通が利かない機械(システム)が、工場の一番いいところにでんと居座っているのであれば、それを(いくらであろうとも)売却することも視野に入れなくてはいけません。

とはいえこういう機械って、会社の一番偉い人が買っていたりするので、難しいかもしれませんね。

そういうところは、割と真面目に、「その機械の売却に踏み切れるかどうか」で存続が占えたりします。

どうでしょうね。納得して変化を受けいれてくれるといいですが。努力してみてください。

今日も読んでいただきましてありがとうございました。

ではまた!

かなり詳細に書かれています。

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