マテハン カイゼンから活性指数まで解説

Photo by Jake Nebov on Unsplash
皆さんこんにちは! 今日もどこかでカイゼンサポート、Kusunoko-CIです。
前回、倉庫やストックヤードのカイゼンの考え方をご説明しました。動線の分析や、運搬についてもご紹介しましたね。
そこで今回は「マテハン カイゼンから活性指数まで解説」と題しまして、その運搬にもう少し焦点を当てたカイゼンについてまとめてみました。運搬の活性指数についても触れています。
ぜひ皆さんの運搬カイゼンにお役立てください。
運ぶことはムダ
モノを動かしたり、持ち上げたり、置いたり、降ろしたりすることを「マテリアル・ハンドリング(Material Handling)」といいます。
いわゆるマテハンですね。
比較的カイゼンが進んでいる工場でも、人件費の50%、作業時間の20%が運搬に費やされているのだそうです。
これは大きい。
それゆえ、運搬はできる限りカイゼンして、その手間を省くように考えなければなりません。
運ぶこと自体が、7つ(8つ)のムダにも挙げられているものですから、なくせるモノならなくしてしまいたい。
ですので運搬の最善策は、当然運ばないことになります。
基本的にはこの観点から、常に作業展開を考えていかなくてはいけません。
とはいえ現実的に、全くなくすということは不可能でしょう。
工程内、工程間、倉庫間などでどうしても運搬は生まれてしまうので、以下の点に注意してカイゼンを行っていきます。
運ぶのであれば最短で
どうしても運ばなくてはいけないなら、最短距離=直線を描く動きにすること。交通事故もカーブでの事故が多いことからもわかるように、曲がる経路を作ればそこには事故も発生しやすくなります。
レイアウトの変更を考えましょう。間締めも必要になりますね。
効率を考えた運搬
モノが移動しているとき、これは工程内の作業でも言えることですが、モノを「取る」+「置く」という作業は、地味にムダを、それでいてかなりの割合で作り出している行為です。
この辺一個流しのメリットともつながるのですが、この「取り置き」動作をいかに減らすかがポイントになってきます。
どうしても運搬・移動させるとなれば、具体的に
- 「取る」(持ち上げる行為)
- 「運ぶ」
- 「置く」
が発生しますから、これらをいかに効率的に行うかを考えなくてはいけません。
具体的には、まとめる(容器に入れる)とか、置き位置を高くするとか、車輪をつけるとか、コンベヤで流れるとか、そういう工夫が必要になります(後述)。
また機械にやらせるというのも、効率化ではありますね。機械導入だと、
- AGV (無人搬送車Automated Guided Vehicle)
- クレーン
- コンベヤ
などが考えられると思います。
まとめて運びたいならAGV、一個で流したいならコンベヤ系と用途に合わせて導入していきます。当然デメリットもありますので、投資の必要な仕組みの導入は、なんでもいいですから、必ずシュミレーションをしてからにしましょう。
仮置きしない
カイゼンの世界には、「合わせるな、当てろ」という言葉がありますが、これは運搬にも適用できる考え方です。
先ほども述べた「取り置き」という作業は、非常に多くのムダを含んだ作業です。
運搬すると決めた以上、これらは絶対に避けられない動作なのですが、例えばAGVに載せるために、その横に「仮置き」とか、コンベヤから降ろして一時的に置く、などの動作が生まれないレイアウトや仕組みを考えなくてはいけません。
「仮置きするな、本置きしろ」ということですね。
いわゆる人にタッチポイントを、いかに減らしていくかにもつながっていきますが。
ちなみに置き場所・貯蔵場所は、加工のなるべく近くにすれば、運搬の距離は当然短くすることができます。
基本的に人が触るポイントというのは少ないに越したことはない。
例えば入庫してくるものだって、下図のようにトラックから直接加工する場所へ届くのが理想ですよね。
カイゼンの世界では、「合わせよう、調節しようとして間に入る作業」は基本的にムダです。上図の最後のような状態はなかなか難しいにせよ、どこまで「中間調整なしの一発で」作業をさばけるかを考えるのは、とても大事な視点になってきます。
運びやすさ・運びにくさの「見える化」
「活性指数」は、モノを移動する際の手間の数から、現在の運搬の状態を数値化したものです。武蔵工大(現東京都市大)の遠藤健児先生という方が考えた、モノの取り扱いカイゼンの手法になります。
この活性指数が大きいほど(必要手間数が少ないほど)、モノが扱いやすい状態になっていると言えます。
一般にはここからさらに活性分析図を使って、平均活性指数を求めて、と説明されていることも多いのですが、私はあんまりそこには意味を感じません。
実務的には、現状がせっかく数値になっているのだから、直接カイゼン活動の手助けになるようにするのが良いでしょう。
例えばレイアウト図に、現地現物をして上記のテーブルの数値を書き込む(見える化)。
そしてチームの皆さんで合意形成を図りながら、活性指数の低いものから重点的にアクションを取っていく、という感じですかね。
カイゼンの第一歩が見える化、次いで焦点化ですから、現状を見えるようにして、運搬状況の悪いところから順に潰していくことになります。
もちろんレイアウトの抜本的な変更や、機械導入など大幅に変えてしまうことも可能ですが。
いずれにせよ、カイゼン前・カイゼン後や、他の場所との比較検証のために、先に上げた平均活性指数を使用すれば、目安として使用できますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回「マテハン カイゼンから活性指数まで解説」と題しまして、モノの移動に関わる改善視点や、活性指数というある種の見える化ツールのお話しでした。
冒頭にも述べましたが、人件費の50%、作業時間の20%が運搬に費やされているのであれば、ここは効率化の宝の山です。
なぜ運んでいるのか、もう一度考えてみましょう。それは本当に必要なのか。
必要なのであれば、どうすれば最も少ない労力と動作、移動距離でその目的を達成できるのかを考えることです。
本文には書きませんでしたが、「重力」(からくり)を使うことも考えてみてくださいね。母なる大地の「重力」は、なんせタダですから。これを利用しない手はないですよ。
後はくれぐれも安全第一でお願いします。これだけは譲れませんので、すべての活動における最優先事項として位置づけていきましょう。
今日も読んでいただきましてありがとうございました。
ではまた!
網羅的。中小企業診断士の内容も。