生産性をあげるには、一個流し生産ラインとそのメリットについて

One piece flow.

皆さんこんにちは! 先日も某工場にて、改善ワークショップを行っていたKusunoko-CIです。

さて、「生産性をあげたい」と思うのは、事務方であれ工場関係者であれ、責任のある人なら、誰しも思うことですね。

生産性とは、一般的に、Output(付加価値額や生産量)を、Input(資源投入量、労働者数や工数)で割ったものとして定義されます。

つまり、より少ない資源投入で、より多くの付加価値を生んで入れば、それは生産性が高い職場と言えるわけですね。

では、その生産性をどうやって上げるのか。つまり、一つのものを作るのに、いかに投入するものを少なくするのかが、我々の追求すべき目標になります。

そこで今回は、生産性を上げる、トヨタ生産方式の要、「一個流し」についてご説明いたします。生産性をあげるには、一個流し生産ラインとそのメリットについて、です。

一個流し 流れを作り、流れで作る

One piece flow

トヨタ生産方式は、基本「一個流し=One piece flow」です。

一個流しをすれば、必ず生産性は上がっていきます。

一個流しとは、単純に製品が「一個(ないしは、最小のロット)でラインを流れる」生産スタイルになります。

なので、生産ラインに流れを作ることが必要になります。そして、「流れで作る」のです。これはとても大切な言葉なので、ぜひ覚えておいてください。「流れで作る」。

この一個流しのやり方ですが、まずは、一人完結型の作業をやめ、工程を要素に分解します。そしてその要素作業(それ以上分割できない仕事)から、丁寧にムダを取った作業を、タクトの中で積み上げていきます。

今までは、一つの工程で、タクト内10の要素作業しかできなかったかもしれませんが、ムダを取ることで今は12出来るかもしれない。あるいは15かもしれない。

そうやって、一つの工程が明確になったら、そのラインに必要な人数が明らかになります。そしてその工程を実現するための、ラインレイアウトも最適化されていきます。ラインのデザインやレイアウトから作るのではないのです。工程からラインレイアウトも生まれるのです。はじめに工程ありきです。

各工程の要素作業から、ものを作るプロセスとレイアウトが決まり、そこに製品が一個(ないしは最小の数)で流れる。

そうすることで、もっともムダのない、生産性の高い工程、整流化されたラインが作られるのです。ムダがないということは、Input(投入量)が最小化されているということですね。

一個流しは整流化

規模の経済では、大量生産すれば、製品一個あたりにかかる生産コストは低くなっていく、と教えられます。

なので、工場などでは、大きなロットで作ることがいい(安くすむ)、と考えられがちです。

しかし、この考え方には、コストに作用する、「時間」という概念が抜け落ちています

工場の場合、大量に仕入れ、大量に作り、大きなバッチ(ロット)で流すということは、それぞれの工程で待ち(仕掛り)が生まれるということを意味しますね。

この待ち時間には、当たり前ですが、製品は何も付加価値を生んでいません。ただ寝ています。

一般に在庫を抱えるにためには、その在庫金額の15%から25%のコストがかかるといわれています。

つまり大きなロットで生産するということは、付加価値のつかない仕掛りや、原材料・完成品をいろいろなところで寝かし、さらにそれを無駄に養うお金を払い続けているということになります。

当たり前ですが、一個で流す、あるいは最小ロットで製品を流せば、こうした待ち時間は最小に抑えられます。ムダがない、整流化された生産ライン=投入量が少ない生産性の高い工場ということができます。

生産性を上げるということは、ありとあらゆるムダ(7つのムダ)を排除するということ。

つくり過ぎ、運搬、待ち、在庫、加工などなど。難しいことを考えずなくても、「ムダを取る」という、ごくごく基本的なことを考えればいい、ということになります。いわゆる「Lean」な生産方式を目指すわけですね。

一個流しと見える化

そうは言われても、一個で流れる、整流化しているというのが、最初はあまりイメージがわかないかもしれません。

おそらく一番気になるのは、「ラインが止まってしまいう」ということではないでしょうか? そんな恐ろしいことはできない、というお話を何度もお聞きしました。

ただ、トヨタ生産方式(TPS)では、止めないほうが「悪」なんです。

ラインが止まった、モノが流れないということは、そこに問題が発生している、ということです。

TPSにおいて、問題とは「金の卵」です。

ですので、問題が見えたということは、どんどん良くなっていく(カイゼンする)ための気づきの第一歩。常に進化するために、積極的に発見しなければならない、それがTPSにおける「問題」です。

なので、問題がすぐに見える状態でなければならない。問題がある→ラインが止まる→問題解決できる→さらに良い生産ラインになる、この繰り返しです。

作り方や、手順だけの話ではないです。これは品質に関しても言えること。

この一個流しのラインでは、仕掛りが最小で最適にコントロールされ(標準手持ち)、万一不良が起きても、最小限(できれば一個)の被害で食い止めることができる。

考えてもみてください。今、工程間に山のような仕掛りがある。先入先出(FIFO)も何もあったもんじゃない。そして、管理しきれていないそうした製品が、客先へ流れてしまった。最悪の状態ですね。お客様への説明責任もあります。ラインを、すべてチェックしなくてはいけない。そのとき、目の前には、山のような仕掛りがそびえたっています。すべてが検査対象です。そしておそらく、大半がスクラップや手直し発生ということになります。考えたくないですよね。

管理がしやすい=ムダや不良を極力抑えることができることを意味しているのです。

トヨタの工場でさえ、不良というのは発生します。ただ、それを最小単位で抑え、自分たちの工程でいかに食い止めることができるかどうか、これがトヨタの品質管理です。

これを実現するためにも、この一個流しというのが、いわゆるトヨタ生産方式(TPS)の基本となっているのです。

まとめ

ということで今回は、「生産性を上げたいなら、一個流しがおすすめ」というお話しでした。

規模の経済は、大きな経済のお話です。工場には適用できないと考えておきましょう。これは事務仕事だって同じことです。

生産や、情報加工(書類作成)で、InからOutまでの時間がかかるということは、そこにそれだけお金がかかっているということです。かかる時間=コストです。

一般に、一個流しは、ロット生産よりも早いです。そしてムダがそぎ落とされていきます。仕掛りも減って、不良の検出も容易になります。

はじめは、大変かもしれない。

でも、まずはできる範囲で、流れるラインを作ってみてください

そこで苦労したことは、生産性の高さという結果につながっていきますよ。

今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。

では!

ちなみに、「一個流しは早い」ということが、いくつもの実験で明らかになっていますので、ご参考まで↓

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