アローダイアグラム(PERT)(新QC7つ道具)

皆さんこんにちは! 今日もどこかでカイゼンサポート、Kusunoko-CIです。

さて最近、段取り替え時間短縮の改善Projectをお手伝いする機会がありました。

Web会議で、かつ英語でとなると、なかなか意思の疎通がままならない(笑)。お互いを理解しあうのに、結構な難しさを感じるワークショップでした。でもそういう部分も含めて、いろいろいい勉強になりましたけど。

その中で、「複数の作業者さんが並行して行う作業の視覚化」に取り組むチャンスがありました。

ある作業が、他の作業のインプットになり、並行しながら、かつ順次作業を行わなければならないようなとき、それをどう見える化するのか。

視覚化して、「最終的にはそれをある種の標準作業票にしたい」、というリクエストを受けて、参考にしたものの1つが、今回ご紹介する「アローダイアグラム(PERT図)」です。

こちらも新QC7つ道具からの改善ツールになります。書き方や特徴などをご説明していきたいと思います。

アローダイアグラムとは?

Photo by Alvaro Reyes on Unsplash

我々の仕事の多くは、必ずお客様にお届けする「納期」というものを視野に入れる必要があります。

それがいわゆる「タクトタイム」という考え方にもつながるのですが。

工程の流れだけでなく、例えばその一部分である「機械の段取り替え」だって、その大きなプロセスの流れの中で、「この時間内で納めなくてはならない」というのが必ずあるはず。

それが全体のプロセスの「流れ」や、リードタイムに影響を与えますからね。

このように、特定のタスクや活動を完了するのにかかる時間を特定・管理したいとき、このアローダイアグラムを使用します。

計画と管理の手法として、

  • 全体のタスクごとの適切なスケジュール管理・調整ができる
  • 進捗状況を追跡し、管理運営することができる
  • 作業の順序関係や遅延で、他の作業にどのような影響を与えるかを視覚化できる

などの利点があります。

ちなみにこのアローダイアグラムは、英語で「PERT」と書かれます。

「Program Evaluation and Review Technique(プログラム・エバリューション・アンド・レビュー・テクニック)」の略で、アメリカで開発されました。

1950年代に、米国海軍の特別プロジェクト「潜水艦用のポラリスミサイルの開発」のために考え出された手法で、開発期間(7年)をなんと2年も短縮できたそうです。すごいですね。

アローダイアグラムの見方

ピザ注文から配達まで

こちらがアローダイアグラムです。説明用に「ピザ注文から配達まで」の工程で試しに作ってみました(またピザ)。

アローダイアグラムは、基本的に前工程の結合点から後工程の結合点に向けて矢印を引いていく単純な構造です。

ですが、慣れるまでは結構見づらい(笑)。

ちょっと意識の変革が必要になるのですが、数字の書かれた〇は、作業の始点と終点を表す結合点で、「→」そのものが作業を表していることに注目してください。

ここを、例えば「情報とプロセスの流れ図」みたいに、スティッキーに書かれた部分が作業で、矢印はそれをつなげるものという見方をすると、ちょっと混乱してしまいます。

そこを最初にきちんと確認しておくと、見るのも書くのも楽になるでしょう。

以下必要な記号と意味になります。

〇(結合点)には数字を書きいれて、作業の流れがわかるようにします。

作業名の下には、作業にかかる時間(数字)を書きます。今回はピザ注文から配達工程なので「分」ですが、プロジェクトマネジメントなどであれば、作業の日数が書かれていくことになるはずです。

また、〇の上には□が二つ重なった表をいれ、上に「最早」で取りかかれる時間と、下の段位は、最も遅くとも取り掛からなくてはならない時間(「最遅」)を書いていきます。

このようにして、「最早」と「最遅」が一致している経路は、最長で時間のかかる経路になりますので、「クリティカルパス」と呼んで、目立たせます。

ここが遅れると作業全体に多大な影響を及ぼすので、注意しなくてはいけないですよ、という目安になりますね。

アローダイアグラムの作り方

表の作成

まずは以下のような、作業内容と先行作業、そしてそれぞれにかかるであろう時間を書きいれた表を作ってしまいましょう。これがあるのとないのでは、アローダイアグラムの作成時間が大きく変わってきます。

先行作業とは、その作業を行うにあたり、事前に完了されていないといけないものです。

結合点と矢印と作業名・時間

こうして表が出来上がったら、結合点を左から書きながら、作業の線でつないでいきます。

線の上に来るように作業名その下にかかる時間を書くのが一般的です。

作業名。下にかかる時間(この場合は分)。

実線の矢印は、実際に何か作業をしているところをあらわします。例えば①のあとの「注文受ける」という作業や「サイドメニュー用意」というのは、実際に何かの作業があるので実線で描かれています。

そして、表にもあるように、「サイドメニュー用意」は「注文受ける」という「先行作業」なしでは成立しませんので、この順序で線でつながれることになります。

一方破線の矢印は、作業はその方向で進行し、先行作業を次の作業の順番関係を示しているが、そこに実作業がない場合に使われます。

 

たとえば、⑩「商品バッグ詰め」という作業は、⑦からの作業「デリバリバッグ温め」があって出来る作業ですが、⑧から⑩にかけてに何かの作業があるわけではないですよね。

最早・最遅

結合点の上に2段重ねの□を書きます。こちら上段が「最早」で仕事に取り掛かれる時間、そして下段が「最遅」、つまり最も作業を遅らせた場合の時間です。

例を見てみましょう。

最早

まずは最早(上段)からです。

ピザ工程の「ソース・トッピング(③作業)」は、「注文受ける」の5分、「生地を伸ばす」の3分の、合計8分後でないと絶対に取り掛かれません。つまり最早で8分ということになりますね。

さらにこの、「ソース・トッピング」作業は、「注文受ける」と「生地を伸ばす」両作業以外に何かを待つことはないので、「最遅」、つまり最も作業を遅らせた場合の時間も同様に8分となります。両者は一致します。

最遅

次に最遅の場合を見てみます。

今度は結合点⑥の上の「最早」「最遅」に注目してみましょう。

 

こちら⑥からの「箱に小袋唐辛子添付」作業は、「最早」だと、先行の作業たち「注文5分+ピザ箱組立1分」の終了後取り掛かれますので、6分です。

そして⑥の次の作業である⑦「ピザカット・箱詰め」が、今「最早・最遅」一致の17分になっていますね。

注文を受けてから、ピザを焼くまでにかかる時間は17分。この作業経路はこれ以上短くすることはできません。

一方でこの「箱に小袋唐辛子添付」という作業は、この17分という経路のトータルの作業時間に間に合えば、いつ始めても問題ないですよね。

17分から、小袋唐辛子添付作業に懸かる1分を引いた16分が、「最遅」で開始できる時間ということになります。

最悪16分まで取り掛かるのを遅らせても、全体の作業には何ら問題がないことが分かりました。このように見える化しておけば、滞りなく次の作業に引継ぎ・橋渡しができますね。

こうして「最早」6分と「最遅」16分という、上下で差異が生まれてきました。上下に差がある作業というのは、余裕のある作業ということもできるでしょう。ほかの作業のお手伝いも出来そうですね。

ちなみに④から延びる作業は、破線、つまり実作業なしの「0分」ですから、最遅取り掛かり時間は18分で、⑨の作業開始時間と一致しております。

クリティカルパス

クリティカルパスを明確化

そして先ほどの「ピザ焼き」工程のように、上下の□に書かれた作業時間「最早」「最遅」一致の経路は、先ほども紹介しましたが「クリティカルパス」と呼ばれています。

英語で「critical」、つまり「危機的な」とか「重大な」という意味です。

絵の中では今、緑色の矢印で描かれている経路ですね。

この「最早」「最遅」両者一致の経路というのは、そこに位置するどの工程の遅れも、確実に工程全般の遅れに直結します。ですので、このクリティカルパスにある工程には細心の注意を払って、遅延なきように管理していかなくてはなりません。

このようにアローダイアグラムは、並行して行われる作業の相互関係を把握して管理するのに、かなり有効なツールになります。

アローダイアグラムのデメリット

とはいえデメリットももちろんありまして、まず慣れるまでちょっとわかりづらい

そしてあんまり万人向けでないため、導入に当たってはきちんとした指導や、関わる方全員による理解がないと、うまくいかないです。

また変更があった場合などに改編・更新をしようとするときも、ちょっと面倒。

やってみるとわかるのですが、慣れないうちは「この線は?、〇は何だった?」とか、「最早と最遅って、どうやって計算するの? そもそもどの作業の時間を説明しているの?」としばらく悩んでしまうこともあるでしょう。

些細なことですが、経験の浅い人にとっては、こうした混乱がプロジェクトのスケジュールに影響を与える可能性だってありますからね。トレーニングをしっかり実施してください。そして慣れるまで、辛抱して使うことも必要かもしれませんね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は新QC7つ道具から「アローダイアグラム(PERT図)」のご紹介でした。

複数の作業者さんが並行して行う作業の視覚化」というのは、ガントチャートでは表現しづらいですから、この方法も覚えておいて損はないと思います。

ただ、少し慣れるまでは混乱することもあるかと思いますので、そこは注意が必要です。

ちなみに今回私は、先のProjectサポートに当たり、このアローダイアグラムと「情報とプロセスの流れ図(Swim lane)」の要素をミックスしてみました。

縦軸に当たるものに作業者を置いて(スイミング)レーンを作り、横方向の軸に当たるところに時間を記入すれば、どの作業者がどのタスクを担当して、かつ時間的にどういう順序・流れになっているかが見えてくる表になります。

いわゆる標準作業票の亜種として機能しそうです。

こうしたツールは、もちろん一つ一つきちんと理解することも大事ですが、自分なりにアレンジしていくことも必要です。特に各ツールの重ね合わせは、新たな思考のフレームワークを生みますので、ぜひチャレンジしていただきたいですね。

Lean先生曰く、「皆さんはプロなんですから、出来合いの器具を買ってきてそのまま使うのではなく、自分なりにアレンジしてより良いものにすることを忘れないでください」とのこと。

慣れるとこういう実験も楽しいものです。

今日も読んでいただきまして、ありがとうござました。

ではまた!

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