品質向上プロジェクトの流れはこう
Quality issue.
皆さんこんにちは。今日もくそ暑いタイです。
何だろう、今回の出張は少しお疲れ気味です。近くのモールに行って、日本のアリナミン買ってきました。いつもはキョーレオピンの「キヨーレオピンキャプレットS」という製品常備してるんですが、うかつにも今回忘れてきました。これですね。
”ニンニクを長期間かけ抽出・熟成し、濃縮して得られた濃縮熟成ニンニク抽出液に、肝臓分解エキス、ビタミンB1及びビタミンB12を配合した滋養強壮剤”
とのことで、結構よく効きます。とりあえず風邪をひかなくなりましたんで、いいと思いますよ!
さて、今日はまた改善Projectのお話ですが、前回が生産性のお話しだったんで、今日は品質を扱っている案件についてのお話です。
全体像をつかむ
生産性であれ品質問題であれ、現状を把握するというのはとても重要です。
そんなわけで、やはり最初はプロセスマップを書き表していくことですね。シックスシグマなど主に品質を扱うやり方でも、まずはざっくり、そして詳細にプロセスマップを書き込んで、全体像の把握に努めます。
Kusunoko-CIもトレーニングをやる時など、何度も強調するのですが、「何が起きているのか、どこで起きているのかがわかれば。手の打ちようがある」ということです。
ということでまずは、いつものように現状把握ですね。
特に品質関係のProjectの場合は、その不具合に関するデータというのが必ず必要になってきます。
大丈夫だとは思いますが、どういう不具合が出ているのか、どんな種類の製品で、どんなタイプの不具合か、という記録は取っておきましょう。それがないと、感覚でしかものが言えなくなり、確実に精度の低い改善結果になります。
Garbage in, garbage outというやつですね。質の悪いデータ入力からは、無意味な結果しか生まれてこないという例えです。
パレート(80:20ルール)
そうやって大きく視野を広げて全体を見まわしたら、今度は細部を追いかける段階に貼ります。
- どの製品でおきているのか(単体か複数か)
- どんな欠陥が起きているのか
- どのような製品の場所で起きているのか
こういう順で追いかけることになります。もちろんすべての製品、不具合の症状を一度に対応することは不可能です。
ですので、以前もお話ししたパレート図を使って、一番インパクトの高いものから順にアタックしていくことになります。もちろんその時のリソースと相談の上、80%を占める20%の要因をアタックできるのか、もっと少ないのか多いのか、決めてかなくてはいけません。
その際、上にも書いたように、まずは製品で最も不具合が起きているものがあれば、やはりそれから優先でしょう。
そして、その製品(たち)の中でも、いくつも違った不具合が起きているのなら、それも優先順位をつけないといけない。その製品に絞った不具合のパレート図(第2パレート)を作って絞り込み。
それと同時に、起きてる製品の場所というのも重要です。
一か所だけで起きてるならもちろん問題はないですが(いやありますけども)、いろんなところにまたがって起きているなら、それだって優先順位をつけていかないといけないですよね。なので第3のパレートなんかが、必要になってくる場合もあります。
なぜなぜ5回
そのようにして、どこの製品で、どんな不具合が、どの部分で起きているのか我優先化されて見えてきたら、今度は真因の追求です。
なぜなぜ5回なんかの出番です。
これも別に5回じゃなくてもいいです。10回でも20回でも、真因にたどり着くまではずーーーっとやってください。大事なのは回数ではなくて、真因に辿たどり着いたかどうかです。
これ重要なことなので、もう一回言っておきますが、真因に対する解決策を打たない限りは、その問題はまた発生してきます。
せっかくやった改善案が効かなくて、またやり直しするときって、結構精神的に削られます。や、そういうこともあるんですが、できれば避けたい。
なので、ここしっかりなぜ? なぜ? と本当の原因にたどり着くまで問い続けてください。
“当たり”をつける
で、なぜなぜ分析で真因が見つかると、だいたいこれはあのプロセスのあの辺で起きてるんじゃないか、とうことが見えてきます。
まだこの段階では、“当たり”をつけている(推測)にすぎない。
ですが起きてる製品、症状、不具合の種類なんかを見ていると、「あの辺の作業者さんの動きが」とか「あの機械に入れるときの下側で」なんていうことがイメージされてくるものです。
ちなみにこれまでの流れの中で、実際に起きてしまった製品の実物があるなら、それを目で見ながら、皆さんで検討することをお勧めします。
なぜなら、お分かりかもしれませんが、実物があるのとないのでは、我々イメージする力が全く変わってくるんですね。これも現地現物、そして現実という3現主義の大事なところです。必ずそこへ行き、触り、動かしてみて感じること。これが大きな違いを生んできます。
チームで観察、現地現物
そうしましたら、実際に起きている不具合を今度は紙に書き込んでいきます。
先ほど、プロセスマップを作ってあるお話をしましたが、せっかくあるのだから流用していってもいいでしょう。
これとこれの不具合は、工程3で起きてそうだ。これは工程5.これとこれはおそらく工程の1と、さらに7も怪しい、みたいな不具合予測プロセスマップが出来上がります。
で、それをもって観察です。
実際に、その製品が流れているところを見る。作業者さんにいつもと同じように(ちょっと難しいですが)作業してもらって、延々視る。
そこかもしれない。そこじゃないかもしれない。それがわかるまで見ます。
でも先ほどもお話ししましたが、この段階では予測がそう大きく外れていることはないのでは、と思います。なぜなら、
- 真因が見つかっていること、
- 実物を見ながら動かしてみながら予測したこと、
- チームの皆さんが経験者であること、
などが理由になってきます。
ちなみに、品質でも生産性のプロジェクトもどちらもですが、その問題に関わりのあるプロセスの部署からの人を、全員チームに入れておいてください。
生産技術、デザイン、品質、ライン、整備、実際の作業者さん。品質だとこのくらいは最低でもチームメンバーに入っていることがマストだと思います。
実際に一緒に目で見てみることで、普段知らなかった互いの仕事知るいい機会にもなります。そして問題点が、例えばデザインの段階で起こる事であったなら、デザインの人はそれを身をもって知りますね。そうすれば問題解決に向けて、一緒に動いてくれます。そうでなければ、また同じことを何度も説明して、聞いてくれたりくれなかったりという、新たな時間と手間も発生していきますので。
解決策実行
ここまでくれば、あとは解決策を立てて、いよいよ実行です。
ブレインストーミングで、解決策を出す。これでもかと出す。
そしたらそのあとで、アイデアの質を考えていけばいい。そのように広げては狭め、広げては狭めていくのがLeanの考え方でした。
ここで一つ注意しておいてほしいのは、どんな解決策も、実行の段階で、必ず作業者さんの声を聞きながら考えていくことです。
いつもその作業をしない人が良かれと思って作ったり、あたらしく導入した冶具なんかは、作業者さんが使いやすいとか、便利だと思ってくれないと、絶対使われないです。
あるいは、作業者さんにひと手間かけてもらわないといけない、こういうアイデアも要注意。皆さんが会議室で試してみた動きは、何回の検証を経ましたか? 10回ですか? 20回ですか?
実際の作業者さんは、それを一日に1000回とか、ときには1万回繰り返してやらないといけないですからね。それを忘れないでおきましょう。
なるべくエルゴノミクスに準じたものであるのは、言うまでもないと思います。
とはいえ、実行フェイズは、ここまでの準備段階がきちっとされていれば、特に大きな問題もなく進むはずです。
フォローアップ
品質の問題では特に、このフォローアップは欠かせません。
もちろんどんな改善でもそれは必要なんですが、ここでいうのは、「やった解決策がデータ上も、本当に有効だったと言えるのかどうか」という検証に関してです。
いくつの製品がそのラインで流れているのかによりますが、それに応じてサンプルサイズというものが必要になりますから、そこを注意しましょう
計算式もありますが、今はMinitabを使えば簡単に、必要なサンプルサイズが求められます。
そこで例えば、サンプル数200とか出て、月に6個しか作られないような製品等の場合もあるとも思うのですが。これは極端な話ですが、3年も待ってOKというのはばかばかしですし、3か月あるいは切りのいいところのまでの観測で、不具合が出てこないので良し、という判断はあってもいいでしょう。
まとめ
品質に関しては、本当はもっといろいろなツールがあって、それぞれ特性等もあります。今回は紹介してませんが、QC7つ道具だけではなく、シックスシグマにも多くの統計ツールがあって、改善データの妥当性などの検証に使われます。
ただし、上記のようなやり方が、オーソドックスな流れです。その中で、どのようにそうしたツールをうまく使い込んでいくかでしょう。シックスシグマの大御所GEでも、「実行フェーズはLeanのやり方で良し」、というふうに聞いていますしね。
ちなみに今の新型coronaの件だと、もはやどこで、どういう感染経路で広がっているかわからないようで、これはかなり危険な状態だと感じます。すなわち、対処のしようがないということですからね。
早く収束していくといいのですが。ちなみにタイのモールの薬局も、4軒すべてマスク完売でした。
不要不急の外出はしない、特に人ごみの多いところは避けられるなら避ける。
そして免疫力を上げていきましょう!