オフィス系の改善なら「連関図法」をどうぞ!  新QC7つ道具

皆さんこんにちは! 今日もどこかでカイゼンサポート、Kusunoko-CIです。

最近オフィス系の改善Projectをサポートすることが増え、言語データを扱う新QC7つ道具の出番が多くなってまいりました。

ということで、学びなおしの意味も込めて、新QC7つ道具から連関図法の目的、作り方や注意事項を確認したいと思います。

いくつもの要因が複雑に絡み合っているとき、原因や結果の組み合わせが見えない時、この連関図は力を発揮します。ぜひ使い方をマスターしてしまいましょう!

連関図ってどういうもの?

連関図法(relations diagram)とは、多くの要素の関連を明らかにしていくための手法になります。

新QC7つ道具は基本的に、言語データを取り扱うためのものです。我々を取り巻く事象は、すべてがすっきり原因と結果に分けられるようなものではないですよね。

こうした言語データの、かつ複雑に絡み合った事象の関係性理解に役立つのがこの連関図法。

例ということで、今アメリカ「都市部の貧困」についての連関図を作ってみました。。

私は社会学者ではないので、これが本当に正しいのかどうかはわかりませんが、入ってくる情報を総合して考えると、以下のようなものが描けるのではと思います。

こちらを見ていただくとよくわかると思うのですが、論理的な順序で1つ1つの要因が次々と続く、というものではないですよね。

各要因は他の多くの要因につながっていて、それぞれに影響があることを示しています。

関連するすべてに線を引き、その接続点をカウントしましょう。最も多くのつながりを持つ要素は、通常焦点を当てるべき重要な要素になります。

連関図っていつ使うの?

Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

複雑に絡み合った要素群が、相互にどう影響を与えているのかを解きほぐすのがこの連関図の役割です。

改善のProjectの場合だと、割と初期の段階で使われることが多いようです。

例えばこれから取り扱う課題や問題自体を整理して、テーマを決めたいとき、連関図法でキーになる問題を探しだすことができます。

はじめのステップですね。

あるいは、見つけた問題を深堀して、しっかりとした「取組むべき課題(Problem statement)」を書きだす際にも使えます。

このように、チームの全員で課題・問題がはっきり見えていれば、そのProjectの成功率はグーンと上がってくるというのは、以前もお話いたしました。

原因・結果を明らかにするためのものですから、もちろん真因発見時にも効果を発揮します。最も効きそうな要素となるものを発見して、次の「改善案の策定」につなげていくことも、最も有用な使い方の一つとなります。

連関図の進め方

Photo by You X Ventures on Unsplash

この問題に取り組むチームの皆さんがそろったら、連関図のブレインストーミングです。

必要な材料は、付箋紙またはカード、大きな紙(A02枚とか)、ペン・テープなど。紙を貼り出せる、壁面のある場所(会議室)などが用意できると、なお良いでしょう。

具体的な進め方は、以下のような感じになります。

  1. テーマとなるべき問題をはっきりさせる
  2. 問題に関係するすべての要素を書きだす
  3. 各要素を他のすべての要素と関連付けて考えてみる
  4. 矢印を使用して、原因と結果になりそうな要素をつなげる(矢印は、影響を与える要素から影響を受ける要素にひく)
  5. 矢印を数える

ちなみに2つの要素が互いに影響し合う場合は、より強い因果関係わかるような矢印を書いておきます(上の例「都市部の貧困」場合では赤にしてみました)。

このように図示してみしてみると、

  • 外向きの矢印を多く持つ要素
  • 入ってくる矢印を多く持つもの

という二つがあることにお気づきになったかと思います。

この「最も外向きの矢印を持つ要素は、根本原因である」可能性が高いです。また「最も入ってくる矢印を持つもの」も、この因果の連関の中でキーファクターになってくるものといえます。

「都市部の貧困」の例で言うならば、最も多くの点が出入りするのは「学校の荒廃・教育の衰退」という要素となりました。

ここに注力した施策が必要になりますね。

例えば、

  • 教師・子どもたちが安心して学校に通える環境づくり(安全性)
  • 貧困層でも無理なく続けられる教育プログラムの開発
  • こうした政策への社会的関心の喚起

などが考えられるかもしれません。

注意点は?

Photo by Patrick Bellot on Unsplash

この連関図とよく似たものが、特性要因図(fishbone analysis)になります。

原因と結果の関連性を見出すという点においては、確かによく似たこの二つの方法。

ただ特性要因図は、いわゆる4M(man, machine, method, material)など、品質などの問題に関してある程度背景となる要因を、初めからカテゴリーに分けていますね。

その点、この連関図はそうした「いい意味での縛り」がない。すなわち抜けや漏れなく要因を抽出できているか気づきにくいのです。

この連関図でのまとめ方のデメリットを補うために、「はたして要因となる要素はすべて出そろっているのか?」という点、気を付けていただきたいと思います。

そうした抜け・漏れを完全になくすということはできませんが、先の特性要因図の4Mや、ビジネスの3要素「ひと・もの・かね」などといった、いくつかのフレームワークを重ね合わせて頼りにし、出来る限り網羅的に事象を扱うように心がけてください。

以前もご紹介したように、ここで抜けがあると、その部分ごっそり抜け落ち、という結構痛い結果になりかねませんので、そこは注意が必要になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

複雑に絡み合った言語データを、原因と結果という視点から切り分けて理解しようとするこの連関図。

工場や工程なら、いわゆる「Input」となるものの掌握は難しくないかもしれない。もちろん網羅することに、一定の注意と労力は必要となりますが。

その点、オフィスに関するお仕事内容や、アンケートベースの因果関係というのは、なかなかこうした「Y=f(x)」的な考え方が適用しがたい。

そうした改善に着手するのであれば、この連関図はかなり有益なツールになりますので、ぜひ一度お試しいただきたいと思います。

問題の焦点化や、因果関係の明確化に意外と使えます。結構忘れ去られている感の強い(笑)この連関図ですが、試してみる価値は大いにありますよ!

是非皆さんの、改善ツールのレパートリーに加えて、問題が複雑に絡み合っている時には、思い出して試していただければと思います。

今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。

ではまた!

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