守破離 Shuhari まねぶ、モデリング

皆さんこんにちは! 新しいこと始めてますか? 自分に自信を持つために有効な方法の一つが、常に新しいことにチャレンジしてみることなんだそうです。私も結構いろいろなことに興味があります。試せることは何でも試してみたい。そのための時間をどうやってひねり出そうかいつも考えてます。時間マネジメントの本を読まないといけないですね。さて今回、は新しいことを学ぶということにおけるフレームワーク、「守破離」に焦点を当てながら、現代社会を生きる我々が応用するならば、ということを考察していきたいと思います。

守破離 意味

守破離(しゅはり)は、日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもの。

日本において芸事の文化が発展、進化してきた創造的な過程のベースとなっている思想で、そのプロセスを「守」「破」「離」の3段階で表している。

とWikipediaには書かれていますね。

そもそも何でこんな、このネットの世界で手垢のついたような話題を引っ張り出してきたかといいますと、最近読んだ本の中で、「学ぶ」という言葉はもともと「まねぶ」つまり真似る・模倣するという言葉が語源であるということを知ったからです。で、そこからポーンとこの「守破離」という言葉が思い出されまして、そういや古くから日本人は芸事の道を究めることをこの3段階のプロセスでもって標準化しようとしていたんだっけと。これ、きちんと理解すれば我々が何か新しいことを始めるのにも絶対有益だろうと感じたわけです。

サウジのトヨタ時代に、私の上司であった方(パキスタン人で私の生涯で出会った中で最も頭の切れる人)がある日改善がらみの本(英語)を持ってきて、「Kusunoko-CIさん(仮名)、この『守破離』って何?」と尋ねてきました。あぁあなたラッキーですね、私興味あってこれ調べたんですよ昔、とは言わずに、さも当然のことを答えるように以下、説明をしました。

守:守ること。何かを始めるとき、まずは師匠の教えを守り、その芸事が培ってきた「型」というものを模倣しながらそこにある意味や目的を、とにかく忠実に再現できるように「学ぶ」段階。

破:その最初の段階が終わったら(これが重要なんだけど)、次に少しずつ少しずつ自分の色を出していく。すなわちその型をちょっとずつ「破って」行く段階。

離:「で、この最後の「り」は壊すって意味?」、「違いますよ。『離れる』です。最後にはそこから離れることで自分の道を作り上げていくという意味です」、「Ohh, very deep concept…」って感心してました。おおむねあってるはず。

その後彼は、彼が手掛けていたProjectのスローガンにこの「型」(そっちかい)という言葉を取り入れていました。曰く「なんか既存の言葉でこのProjectを捉えるんじゃなくて、もっと違った視点をもたらすために、ちょっとした『アクセント』になる言葉を入れたいんだよね」とのこと。さらっと流すのではなく、心に少しでも波紋を起こしたいという意味なのかな、と受け取りました。難しいプロジェクトだったので。

ちなみにこの守破離、千利休が言い出しっぺのようで、調べたとか言いながらKusunoko-CI、今の今まで世阿弥だと思ってました。10年前はネットでそう言われていたんですよ。情報がきちんと検証されていない時代だったんですね!(他人事)

守破離 ビジネス

さてではこの守破離というコンセプト、どうやってビジネスの世界で生かしていきましょう? 例えば改善活動の例でいうならば、

  • 守の段階は、とにかく学ぶ、真似る。師匠筋に当たる人の改善のやり方を、一緒になって学んでいく。最初のうちはやり方を指導してもらいながら、次第に一人でやれるようになっていく。いわゆる独り立ちまでの段階でしょうね。
  • 破の段階で、少しずつオリジナルな考え方を試していってみる。例えば、うちの会社ではこういうふうにやっているけれども、他社ではこんなやり方もやっているらしいぞ、とか、シックスシグマではこんな方法も使ってるらしいとか、比較・研究を通していろんなやり方ができないか実践しながら試してみる。Trial & Errorではありますが、先にも述べたように守の段階で一通りの「型」は習得しているはずですから、実地でもさほど大きな失敗はしないはず。
  • そして最後の離で、自分なりの改善フレームワークを構築していく。ここまでになるともう改善コンサルタントになるぐらいの力量はあるんじゃないでしょうかね。

どうでしょう? ご自分のTaskに当てはめてみるとどんな感じになりますか?

ここで何回か出てきている「」という言葉ですが、これが本当に重要なワードになってきます。例えば、「型破り」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これまさにこの守破離のコンセプトから来ています。「型」が習得されているから「型破り」なわけです。つまり「慣行として定まっている型の通りでないこと」がまかり通る、すなわち基本ができているからこその応用ということです。で逆に「型」がないまま破天荒を行こうとすると「形なし」と呼ばれる状態になります。ちなみに辞書で「形なし」は、

本来の形を損なうこと。跡形のないこと。また、そのさま。

2 面目を失うこと。さんざんなありさまとなること。また、そのさま。台無し

(コトバンクより)

はじめの守の段階は大変ですよね。修行に近いと感じるかもしれない。特に日本ではけっこう修行臭がきつくなることがある。正直あんまり好きではないけど、わかんないことがわかるようになるまで、見せてやらないといけないんだという意識を教える側も持ってないといけないと思います。「やってみせて 言って聞かせて やらせて見て ほめてやらねば 人は動かず」。山本五十六の言葉そのままですね。

皆さんの会社には業務における「型」、ありますか? 標準作業のことですよね。型があって初めて改善できる。ひとりひとりの従業員がこうした型をいかに改善していくか、そういう人間を育てていくかが、Toyota wayになります。人ありきです。

守破離 英語

ちなみにこれ英語で言うと何でしょうね。はいムリです。一言では言い表すことはできません。「Shuhari」とまずは日本語そのままで伝えるのがいいでしょう。そして、一つ一つの言葉を個別に説明していくのがいい。例えば、

  • Syu=Mamoru: Keep. When you start learning something, you must firstly keep the instructor’s teachings and “learn” so that the meaning and purpose of it can be perfectly understood and faithfully reproduced on your output while following the “Kata” historically has been developed by the arts.
  • Ha=Yaburu: Tear up. When that first stage is completed (this is important), then you gradually add your color little by little on the practice. In other words, the stage of expanding the “world”.
  • Ri=Hanareru: Leave. Finally, you can create your own way by leaving the things that you have learned.

ざっとこんな感じですかね。言ってることは、先ほどの私の以前の上司に伝えたことを英語にしている感じですがいかがでしょうか?

英語で何か日本独自のものを伝えなければいけないときは、その物事の本質を捉えましょう。そして、「これは自分の意見・考え方であるけれど」としながら、自分自身の解釈を伝えていくといいかなと思います。英語の言い換えを一番良くできていたのが小学校の先生という話もあります。それは本質を捉えつつ、平易な言葉に置き換えるという作業が日常的に行われているからだと思います。

守破離=フレームワーク

世の中にはイノベーターと呼ばれる人たちがいます。彼らは本当に天才です。彼らが起こしたイノベーションは、拡大し標準化されます。そして最後には役目を終えて世界から姿を消すか、コモデティとしてほそぼそ生きながらえていきます。当のイノベーターたちは、この標準化されたフェイズのあたりでそのものに飽きてしまい、何か他のイノベーションができないかと旅立っていくし、そうすべきです。

この守破離はこうした標準化のフェイズののち、我々のような普通の人間がその物事を学ぶために使う考え方です。標準化された型を学び、理解した後自分の色を出して、最後には自分だけのオリジナルなものを創出していく。このように考えると、我々でも規模は違えどイノベーションというものは起こせるのかもしれないと、希望が湧いてきますね!

 まとめ

さて、今回の守破離いかがだったでしょうか。「車輪を二度発明するな(Don’t reinvent the wheel)」という言葉があります。先人たちの培ってきたものを学ぶ=真似ることから、我々でもその先を作り出していくことができる。Kusunoko-CIの目標も自分流のフレームワークをどんどん作り出していくことにあります。学び、拡大し、イノベーション(守破離の離)をいつか経験したいものです。

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