シックスシグマの資格制度を考えてみる
Think about six sigma qualification.
皆さんこんにちは! 今日も一日お疲れ様です。いつもどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
今回も、前回に引き続き、「シックスシグマ」という改善手法のお話です。「資格制度」や、その「裏話」を少しばかり語ってみたいと思います。
これから「シックスシグマ」の資格取得を目指したい、という方へ。この資格がどういうものなのか理解して、取得するかしないかを決断するヒントが得られます。あとは、ちょっと飲んだ時に、「ネタとして使えそうな」シックスシグマのお話です。
シックスシグマという資格
シックスシグマの歴史や成り立ちについては、こちらの記事でお話しました。
統計的手法でもって、システマティックに改善を進めていくのがシックスシグマの特徴。
品質管理と統計というのは、何もシックスシグマだけの考え方ではないですし、もちろん信頼していい方法論です。
ただ、資格制度そのものに関して、誤解を恐れずに言えば、これは「資格ビジネス」ですね。
ご存知かも知れませんが、このシックスシグマ、公的な資格ではもちろんないです。また一昔前ならいざ知らず、今では流行りも去ってしまいました。
「就職・転職に有利ですか?」と聞かれると、「ないよりはずっとまし」と答えます。だからといって、この資格で爆発的に就職先が見つかったり、給料がめちゃめちゃ上がったりということもないでしょう。
残念ながら、今はそういう時代になってしまいました。
ただ海外で、改善部的な部署に就職するなら「マストの資格」です。つい最近そういうポジションの面接官をしましたが、11人の候補者全員が「Lean Six Sigma」の「ブラックベルト」ないしは、「マスター・ブラックベルト」でした。すごいですね。なんか持ってて当たり前のような。
でも、自己研鑽というか、努力してきたんだな、ということはわかりますし、少なくとも改善系の「共通言語は分かり合える」という安心感はあります。
資格の成り立ち~「帯制度」
今、「ブラックベルト」とか、「マスター・ブラックベルト」という単語が出てきました。
シックスシグマは、日本の空手や柔道のように、「帯」の色で、習熟度合いや役割を決めています。
上から順に、マスター・ブラックベルト、ブラックベルト、グリーンベルト、イエローベルト、ホワイトベルトとなっています。
これらの方々が、ベルトのレベルに応じた、プロジェクトとの関わり方をしていきます。
- マスター・ブラックベルト(MBB)。ブラックベルトとグリーンベルトのトレーニングとコーチングを行います。測定基準や、改善の戦略的方向性を決める、シックスシグマ活動全体の、内部コンサルタントと言えます。
- ブラックベルト(BB)。実際の問題解決のプロジェクトを導く。プロジェクトチームのトレーニングとコーチング。
- グリーンベルト。ブラックベルト(GB)・プロジェクトのデータ収集と分析を支援。グリーンベルト・プロジェクトを、MBB・BBの指導の下で行います。
- イエローベルト(YB)。プロジェクトチームのメンバーとして参加します。主にプロジェクトをサポート。
- ホワイトベルト(WB)。基本的なシックスシグマの概念を理解している人。こういうサイトで、タダで取れたりします↓
なんで武道??
なんでわざわざ、こういう「帯システム」にしたのか。
私がシックスシグマのトレーニングを受けたときに聞いたのは、
- 武道と同じように、シックスシグマの黒帯を取得するには、スキルと規律を学ぶトレーニングが必要。
- 黒帯のレベルを達成することは終わりではなく、始まりである。
- 武道のように、黒帯には後進を育てる責任がある。
こんな感じでした。まぁ言わんとしていることはわからんでもないです。
あとは、単純にかっこいいからじゃないか、と私はにらんでいますが。
「Made in Japan」な感じもしますしね。当時は、日本の産業が世界を席巻していた時代でもありますから。
確かにレベルごとに、きちんと理解しなければいけない内容や、役割が明確になっているなら、資格としてはかなり実用的ですよね。
なので、例えばGEの、「Managerのポジションに着くためには、少なくともBBでなければいけない」、というようなことも条件にできます。
いわゆる「協会ビジネス」とも、親和性が高いですしね(笑)。
資格取得の仕方
ますは、ググって調べてみましょう。
一時ほどの隆盛感はないですが、それでもまだまだ、探せばいくらでも出てきます。
私がサウジアラビアで取得したコースは、5日間で300万くらいだったと思います。もちろん一人300万ではないですよ。外部講師を呼んで、クラス全体で払う金額でした。
私が取得した資格、こちらイギリスの会社↓がこちらになります。
5日の座学コースと模擬Project、最後はテストもついてました。正直、英語で取るのはきつかった。統計的な用語がわからないと、結構すぐ「ロスト」してしまうんで、出来るなら日本語で取ったほうがいいでしょうね。質問も簡単だし。
ちなみに、今回この記事を書くに当たり、いろいろ調べていたら、こちらの方のブログでは、かなり生々しいお話が読めました。
シックスシグマの創成期のお話。すごいなー、教育コンサルに払うお金が「億」単位。いい時代だったようですね。
まとめ
そんなわけで今回は、「シックスシグマの資格制度を考えてみる」と題しまして、これから資格取得を目指したい、という方への情報でした。
資格というのはおおむねそうですが、取ろうとすると、ある種の「資格ビジネス」に取り込まれます。
「Aという資格を取るためには、Bを、そしてまず初めにCを当協会で取得されているのが、前提条件となります。」というやつです。
かなり高額な受講料で、しかもその協会の「蜘蛛の巣」の中に、取りこまれてしまうのが、正直うざい。
まぁ、それを分かったうえで、資格を取るのならいいのではないでしょうか。
別にシックスシグマだけが、悪いとかそういう話ではないです。NLPだって、コ―チングだって、QC検定だって、だいたい一緒です。それが資格ビジネスですから。
ただ、改善おじさんとして、「うまいなー」と思うのが、このシックスシグマの「マーケティング」力でした。
トヨタ発の「改善」に、今のところ、こういう資格の仕組みはないです。
それは日本人が、「どう魅せるか」より、「実質的に何が大事か」を重視するからかもしれません。
うわべや虚飾ではなく、真価に重きを置くのは、日本人の美徳です。ただ、それだけでは世界では勝てないのも事実。
いいとか、悪いとかの話ではなく、戦略的な話になるのかもしれません。マーケティングとブランディングですね。
日本人の最も弱いところです。どうかそうしたことも視野に入れつつ、資格を取ったり、「自分を飾ったり」して、世界でご活躍頂きたいと思います。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!