標準作業とコモンセンス

Photo by Nathan Dumlao on Unsplash

皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。

海外のいろいろな国の方々と、カイゼン活動を行っている私ですが、なかなかうまくいかないことが一つあります。

何だと思いますか?

それは「標準作業を守る」ことの大切さが、理解してもらえないことです。

TPSの生みの親、故大野耐一氏は、「標準のないところにカイゼンはない」と言いました。ここでいう標準とは、「みんなで守るべき仕事のやり方」です。

作業をする際に、標準が定まっていないと、やっていることが正しいのか、間違っているのか判断することができませんね。

まずは標準を定める。そして初めてその標準と実際の差が何かおかしい(異常)と認識され、様々なカイゼンをするニーズが生まれてくるわけです。

当たり前の話なのですが、ある一定の品質を出すためには、踏むべき手順というものが存在します。そしてその踏むべき手順1つ1つを確実に行うには、ある程度の時間が必要になります。

例えばカレーを作る時、野菜の皮は剥いておかなくてはいけないし、その皮むきにはどうしたってある程度の時間が必要です。
皮むきの後に炒める工程が入るわけで、炒めてから皮むきでは遅いですよね。

このように、ある程度おいしいカレーを作るために、やるべきこと、それにかかる時間、そしてやることの順序をきちんとまとめておかなくてはいけない。それがいわゆる標準作業であり、これがあることで、みんなが同じような品質のカレーを、同じような時間(リードタイム)で出来るようになるわけです。

標準がない、あるいは守らないということは、みんなが思い思いのカレー作りをしている状態です。先にも述べたように、正しい状態がわからず、何が異常なのかも見つけられない状況なわけですね。成果物の品質にも、当然バラツキが生まれます。

標準作業は、ベテランと監督者が実際にその作業やってみることで、作られます。そしてそれをまとめた標準作業票を作り掲示することで、作業者がその通りの作業で事を進めているか、確認できるようになっているのです。

「安全第一」で考えられてもいるこの標準作業、守られていなければ、それは作業者が危険な行為を行っていることにもなりますしね。安全面は、ものづくりでなければあまり気にはされないのかもしれませんが、大切な作業者さんを守るために、監督者が最も注意を払わなければならない部分であります。

標準は、今現在考えうるベストな作業の仕方。
ただカイゼンには、「カイゼンした後が最悪な状況と考え、次のカイゼンへ向けてスタートする」という考え方があります。標準はあくまでその時のベストであって、変えられる(カイゼンされる)ことを前提に作られている。常に更なる変化のための一里塚です。

決められたからには、まずは守る。守ってやっていく中で、もっと楽になるやり方はないか、簡単に早くできないか、こうした知恵を絞っていくものなのです。

それが海外の人たちには理解できないことが多い。

この「標準を守ろうとする気持ち」がない場面に、最近もかなりの頻度で遭遇いたしました。

もしかすると皆さんは、「カレーを作るために必要な手順」、このような例えを使えば、理解してもらうのもさほど難しくないのでは、と思うかもしれませんね。

しかしその人たちが、「おいしいカレー」というものを味わったことがなければどうでしょうか?

ある程度の品質・結果を出すために、あるべき手順がこの標準だという話をしても、この「ある程度の品質・結果」に見ているものが、日本人と海外の方たちとは、時に大きく違うのです。

こちらの絵を見ていただくと、言いたいことがよくわかるのではないかと思います。

引用:http://9gag.com/gag/a8MPqR1

こちらは単なるネットジョークですが、その国々で標準が違うことを端的に表しています。

そして時には、「標準作業など守らなくても(あるいはなくても)、結果が出ていればいい」、と彼らは言います。
彼らの言う結果は、彼らが生涯にわたって経験してきた「あるべき姿」です。

電車が10秒遅れただけで謝罪が必要な国もあれば、正確に来ることが逆に驚かれる国もある。
我々日本人からは決して受け入れられないような状態であっても、彼らにとってはそれが「常日頃」であり、かつ「OK」なのです。

これは根深い。

これを打開するには、彼らに実際に、我々が思い描く品質を目で見て体感してもらうしかないのですが、それを阻むのがコロナでした。
実際に訪れて、自分たちの目で見て触って感じる、カイゼンの世界の大切な現地現物ができない日々が続いています。

拙書「海外カイゼンを 成功に導く! 変革戦略 7つのチャプター」でもお伝えしましたが、我々が思う「こうあるべき」という品質は、それを見たことのない人たちにとっては、まったく想像の出来ない世界であることを念頭に置かなくてはいけません。

またこうした標準を守れない人たちのいる場所では、高確率で5Sが出来ていない。問題解決と効率化のため「何を守るのかを決め、その決めたことを守る」躾が出来ていない。すなわち仕事をやり切る足腰がないのです。

一般には、目的をきちんと説明すれば、こうした標準がなぜ存在するのか、なぜ守らなくてはいけないのか理解してもらえるはず、と言います。
しかしながら、全く違う環境で育ち、全く違うKPIを目標にしている人たちには、説明しても理解されないことも多いのです。

こうなると、より高位のマネジメントの、あるいは組織全体の教育や体制づくりから始めなくてはいけないのですが、時間はかかりますね。

ただ海外でカイゼンをするというのは、こうした側面がいつもついて回るものです。なので彼らは結果を出せず、我々のような存在が必要となっていくのですけれども。

頭堅いと、時々投げ出してしまいたくなりますよ(笑)

私たち自身も今ある標準には、いつも更に良い状態があることを忘れずにいたいですね。自戒も込めて。

カイゼンは倦まずたゆまず。

今日も読んでいただきましてありがとうました。

ではまた!

拙書「海外カイゼンを 成功に導く! 変革戦略 7つのチャプター」。Kindle Unlimitedなら0円で読めます。

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