時間観測 備忘録 Time Study Memorandum
今回は時間観測の備忘録です。皆さん時間観測してますか? 時間観測は改善活動、特にLean(TPS)の活動に属するとても重要な方法です。Kusunoko-CI、久しぶりに時間観測しまして結構忘れていたり、反省点が出てきたので、そんなことも踏まえながらお送りしたいと思います。
時間観測
先ほども述べましたように、時間観測はLeanなライン・工場を作るうえでとても大事な役割を占めています。
基本、どんな工場・作業にも無駄というのは存在します。TPSの生みの親、大野耐一さんは「どんな職場にも、探せば少なくとも7つくらいはムダが隠れているもんだ」と述べたという話は以前お話しました。
で、この時間観測は主に作業を3つにわけることから始まります。その3つの内訳は、
- Value-adding
- Non-value-adding
- Non-value-adding but necessary
です。
これはもちろん付加価値のついているValue-adding以外に、二つのNon-value-adding activityがあって、一つは純粋なムダ(Waste)なんですが、もう一つは付加価値がついていないんだけど、諸般の事情でなくすになくせないもの、例えばお客様からの要件であったり、法律的なものであったりですね。
こうして、仕事を一つ一つ要素ごとに分けていって、そしてそれぞれがどの分類になるのかを吟味していく。そして、5Sの考え方と同じ要領で、「作業の中には必要なもののみ」が残る、すなわち付加価値のついているものだけで仕事が構成されるようにしていくわけです。
そしていわゆるECRS分析を行ってどんどん作業時間を短くできないかを考えていくわけです。
ここまでおさらい。
時間観測 備忘録
時間観測の方法というのは、すでにあらかた説明したと思いますので、今回は久しぶりにやってみて少し反省点を書いておこうと思います。そうすれば、次回やる時に同じこと繰り返さなくて済みますからね。
ところで、皆さんの職場はどのくらい改善が進んでますか? 例えばすべてのラインの、少なくともリーダーさんはTakt Timeとか理解されていますか? もしそうなら結構改善が進んでいるといえるかもしれませんね。もちろんそういう概念がない状態で動いているラインもあるわけですから、観測に入る人間は、相手が知らないということをきちんと知ったうえで話を進めないといけないでしょうね。人間ともすると、自分の知っていることは、だれでも知っていると思ってしまいがちですから。
ここで、Takt Timeを軽く押さえておきます。
Takt Time
Takt Time(タクト・タイム)とは、お客様から要求された品物を1つ造るのに必要となる時間のことです。要求された生産数量を達成するために、一戸当たりの製品いついy割いていい時間です。式で書くと
タクトタイム=1日の稼働時間(分)/1日当たりの生産数量(日当たり数)
となりまして、例えば朝礼や休憩など生産に使えない時間を、1日の終業時間から引くと、正味の稼働時間というのが出ますね。それを1日何個作る必要があるのか(お客様に求められているのか)で割れば、一個の制作に費やせる時間が出てきますね。だから単位としては「○○分(秒)/個」という形になります。
で、生産性という観念でいくと、すべてのラインの作業がこのTakt Time以下じゃないと、要求された数を達成できないことになります。だから、ラインにあるすべての作業(Process)のCycle Time(サイクル・タイム)がこれを下回るよう改善したりするわけですね。
Cycle Time
Cycle Time(サイクル・タイム)が、要はその作業ステーションでかかる時間です。一個の製品に対して、その作業場所で与えられた加工や作業を終わらせるためにかかる時間ということです。タクトタイムが計算上の概念的数値(基準)であるのに対して、このサイクル・タイムは実測値になります。ですので、基準値に対していいのか悪いのかを見るために、時間観測ということをするわけですね。
説明しよう!
こういうことをしっかり説明したうえで、時間観測をしないといけないわけです。作業者の方はそんなこと考えないで仕事しているかもしれません。そしてなんでビデオなんかとらないといけないのかもよくわかってないかもしれない。なので、基準があって、そこを超える部分については改善しないといけないです、つきましては、普通にいつも通り作業して、一個の製品に対しこのステーションで必要な作業を終わらせる、その初めから終わりまでをビデオに撮らせてくれませんか? ときちんと目的や意味を共有すると、なるほどわかりましたとなってくれます。じゃないと2度3度と取り直しなんてこともありますから、注意したいですね。とほほ。
ホーソン効果 Hawthorn Effect
100年ほど前のIndustrial engineering(IE)の先駆けともいえる実験で明らかになった法則です。ウェスタン・エレクトリック社ホーソン工場で行われた時間観測の結果、「注目されているという意識によって生産性が向上する」ということがわかりました。ちょっといいとこ見せてみたくなるもんなんですよね、人間て。ですね、「普通でいいので、いつも通りやってくださいね」と念を押しておきましょう。ただまぁ、目的がムダの排除であるので、付加価値にかかっている時間よりも、無駄にかかっている時間に注目したいとところです。そして本来理想的なのは、ベテランさんと初心者さんで作業を比較したり、あるいはビデオ分析の後でベテランさん・リーダーさんとその数値が妥当であるかどうかの確認をするという時間を取ると、異常値を標準にしてしまう間違いは減らせるかなと思います。お忙しいとは思いますが、少し時間をくださいと前もって伝えておきましょう。急に言ってもダメですよ。ねー・・・・。
まとめ
というわけで今回は久しぶりの時間観測で思い出した、基本的な事柄のまとめでした。こうしてみていると、やっぱりコミュニケーションって重要だなって思いますよね。
時間観測はとても地味な、かつ根気のいる作業です。そして、なかなか作業をやってらっしゃる方々は、ここまでの時間というのは取れないのではと思います。ですので私たちのような人間がお手伝いに行って、なんとか楽になりながらも生産性を上げていくことはできないか、模索していく必要があるわけです。
生産性=成果/投入量という図式が成り立ちます。ですので、生産性を上げるには、資源の投入量(時間とかお金)という“分母”を減らしていくことになります。無駄を排除できれば、時間や負担という投入量を減らしていけるということになりますね。がんばって実りある時間観測にしよう!
こういう三脚とか自撮り棒がないと、長時間のビデオ撮りはきつくなってきた。