付加価値と日本社会の活性化
皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
少しずつ暖かい日が続いてまいりましたが、皆さんいかがお過ごしですか?
私は、最近なかなか無理の効かない体になってきました。テレワークの後遺症とでも言いましょうか。あんまり長時間座り続けることができないので、ぼちぼちやっています。
さて今回のお題は、「付加価値と日本社会の活性化」です。最近また某所でワークショップをお手伝いいたしまして、そこでファシリテーターをしながら、付加価値に関して考えたことを少しまとめてみます。
流れ化
カイゼンすることの目的は、究極的には「流れ」で生産できるようになることです。この辺のことは以前もご説明しましたね。
流れで作るとは、すなわち、
- お客様から受注を受けた瞬間から、
- モノ・情報が一度も停滞することなく、
- お客様が求める完成品になる方向に姿を変えながら(付加価値のつく作業のみで加工されながら)、
- できる限り最短のリードタイム・最小のコスト、お客様が求める適切な品質で
- お客様に届く
このような状態のことです。
これはそのままリーン生産方式のモノのつくり方の定義となります。当たり前ですが、こうした状態を実現するためには「全体最適」化を目指したカイゼン活動をしていかなくてはなりません。
個々の問題を、それぞれが別個に解決するのではなく、前後関係や相互のつながりを把握したうえで継続的な改善を行わずして、先のようなリーンの目指すあるべき姿を達成することはできないでしょう。
付加価値
また流れで作るということは、言い方を変えれば全く滞留がない、ということです。
つまり、すべてのプロセスが付加価値のつく行為でのみ構成されているか、それに近い形を実現しているということ人ことになります。
付加価値が付いた作業かそうでないかの判定は、
1.モノや情報が、完成の状態(お客様が求めるもの)に向けて変化するよう加工されている
2.手直しや手戻りせず、一発で求められたそのアウトプットを出している
3.後工程(お客様:後工程はお客様)が必要としている
工程・タスクである、というのを目安にするといいでしょう。
あとは、「購入してくださるお客様が、対価を支払いたいと思う行為であるか」、というのもあるのですが、我々の場合これは場合によりけりで説明に加えています。
というのも、我々のような製造請負業だと、複数回のテストなどがお客様から求められているケースがあるのです。
そうすると、「お客からの要件でこのテストをしているのだから、付加価値はついている。だってお客はこのテストにお金を払っているのだから」といういらぬ議論が生じてしまうことが多々あるのです。
こうなると、本質的な部分が抜け落ちてしまうことにお気づきでしょうか?
リーン生産方式
いずれにせよ、全体最適、流れを目指すため、いかに付加価値のない作業をプロセスから排除していくか — これが、リーン生産方式が徹底したムダの排除にあると言われる所以(ゆえん)ですね。
リーン(トヨタ)生産方式を導入するということは、「車の左側通行を右側通行に変える」ほどの大きな変化です。生産方式などというから誤解が生まれる。
生産部門は、この例で言うなれば車の流れです。
その他のこと、例えば信号機の位置、車のハンドルの位置、バスの降り口、標識、運転免許試験に関すること、などなどそれを取り巻く全てのことを変化させなくてはいけませんね。そうした周辺的なことなくして、ことの成功はあり得ません。
それはおよそ多くの会社で、カイゼンとは無関係と思っている、人事や経理、その他もろもろのいわゆるバックオフィスといわれる部署も活動を積極的に行っていかなくてはならないということを意味します。
こうしたことを踏まえれば、組織において誰が活動の旗を振っていかなくてはいけないか、自ずとわかってきますよね。
”カイゼン”で閉塞感の打破
カイゼンとか、CI (Continuous Improvement)とか、名前は何でもいいのですが、変化しない組織はいずれ死に絶えます。恐竜のように。
時代の変化に対応し、未来に備えるのがこのカイゼンなりCIという活動なのですが、この辺がわかってない人が多いですね。「追加の仕事」と思われてしまっているケースも多いです。
お客様や社会のために存続し、利益を上げていくのが企業の目的です。これが生活のための手段としてのお仕事、そしてそのまま目的に入れ変わっていることが、原因の一つなのかなとふっと考えたりしました。
日本はアジア太平洋地域(対象調査国14)で最もリスキリングに対する意識が低いという調査結果もあります(ビジネス+IT)。
「職場の環境があまりにも劣悪で、キャリア形成などについて考えをめぐらす余裕すらないのかもしれない」(同上)と記事では述べられていますが、工数を下げ、短い時間でこれまで以上の成果物を楽に出せるようにするのがカイゼン活動です。
「ニワトリが先か、タマゴが先か」の議論になってしまう感も否めませんが、職場環境を良くするためにも、ぜひカイゼンしてほしいですね。
「日本人は、今の会社にはいたくないと強く考えているのに、転職や独立起業には極めて後ろ向きという、分裂ぎみの回答」(同上)なんだそうで、先の分析結果と合わせてなんというか悲惨な空気が漂っています。
日本の経営層の皆さんには、こうしたカイゼン活動を牽引して、組織を、ひいては日本全体を明るく活力のあるものにする努力をしてほしいものです。
「俺たちは若いころ、モーレツに働いてきたのだから、楽になることなど許さん」みたいな思考回路だけは、捨て去ってほしいと思う今日この頃でした。それ恐竜ですよ。
付加価値さえきちんとつけられていれば、楽することは悪ではないのです。カイゼンして仕組みを作り、それを標準化できれば、みんなが楽になれますよね。
ちょっと取り留めない感もありますが。今回はここまで。
読んでいただきましてありがとうございました。
ではまた!
ちょうどそのワークショップ前に読んでいた本です。