書評:マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール
みなさんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
さて、いろんな改善Projectをサポートしてきた私ですが、自分の生活や仕事の改善はどうなのか。
目下、喫緊の問題としてカイゼンしたいのは、私の場合「株式投資」です。
奥が深い、というお話しは以前しましたが、深すぎて大きく勝てない(笑)。
まぁ、初心者なんだから当然ですし、逆に今勝てないということがラッキーだと思わないといけない。なぜなら、行き過ぎたビギナーズラックは、必ず後々大きなしっぺ返しとなって帰ってくるからです。
経験者は語る。
ということで、最近はトレードもしつつ、株の本を読み漁ることが多くなってきました。
そこで今回は、あのラリー・ウィリアムズも絶賛したという、「マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール」という本のご紹介です。
「リスクを巧みにコントロールしながら、資産を積み上げるためのノウハウと教訓を凝縮」ということですので、一読の価値はありますよ。
著者 マックス・ギュンターについて
マックス・ギュンター(Max Gunther)さんという方。
投資家。かつてスイス銀行界に身を置き、世界的にも名を知られた金融マフィア「チューリッヒの小鬼たち」の1人を父に持つ。13歳で株式マーケットに参入し、財を成す。
と紹介されています。
またWiki英語版には、
Max Gunther(1927–1998)は、英米のジャーナリストであり、作家。投資のベストセラーである「マネーの公理」を含む26冊の本の著者。
英国生まれ。父親であるフランツ・ハインリッヒ(フランクヘンリー)がスイスの大手銀行であるSBC(スイス銀行株式会社)のニューヨーク支店のマネージャーになった後、11歳で米国に移住。
Guntherの本「マネーの公理」は、主に父親の取引アドバイスに基づいている。
と書かれています。
「チューリッヒの小鬼たち」って何ぞや? という疑問がわきますが、「蘇るチューリヒの鬼さん魂」の記事に詳しく書かれていました。
銀行家で投機家だった父直伝の「ワザ」。
自身も13歳から(!)投資を始めて財を成したようで、こうした父親譲りの教訓と、自らの経験をきちんと明文化したらこうなった、というところでしょうか。
非常に読みやすい本で、ほぼ1日で読んでしまいました。
「マネーの公理」目次
さて早速目次です。
正直、目次さえ読んでしまえば、おおよそのことはわかってしまうのでは、という気もします。
なので、ここで以下目次をざっくり読んでみて、もっと知りたいと思うようであれば、購入するというのでもいのかなと思いました。
個々の公理に、Kusunoko-CIの一言コメント付きです。
第一の公理 リスクについて
心配は病気ではなく健康の証である。もし心配なことがないなら、十分なリスクをとっていないということだ
・副公理Ⅰ いつも意味のある勝負に出ること
・副公理Ⅱ 分散投資の誘惑に負けないこと
どんな投資であれ、不安や嫌な気分というのはついて回ります。それこそがリスクを取ってる証、ということですね。
第二の公理 強欲について
常に早すぎるほど早く利食え
・副公理Ⅲ あらかじめ投機からどれだけの利益がほしいのかを決めておけ。そして、それを手に入れたら投機から手を引くのだ
これはよくわかる。含み益でウハウハしていたら、あっという間に下がって気がつくとマイナスになっていた、なんてこともありますからね。欲のかきすぎに注意。
第三の公理 希望について
船が沈みはじめたら祈るな。飛び込め
・副公理Ⅳ 小さな損失は人生の現実として甘んじて受けよ。大きな利益を待つ間には、何回かそういう経験をすると考えろ
これも初心者にありがちな、「希望的観測」でさがった株を、持ち続けてしまうことへの戒め。
第四の公理 予測について
人間の行動は予測できない。誰であれ、未来がわかると言う人を、たとえわずかでも信じてはいけない
はい。いろんな角度から多面的に見れば、経済を予測できると思っていました。
神ならぬ人に、それは無理ですね。そこをスタートにして相場に臨まないといけない。
第五の公理 パターンについて
カオスは、それが整然と見え始めない限り危険ではない
・副公理Ⅴ 歴史家の罠に気をつけろ
・副公理Ⅵ チャーティストの幻想に気をつけろ
・副公理Ⅶ 相関と因果関係の妄想に気をつけろ
・副公理Ⅷ ギャンブラーの誤謬に気をつけろ
お金の世界には、それを理解できる「公式」というのは存在しない。それが見えたと思ったら(つまり理解できるようになったと思ったら)、かなり危険な兆候。
第四の公理とも絡んできますね。
第六の公理 機動力について
根を下ろしてはいけない。それは動きを鈍らせる
・副公理Ⅸ 忠誠心やノスタルジーといった感情のせいで下落相場に捕まってはいけない
・副公理Ⅹ より魅力的なものが見えたら、直ちに投資を中断しなければならない
いつもフレキシブルであること。で、長期投資なんかも否定してます。
私はしてますが。うーん。第十二の公理へ続く。
第七の公理 直観について
直観は説明できるのであれば信頼できる
・副公理XI 直観と希望を混同するな
大事なことは、浮かんだ「直観」が、ただの「願望」ではないことがわかっているかどうか、ですかね。
第八の公理 宗教とオカルトについて
宇宙に関する神の計画には、あなたを金持ちにすることは含まれていないようだ
・副公理XII 占星術が当たるのであれば、すべての占星術師は金持ちであろう
・副公理XIII 迷信を追い払う必要はない。適当な場所に置いておけば楽しめる
これはまぁ、説明もいらない感じですね。祈ったところで、なにもかわらない。
第九の公理 楽観と悲観について
楽観は最高を期待することを意味し、自信は最悪に対処する術を知っていることを意味する。楽観のみで行動してはならない
物事が悪い方に向かっているように見えるときは、本当に悪い方に向かっていると考えて行動したほうがいい。これもリスクコントロールですね。
第十の公理 コンセンサスについて
多数派の意見は無視しろ。それはおそらく間違っている
・副公理XIV 投機の流行を追うな。往々にして、何かを買う最高のときは、誰もそれを望まないときである
人が売りたいときに買い、人が買いたいときに売るのが投資の基本。人と同じことをやっていては勝てない。
第十一の公理 執着について
もし最初にうまくいかなければ忘れろ
・副公理XV 難平(ナンピン)買いで悪い投資を何とかしようとするな
そうですね。フレキシブルであること。間違いを間違いだったと認識できる力。これは投資家にとっては、とても重要な態度です。
第十二の公理 計画について
長期計画は、将来を管理できるという危険な確信を引き起こす。決して重きを置かないことが重要だ
・副公理XVI 長期投資を避けよ
第六の公理から引き続き。
長期投資してます。私的には勝算があってのことなんですが、確かに「戦争」とかあったらすべてパーですからね。
全てが長期的に安定しているという「幻想」にのっとった投資スタイルなのかもしれない。日本人って確かにそういう意味で「平和ボケ」してるのかもなー。
今後は、短期中期をもっとポートフォリオに増やしていこうかな、と考えさせられた公理でした。
全ての投資は投機である
英語版は1985年に出版されて、邦訳が2005年とのこと。もう35年も前の本ということですか(2020現在)。
とはいえ、よくある投資本とは異なり、投資だけではなく、人生の様々な場面に通用する教えが書かれているのではと思います。
全ての公理を一気に読むとと、ところどころでいくつか「矛盾」が生じている場面もあるのですが、ことわざと一緒で「そういうこともある」というのが公理ということでしょうか。
急がば回れとか、思い立ったが吉日とか。
読み終えて、いくつか心に残ったことは、
- すべての投資は投機である。唯一の違いは、ある人はそれを認め、ある人はそれを認めないことだ
- 常に早すぎるほど早く利食え(「利食い千人力)ですね)
- プロは楽観を持ち合わせていない。彼が持っているのは自信である。自信は、悲観を建設的に利用することから生まれる
- 秩序あるデザインを見出したと思った瞬間に、あなたは危険にさらされる
- お金・未来は決して予測ができない。つなりどんな投資(投機)も予測は不可能
これらの言葉でした。
あとは分散投資と長期投資を推薦しないあたりは、多くの方が言われていることと真逆の提言で、なかなか考えさせられるものがありますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今回は、「マネーの公理 スイスの銀行家に学ぶ儲けのルール」という本のご紹介でした。
冒頭のラリー・ウィリアムズは、「1年に一回は読み返す本」と言ったそうでして、投資(なんであれ)を始める人は、一度目を通しておいて損はない内容になっているかと思います。
12の公理はどれも、心構えとして時折立ち戻っておきたいですね。
いずれにせよ、投資(投機か)は、「自分の頭で考えること」が必要とされます。それは、どんな理論の本を読むときであっても、忘れてはいけないものです。
私はこれを、「第13の公理」として、この本に付足しておこうと思いました。
自分の型を見つけましょう。
情報を仕入れて、仮設を立てて検証してみる。
そのようなサイクルと、「身銭を切った痛み」が、我々を投資家として成長させてくれるのです。
投資(投機)、いっしょにがんばっていきましょう!
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!