脳と感情のトリセツ

Brain and emotion instruction manual.

皆さんこんにちは。もうそろそろお正月休みも明けて、仕事に戻られているのではないでしょうか? 重い足取りで、という方が多いかもしれません。長期の休み明け、イヤな気持ちで仕事に戻らなくてはいけないとうのは、サラリーマンの宿命ともいえるかもしれません。でもできることなら、心身ともにエネルギー充填100%で仕事に立ち向かっていきたいですよね。こうしたイヤな気持ちを消す技術、自分なりに持っていますか?

というわけで今回、こうしたイヤな気持ちはどうして生まれるのか、どうコントロールしていけばいいのか学びましたのでシェアしてみたいと思います!

ドバイ経由のJeddah行き

私も長期休暇明け、結構嫌な気持ちで会社に向かうことが多かったです。例えばサウジで働いていたころは、長期休暇というと1か月くらいはまとまって取ってました。で、日本に帰国したり、フィリピンに遊びに行ったりするわけですが、それだけ休むと、復帰するときの反動も半端ないです。

もう帰りの飛行機、だいたいはドバイ経由のJeddah行きなわけですが、あそこの待合エリアの空気は本当に今でも忘れません。だいたい皆さん同じように長期休暇を取って現働き先であるJeddahに帰ってくるわけですよ、国籍問わず。ここで、女性はアバヤを用意したりするんですね。そんなわけで、多くは語りませんが、あそこは経験した人でないとわからない、何とも物悲しい雰囲気のGateでした。

私の友人の場合。例えば長期休暇がせまってますよね。そうするとだいたいVacation modeっていって、みんなウキウキ、ちょっと仕事が手につかないようなそんな気分で仕事をするわけですよ、普通は。でも彼の場合は、もう行く前から帰ってくるときのこの気持ちがわいてきてしまって、「どよーん」としているという。なんともいたたまれない心情でした。

イヤな気持ちを消す技術

ということで、今回はそういったまさに『イヤな気持ちを消す技術』について、苫米地英人先生の著書を読んでみました。

さて苫米地英人先生の略歴ですが、

認知科学者(機能脳科学、計算言語学、認知心理学、分析哲学) で計算機科学者(計算機科学、離散数理、人工知能)。カーネギーメロン大学博士(Ph.D.)、同CyLab兼任フェロー、株式会社ドクター苫米地ワークス代表、コグニティブリサーチラボ株式会社CEO、角川春樹事務所顧問、中国南開大学客座教授、全日本気功師会副会長、米国公益法人The Better World Foundation日本代表、米国教育機関TPIジャパン日本代表、天台宗ハワイ別院国際部長、財団法人日本催眠術協会代表理事。

ということで、なんだかよくわからないくらいすごいです。すごすぎて、これはすごい人用Onlyの本なんじゃないかと思ってしまいましたが。

はてさて。

琴線3つ

この本は、我々の脳における記憶の仕組みから、その取り出し方、感じる仕組み、トラウマや鬱、そして果てはクライシスサイコロジー(危機管理心理学)と本当に様々なトピックについて書かれています。

中でも3つほど、とても心に残ったフレーズをぜひ紹介したいのですが、

  1. 心は鍛えられない
  2. 因果は未来にある
  3. 自我とは、宇宙のすべてのものを重要性の順番で並び替える関数のこと

この3番は、前回の「自分は誰なのか、と考えている自分は誰なのか」という回でお話ししましたので今回は触れません。

ですので1番2番を見ていきましょう。

心は鍛えられない

まずは1番。「心は鍛えられない」。

これかなり衝撃的な言葉じゃないですか?

苫米地先生は、「私たちが便宜的に心と言っているものは、脳の情報処理の状態のことであり、科学的には現象と呼ぶべきもの」だと述べ、現象であるが故、そもそも「テクニックで強くしたり鍛えたりすることはできない」と説明しております。うーん、先生の説明しているのも一種のテクニックなのでは? というつっこみはさておき。

Kusunoko-CI的には、ここで言われているのは、だから心を筋肉みたいに鍛えようと負荷をかけたりすることには意味がない、ということだと読みとっています。

大事なことは、脳機能の働きを知り、そのうえで根拠のある対処法を取らなくてはいけないということ。昔からあるような、根性論で耐え忍んでいくような方法というのはナンセンスなんだということでよね。私はこういうのが大好きです。しなくていい苦労はなるべくしなくていいと思います。なのでいかに効率的に、かつ合理的に目標を達成するすべというのを持ちたいですよね。それがトヨタカイゼンの極意ですし。

因果は未来にある

これは平たく言うと、今ここで起こっていることも未来になってみないと実際どういう意味合いを持つのかはわからない、だから早々に結論を出して、いい結果だったとか悪い思い出だとか意味付けするのはやめましょう、ということです。

Kusunoko-CIも最近(と言ってももう一昨年になりますけど)、これを感じるエピソードがありました。短期で住んだアパートの、下の階の住人との騒音でトラブルです。で、その時は大変な目にあったとある意味軽いトラウマになりました。しかしながら、その後別のアパートに住むに当たり、この経験から様々な条件を考慮して、思慮深く慎重に間取りや素材などを吟味して部屋を決めることができました。今では、その短期のアパートの経験に感謝すらしています。だって、長期で入居するアパートでそんなことあったら、痛みの度合いが半端なく違ってきますからね。

そしてこの「因果は未来に」に関わることで、この本からもう一つご紹介したいのが、「時間は未来から過去へと流れている、ゆえに過去は未来に一切の影響を与えない」という言葉でした。これ、ほんとうに衝撃的で、目からごそっと鱗が落ちた瞬間でしたね。

人は本当に不思議な生き物です。まずはこうして、いつも現在から過去を眺めては、「あの時こうしていれば」と後悔する。後悔したところで、思い描いているような未来が来ていたという保証はどこにもないのですが、我々はどうしてかこういう判断をしてしまいがちです。

かてて加えて、今ある結果に対する評価基準が異常に厳しい。苫米地先生は、雪山で生き残った人物の思うところを解説しながら、なぜそのように今生き残った「自分自身」を責めるのかを説明しています。

Kusunoko-CIは思います。結局のところ人間って、思うところ、信じたいことのみ視野に入れてますよね。ぶっちゃけ事実ではなく、自分が思うところでストーリーを形成して、その中でいいとか悪いとか、判断したり後悔したり、思い悩んだり。まったく忙しいことで。

我々が覚えておかなくてはいけないのは、我々が記憶を海馬から引き出しているときも、結局はこうした「ストーリーによる再構築」のプロセスを踏んでいるということ。そしてこれは結局我々が選んでいるストーリーであるという点です。

イヤな気持ちを消す1つのテクニック

テクニックと言ってしまうと、苫米地先生は否定されているのでちょっと気が引けるんですが。

最も大事なことは、ずばり記憶に対して作り上げているストーリーを「書き換える」。単純に言えば、なんか嫌だなーとか、やりたくないなーというネガティブな心の動きを作る事例に、「快」の感情を重ね合わせてしまう。

えー?、と思うかもしれませんが、ちょっと騙されたと思って試してみて下さい。例えばKusunoko-CIでいうなら、Jeddahに帰るというちょっと物悲しい行為があって、人生の最も楽しい状況(両親と家族と楽しんだ)があるとします。そしたら、この両親と家族と楽しんだという情景を思いっきり心に描き、感情の「楽」のピークを楽しみます。そしてその感情が心に残っているその刹那に、「ちょっと嫌だ」の情景を重ねてしまいます。

するとどうでしょう。脳は、その「ちょっと嫌だ」に、感じていたHappyを思いっきり重ね合わせて、海馬に収納してくれるのです。すごくないですか? これ試してみるとわかるんですが、効くんですよ。すごい効くんです。そのちょっと嫌な事例・事実が、「快」とか「楽」のストーリーを持った記憶に置き換えられていることに気づけると思います。

脳は、しかも最も新しく上書きされた情報が、真の情報と思う機能が備わっていますから、仕組みさえ分かっていれば、上書きは意外に簡単に実行可能ということです。

まとめ

いかがでしたでしょうか? 色々細かい部分は本を読んでいただきたいなと思います。学びは様々得られるはずです。

今回は、Kusunoko-CIが読了後試してみて、本当に効果があるなと実感できた、その事例を紹介してみました。やってみると楽しいんで、ぜひ試してみてほしい。

ちなみに、この苫米地先生は、ちょっと誤解を生みやすいタイプだと思います。私も正直読んでいて「ん?」と引っ掛かった部分があったのですが、案の定、アマゾンなんかではそういうところに噛みついてるReviewerがいました。でも本質を読み取れてないなと思いましたけどね。

感情(情動)は、いかようにも書き換え可能。あなたが思う世界は、あなたが思うように成り立っている。ネガティブを思い描いて、その世界を生きていきたいですか? それとも自分で人生を決め、充実した生を謳歌したいですか? すべては自分次第。そしてどう自分の「脳」を取り扱っていくかにかかっています。『イヤな気持ちを消す技術』は、脳の取扱説明書です。

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