ビジネスモデル 弱小でも、勝てる方法を考える
Business model thinking.
皆さんこんにちは。出張から帰ってきました。今年もものすごくいっぱい出張に行きそうです。多分年間で、海外出張150日くらいにはなりそうです。場合によってはもっと増えるかもしれません。プラス国内出張も入ってくると思うので、また今年も結構忙しい1年になりそうです。
さて今回は、ビジネスというものを少し掘り下げて考えてみたく、『ビジネスモデル思考法』という本で学んだことを中心に、書いて行こうかと思います。弱小でも、勝てる方法、ありますよ!
『ビジネスモデル思考法』
こちらの本は、川上昌直さんという方が書かれています。以下アマゾンから略歴です。
兵庫県立大学経営学部教授、博士(経営学)
1974 年大阪府出身。01年神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。
同年、福島大学経済学部助教授(呼称変更により准教授)に就任。
08 年兵庫県立大学経営学部准教授を経て、12年より現職。
ぱっと検索しただけでも、9冊ほど、しかもビジネスと儲けの構造なんかに特化した本を書かれているようです。なかなか面白そうな本ばかりですよ。
ということで今回はこの『ビジネスモデル思考法』で学んだことの紹介です。
こちらも小説タイプでなかなか読み進めていくのが、楽しい構造です。こういうストーリーと学びが連動しているものって、読みやすくて私は好きです。というか、逆に最近では、ごろごりの論文系の文書を読むのが辛くなって来たのが正直なところ。年でしょうか。
顧客価値の創造
まずためになったな思うところをいくつか。
まずはビジネスの目的が、「顧客価値の創造」にあるというところです。この顧客価値とは何ぞやということなんですが、要はお客様の満足です。
例えば、150円の商品があって、200円まで出していいと思える価値をお客さんが感じているなら、そこにある差50円というのは、とってもお得感(Happy)をもたらしてくれますよね。この「お客の取り分」というところが顧客価値というものになっていきます。
企業というのは、ここを追求していかなくてはいけない。本書の中で何度も強調されていますが、「お客様の目線で考えているかどうか」というのが、企業側がいつも心にとめておかなくてはいけない部分なわけですね。
そして、この企業価値を創造していくために、何ができるのか。
そこはやはり他社、他製品・サービスとの差異化を図っていかなくてはいけない。同じことをやり続けても、すぐ模倣されたり、コモデティ化したりして必ず衰退していくわけです。
そういうサイクルに陥ってしまうのを防ぐために、俗な言い方をすれば、企業は常に「イノベーション」というものにチャレンジする必要性があるわけですね。そのために儲けというものを出し続ける、それが企業の利益に対する態度でなくてはならないと。
この辺は、ピーター・ドラッガーの言う「顧客の創造」に似ているなと感じました。
ハイブリッドフレーム
よくマーケティングで言われることですが、お客さんは問題を解決したいのであって、モノやサービスが欲しいわけではないという。
以前もご紹介しましたが、ドリルの欲しいお客さんは「穴が欲しい」んであって、別にドリルでなくてもいのかもしれないわけです。
これが、お客さんの視点で考えるということであり、その問題(本書では「用事」とされています)をいかに解決してあげられるのか、これがWhatのところ。企業の活動が最も問われるところですよね。お客さんが欲しいと思ってくれるものというのは、いずれにせよ一番大切だと思います。どんな広告されたって、欲しくなかったら買わないですよね。顧客が価値を見出すのかどうかというところです。
そして、自分たちの生み出した、そういった顧客価値を、誰に向かって売っていくのか、そしてどのような時間軸(タイミングですね)でお金を支払うポイントを設けるのか。これらをきちんと理解することが、他社との差異化、ないしはマーケットで利益の出せるポジションを見つける秘訣である、と本書では説明されています。
この辺の説明も、大学のゼミのシーンなどをストーリーに盛り込み、いろんな会社のビジネスモデルが説明されていて、すごくためになります。登場人物に習って、ちょっとやってみようかな、という気にさせられますね。実際やってみると面白いですよ、この分析。
お客様の用事は
そして往々にして、企業側は売ってしまったところで、考えが止まりがちであるとも述べられています。
上記、また本書にあったものを、Kusunoko-CIが見やすく書き直してますが、ご覧ください。お客さんにとっては、買った後がいよいよそのその製品やサービスとのお付き合いの始まりなんですよね。
またもや、顧客視点に立つということの重要性なわけです。そしてビジネスモデルを考えるときは、この顧客ゴール地点までを視野にいれていく。
そうすることによって、例えば、現在マーケットシェアNo.1の製品であっても、お客さんの用事をすべて解決しているのではないのかもしれない、という視点が生まれる。そこに新たなチャンスがあるということを、川上先生はおっしゃられています。
この辺は、中小の企業(もちろんスタートアップ企業)などが、ビジネスを考えるうえで特に注目しないといけない部分です。
いわゆるランチェスター戦略ですね。まともに戦って勝てないなら、勝てるやり方を見つけていこう。この辺の視点の変え方、本書では「ズラす」と呼んでいます。
支払いポイント、用事の発見
そして、こうしたお客さんがその製品やサービスをどのように「消費」していくのか明確になれば、また新たな「課金ポイント」が見えてくるというのが本書の秀逸な点です。
お客さんがものを買う。昔はある意味一律この瞬間にのみ、お金を払うポイントというものが存在していたわけです。
しかしながら、映画産業しかり、携帯ゲームしかり、エステティックのミュゼしかり。こうした従来の「ビジネスモデル」を「ズラし」て、その収益のモデルまでをInnovateできた企業が今、大きく利益を出しています。
ポイントはここなのです。お客さんの本当の意味での購買活動をしっかりと把握し、自分たちの製品サービスが一体どこの時点で、顧客価値をお届けできるのか。そしてさらには(その製品・サービスを直接使用する)お客さんではない、どこかから利益を得ることだって可能なわけです。あくまで仕組みが見えていればですけども。
ビジネスの収益性そのものを、かなり俯瞰的に見ることで、これまでなかった収益の仕組みを考えだすこと、これが本当の意味でビジネスモデルを考えるということのようです。
それはもちろん既存のビジネスモデルを、全く違った産業に適用しなおすことでもあるかもしれません。あるいは本当に盲点になっているような、日陰の部分を見つけ出し、陽の目を見させてあげることなのかもしれない。
いずれにせよ、この「ズラす」行為自体がイノベーション。そして顧客との新たな関係性の構築を目指し続ける企業が、今後覇権を握る。
顧客価値、解決されていない用事、支払いと収益のポイントの再発見。
これが本書で言われる、新たなビジネスモデルの思考法であると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。書評『ビジネスモデル思考法』。これはなかなかの本でございました。
冒頭にも述べましたが、とにかくわかりやすい。そして、我々のような弱小の事業であっても、きちんとした分析、お客様目線、既存のビジネスとの「差異化」(=ズラす)がきちんとできていれば、勝ち目があるということを教えてくれる良書でした。
コンサルタントで作家の牛堂登紀雄先生も、そのセミナーの中で「ビジネスモデルを考えるのが僕の趣味」とおっしゃってました。先生曰く、それは集客のシステムを見ることのようです。その時はピンと来なかったのですが、この本と今知識が結びついたとき、少しわかって気がしました。
いつ、どこで、だれが、どうやって、その製品・サービスの何に対してお金を払うかということに他ならないかもしれませんね。
頭の中でちょっといくつかの情報がまとまって、大変うれしい今日のKusunoko‐Ciでした。