改善を定着させたい 管理のサイクルCAPDとは?
CAPD Cycle.
皆さんこんにちは。今日も海外改善Activityサポート、Kusunoko-CIです。
皆さんも海外で、改善指導をされることが、あるのではないかと思いますが、いかがですか? 改善実施後、定着していますか?
改善をする、ということは、新たなやり方が出来上がるということですね。改善してみて、うまくいくようであれば、その仮の作業であったものを「標準化」します。
「新たな作業標準」。
長年改善活動をサポートしていると、特に海外では、この「改善後の状態を維持して、次の改善へ」つなげるというのが、本当に難しいと感じます。元に戻ろうとする力が、とても強いと感じることはありませんか?
ということで今回は、管理のサイクルPDCAではなく、「改善後管理のCAPDサイクル」に注目してみたいと思います。
こちらの記事を読み終わった頃には、 改善した後、それをどう定着させていくのかが見えてきますよ。もちろん、日本での改善活動にだって、使えます。
CAPDサイクルってなんだ?
改善後の管理サイクルは、よく一般に知られている「PDCA」ではなく「CAPD」になります。
PDCAは「Plan-Do-Check-Act」の4つの英語の頭文字をとった、ビジネス遂行のための一般的な管理サイクルでしたね。
CAPDとは、この本来のPDCAの「P」からではなく、「C」から始まっている管理サイクルになります。「Check-Act-Plan-DoでCAPD」です。
なぜでしょうか。
改善策を実行して、それがうまくいくことが分かった。そうするとそれを新たな「作業標準」として定着させていかなくてはならないわけです。
その過程としては、
- その新しい標準を「標準作業書」などにして、作業者さんから、見えやすいところに張り出す。
- そして監督者さんは、決まった位置からチェック(Check)。
- そして、異変があるようであれば、調整する(Act。人によってはAdjustを使うことも)。
- もしそうした異変・異常が、頻繁に発生するようなら、それは定着化が難しいことを意味する。
- それに対する、改善施策を計画(Plan)し、改善案を実行(Do)していく。
あるいは、うまくいっているようであれば、それが完全に定着するまで様子を見つつ、つぎのPDCA(改善活動)を考え始めるわけです。
このように、Cのチェックから入っているのが、この改善後の定着のためのサイクルになります。
もっとも難しい工程に、「CAPD」
改善された、新しい標準を維持することなしに、次への改善ステップは踏めません。
そのため、改善策を実行した後のこの定着化、というのはとても需要なカイゼンの1工程になってきます。
しかしながら、私の経験上は、「もっとも難しい工程の一つ」、と言える。
そもそも、人間というのは変化を嫌います。我々は本能的に、いまの状態(Comfort zone)にとどまろうとする生き物です。
それを変えて、変化した新しいことを受け入れてもらおうとするのですから、そもそも難しくないわけがありません。そうした変化については、以前こちらの記事でもご紹介しました。
そうした難しさを踏まえたうえで、管理者・監督者は、この改善後の維持を根気よくやっていかなくてはいけません。
ラインの中で、一つや二つ、変化させた程度なら、管理者さんも、場所や作業内容を丸暗記しておくことは可能でしょう。
でも例えば、ラインや工程内作業そのものを変化させてしまったときなどは、すべての工程における新しい作業標準など、覚えておけるはずもないです。
ですので、かならず「作業標準」のリニューアルを行い、それを作業台、作業者さんからも監督者さんからも見える位置に張り出します。
監督者さんは、定位置から、作業者さんの実際の行動と、その標準作業書とを比較しチェックします。このチェックなしには、改善を定着させることは出来ません。
いわゆる3H作業の時が一番ケアが必要なんでしたね。3Hとは、
- 初めて(Hazimete) – 初めてやる作業
- 久しぶり(Hisashiburi) – 久しぶりに行う作業
- 変更 (Henkou)- 手順や方法が変更された作業
改善はこの1番目と3番目に該当する、典型的なケースです。
CAPD管理は全員の「根気」
私がサポートした、とある海外の工場の事例です。
大々的なワークショップの終了後、一か月たって、またそこを訪れました。
その中の1projec。
これから生産が、増えることが見込まれるということで、ラインの整備、主に管理の仕方などが指導され、いわゆる時間で管理する「生産管理版」が導入されました。
ほんとに下のような、簡単なものです。
ラインの最終工程の作業者さんが、一個生産を終わるたびに、これを書き足していきます。
時間ごとに決められた、計画数と、実際の数を比較して、
- 現状がいいのか悪いのか、
- 悪いのではあれば、どうリカバリしていくのか
ということが、すぐに「見える化」されていくわけですね。ちなみにこれも、「管理のCAPDサイクル」用のツールですね。
残念なことに、改善後一か月で、生産管理版は使われなくなっていました。
要するに、それを維持する「足腰がない」んです。
これはもう作業者さん云々ではなくて、ライン管理者さんの問題です。マネジメントの問題なんです。
ラインリーダーさんにせよ、その上のフロアリーダーさんにせよ、管理のCAPDを回すだけの足腰がない。
こういう場合は、その工場の改善部署の方とお話をして、特に念入りに見回ってもらう(現地現物)。
次いで、部長さんや工場長さんにも、現状がどうであるのかを伝える。彼らが気にすれば、中間管理職は変わりますから。
1にも2にも根気です。粘り強く、管理の重要性を説いていく。
これは3Hにも共通しますが、我々は維持させる方に集中しましょう。
改善後の現場管理をチェックし、調整して、次なるアクションを取ることを考えるのが、私たちのような外部の改善サポートの役目です。
つまり我々のような人間もまた、この改善管理のサイクルCAPDを頭において、遠く離れた工場の改善維持を、なんとか推進していかないといけないわけです。
まとめ
今回は、「改善後管理のCAPDサイクル」のお話しでした。
変化自体は簡単です。誰でもできます。
でもその維持となると、話は別です。やり続けられる足腰が問われる。
ただだいたいの場合、結局は「トップの覚悟」というところに話は落ち着きますけれども。
トップが、改善後に気を配って、「維持する、そしてさらにカイゼン(継続)!」と考えていれば、現場はそれに合わせて動いていくものです。
さまざまなレベルのリーダーさんがいます。
その一人一人が、この「管理のCAPDサイクル」の重要性を理解し、実施する。それだけです。当たり前のことを、当たり前にやる、これが真髄です。
変化(異常)に気づき、調整をかけ、そして新たな生産・改善計画から実行へと進むために、管理にはこの「CAPDサイクル」でぜひ望んでみてください。
皆さんの改善が、「カイゼン」になっていきますように!
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
では!