コスト削減なら、だいたいこの3つ(当面は)
Cost saving category for the moment.
皆さんこんにちは。いつも読んでいただきまして、ありがとうございます。
さて以前、タイのホテルで苦情を入れたお話をしました。
そうしましたら、なんと改善ワークショップの最終日、ケーキをもって会社まで来てくれました。その時のSenior Sales Managerと、そのアシスタント(?)のお二人で。
曰く、「今回苦情を上げてくれて、しかもとても価値ある改善提案までしていただいて本当にありがたい。すでにホテルのマネジメントに、あのアイデアをシェアした。彼らもたいへん気に入っている」とのこと。
びっくりしました。「Kusunoko-CI(仮名), you have special guests」とか言われて受付まで行ったんですけども、山のようなケーキ。その日が改善イベントの最終日ということで、わざわざチームにいきわたるような分量のケーキを持ってきてくれたんですね。いやはや、逆に恐縮いたしました。
いいことは、してみるもんです。
ちなみに、ホテルのハウスキーピングは、チェックアウトまで、相変わらずでしたが。
カイゼンおじさんとしては、ホテルもハッピー、私の会社も(ケーキもらって?)ハッピーということで、うれしい限りです。あとはきちんと、結果が見えるといいんですけどね。
ということで、今回は、改善とコストです。改善で削減できるコストの種類を少し整理しておきましょう。
改善とコスト
以前も何度かお話ししたと思うのですが、改善でコスト削減だけを延々追い続けるのはご法度です。
もちろん、導入当初というのは、べっちゃべちゃに濡れた雑巾絞るようなもんで、どばーっと経費削減ができます。
なにせやったことがないところに潜む、ありとあらゆるムダを見つけては効率化していくわけですから。その成果は楽しくなっちゃうくらい、わかりやすいはずです。
例えば、電気代、ムダをは省いただけでかからなくなる倉庫代、効率化されて減る残業代、荷物を送る運賃などなど。
これはこれで大事なことなんで、経営に不必要な変動費のムダは、どんどん取り除いて行かないといけないです。
ところが、こういうことも繰り返していくと、だいたい頭打ちになる。だいたい4年か5年もすれば、大きな成果が出なくなる。
改善して、リードタイムが減りました。
で? っていう。
直接財務諸表に書けるような削減ってのは、なかなか出てこなくなります。そこで、安易に人件費カットなんてやってしまうと、もう目も当てられない。
「一生懸命改善やってクビになる会社」で、誰が働き続けたいと思うんですかね? すごく単純なことのように思うでしょ? でも多くの会社が、そんなことに手を付けてしまうんですね。
理由はいろいろあるんですけども、短期的にいい数字を出したいとか。それほど切羽詰まっているとか。経営は大変だとは思うんですが、そういう改善は、結局自分達の首を絞めるだけです。
会社は当然、人で成り立ってますからね。人が持つ技術や経験、勘やコツ、ノウハウ、人脈が失われていくと、もう取り返しがつかなくなります。死にゆくだけです。
なので、人を一番に考える経営、そしてその方向性の中でカイゼンをしていくのが、私は一番望ましい姿だと信じています。
私が一緒に仕事をするコンサルの方も、その辺はかなり口を酸っぱくして言っておられます。ほぼ毎回。
コストの種類
とはいえ、まずは改善で、どのようなコストの削減ができるのかは知っておいてもいい。
その先ほど述べたいわゆる「最初にできるムダの削減」ポイント。
それは大きく分けて3つです。
- Hard saving
- Soft saving
- Net working capital
では一つずつ見ていきましょう。
Hard saving
これは現実的に、損益計算書に書きいれることのできるコストのことです。主に、サプライチェーンを回せば回すほどかかる変動費ですね。
例えば、スクラップにしていた仕掛であったり、電気や水道なんかの光熱費が削減できたこと。あるいは運送にかかっていた運賃が少なくなった、借りていた外部の倉庫代なんかを削減できた、とか。
いわゆる売上原価に関わることで、販管費なんかもProjectによっては入れられるかもしれません。なのでもちろん、人件費(変動の)なんかもここに入ってきます。まぁ、あんまり大っぴらに、カットしちゃいけないとは思いますが。
Soft saving
これは、そうしたことに書けない数字のコスト削減。
いわゆるリードタイムが減ったということは、働いてる作業者が従事する時間が減ったということです。しかしながら、結局彼・彼女はまだその工場で働いているわけで、人件費は減ってないですよね。
あるいは、5Sをやってムダなものがなくなった。スペースとして空きができて、そこに必要なものを置けるようになったことも、外に倉庫を借りなくていいという意味ではコストを削減してますが、直接帳簿には書けないですね。○○円減りました、みたいな。
なので、理論値と言いますか、将来かかるであろうコストを避けるために、会社としてのリソースを有効活用出来るようにした、という項目になります。
でも改善始めて4,5年たったら、ほとんどここしかインパクト出なくなります。そうすると資源である固定費に手を付け始めたりするんですが、それが危険な兆候ですね。
Net working capital
いろいろ調べると、Net working capitalとかWorking capitalとか出てきて混乱するかもしれませんが、どちらも一緒です。
運転資本と日本語では訳されます。あるいは正味運転資本。
これ調べるとわかると思いますが、めっちゃ難しい説明で、読むのが嫌になります。だいたい何言ってんだかわかんないし。
簡単に言えば、計算式はこうです。
運転資本=売掛金+棚卸資産―買掛金
売掛金
売掛金は、お客さんに商品はお届けして、請求書も出てますが、まだお金が払い込まれていない。なので、帳簿上は売り上げが立ってますけど、現金はない。
棚卸資産
棚卸資産はすなわち在庫ですね。いわゆる一般会計上は、これは資産=お金とされてしまうけれども、現実問題現金ではない。ものを売らない限りは、お財布を圧迫しますよね。これも帳簿上の資産です。罪庫。
買掛金
そして最後の買掛金。製品を作るのに、素材となるものを買いました。商品は届いたけれども、まだ支払っていない。ので、いずれ払わないといけないんですが、今この瞬間はまだ猶予がある=お金を現金として、ちょっとキープしておけるわけです。
で、この運転資本は、上記の計算式から分かるようように、「帳簿上お金がある(が現金はない)」数字から「帳簿上支払いはある(が現金を持っていられる)」を引いたもの、ということになります。なので、トリッキーですが、この運転資本というのは少ない方がいい。
以前もお話しましたが、ビジネスをやるには、現金がいります。帳簿上のものではなく、現ナマです。給与とか、借金の返済とか光熱費とか、いろいろ支払いがありますからね。
なのでNet working capitalが少ないということは、結果として手元の現ナマ率がとりあえず増える、という理屈になります。
帳簿上だけお金が山ほどあっても、役には立たない。そこで改善することとしては、棚卸資産=在庫を減らす、という大きな目的が生まれてくるわけです。いわゆる「罪庫」を減らして、現金を持つことに貢献していかないといけない。
銀行にお金返したりししないといけないですしね。
なので、なるべく小ロットで買う・作る、一個流しをして工程内の仕掛りを減らす、作ったら即売る(倉庫に寝かせない)などという努力が求められるわけですね。
あるいは、最初の売掛金のところだって、お客様にもう少し早く代金を支払ってもらうという交渉だってできるわけです。が、あんまり現場改善という感じではないですね。むしろマネジメントがどう交渉するか、という話になってきます。
運転資金
ちなみに、この運転資本は、運転資金ではないです。これは会計上の言葉ではなく、あまりしっかりした定義はありませんが、ビジネスをやるために必要なお金、くらいの意味あいのようですね。念のため。
まとめ
いかがでしたでしょうか。改善で考えられるコスト削減の計算カテゴリー。
Hard saving・Soft saving・Net working capitalという3つのご説明でした。
そして何度も言いますが、最初のうちはこのHard savingも面白いように出ます。ですが、これには限界があって、いずれそうなることも見越して、カイゼン活動を推進していかないといけません。
それらを分かった上で、じゃどうやって継続させていくのか。何をもってして、カイゼン(継続的なものを“カイゼン”と書いています)活動の効果を測っていくのかが問われていきます。
問われるべきは資源(固定費)の有効活用。
こういうことはトップが、財務関係の方としっかり話し合って、その会社なりのカイゼン指標というものを決めていくほかないでしょう。
この辺いずれ、私が今学んでいることも、ご紹介していきたいと思います。
皆さんのカイゼン活動、頑張ってください!
うがい・手洗いは、しっかりやりましょうね!では!