従業員エンゲージメントはこうして上げる
Engagement
皆さんこんにちは。今日は休日ですが、家族と離れ離れです。一人になる時間というのもそれはそれで重要ですが、やっぱりさみしいですね。
そして何より、パパなしで休日を過ごさないといけない家族が、ちょっとかわいそう。平日はともかく、週末はね。
ということで、今回も2週間ホテル暮らしのKusunoko-CIです。こちらタイでもかなりいい方のホテルだと思うのですが、いつも何かしらの問題に直面している私と、そして同僚も同様に。
そんなわけで今回は、ホテルを例にとりながら、従業員のエンゲージメントと改善案について考えてみたいと思います。
タイ ホテル 比較してみて
もうかれこれ1年くらい、タイに来るたびこのホテルに宿泊しています。
最初はちょっと、あまりにも細かな問題が発生して、何じゃこりゃと思ったんですが、その後考えを改めました。なぜかというと、「ほかに泊まってみたから」。
単純に比較対象ができたということです。
以前飛行機の関係上、ほんの5時間ほど別のホテルにステイしました。
仕事して、シャワー浴びて、ちょっと仮眠でも取れればということだったんで、今いるホテルのすぐ近く、Booking.comでかなりお安めなところ。
そしたらね、もう部屋に何もついてないし。しかも多分仮眠取ってる時、お化け出た気がします。
いやただの夢かもしれませんが、誰かドアを開けていたような気がしました。あんまり気にしないようにしてたけど。
まぁ、お化け云々はさておき、基本受付の対応は最悪だし。カードは機械の故障で使えないし。キャッシュを両替してこいと言われ、行って帰ってきても、お礼はないし、謝罪もないし。
あまつさえ、カードじゃないから1000バーツ、デポジットしろと切れられ。いや、それそっちの都合でカード使えないからだよね? って言ったら「Aah!?」って言われました。まぁお金は返ってきたからいいけどさ。
そんなわけで、文句を言ってた今のホテルも、対応から設備から、何から何までここじゃ最高クラスなんだなと思うようになりました。
確かに施設も新しいし、一度家族を呼んだのですが、プールは息子も大好きだし。いまは上級会員ということで、対応もさらに良くなっています。いいホテルだと感じてはいるのですが。
2個頼むと1個忘れるひとたち
感じるのですが、ミスが多いんです。
ミスというか、特にハウスキーピングと施設メインテナンスの、仕事の標準化ができていない。連携もないようだ。
今回からの上級会員特典ということで、角部屋、眺めのいいところを向こうが用意してくれていました。
「Sir、アップグレードです!」とか言われ、来てみると、スリッパがない。髭剃りがない。歯ブラシがない。体重計(ほかの普通の部屋にはある)がない。
でもまぁスリッパ以外は全部あるんで、とりあえず疲れてたし、いいや。体重計はなくても特に困らない。
で次の日、帰ってきてもまた、それらがない。翌朝受付に頼みます。そうすると今度は、いろいろ置いてってくれるんだけど、まだスリッパ忘れている。ついでにランドリーバッグも補充されてない。
さすがに、受付に電話します。そしたらものすごい不機嫌なんですよ。もう「ありがとう」と言わせる間もなく電話をガチャ切りします。かちん。
そして、スリッパ持ってきます。そうです、ランドリーバッグ忘れてるんです。
2つ頼むとだいたい片方忘れてます。
もうね、どういうコミュニケーションしてんだよと。
もういい加減腹立ったんで、アンケート書きました。どうなってんの?
一応ね、会社の提携なんで、結構偉い人から謝罪メールとランチのオファーが来てました。今日これから会いに行ってきますが。
まぁとりあえず細かいことなんですけど、日本だとあんまり経験しないですよね。
せめて、ハウスキーピングはチェックリストくらい持って備品確認しよう。そして何か壊れてたら、自発的に自分からメンテ部に連絡するという手続きの徹底化をしようよ。という基本ですね。
とにかく自分が与えられた仕事しかしない。Job descriptionに書いてることだけ、というお話は以前もしましたね。それすらできていないという悲しい現実もあるんですが。典型的なスタイルです。
Yves Morieuxさん(BCG)の改善提案
で、ここでただ苦情言って、謝罪だけ聞いてもカイゼンおじさんとしてどうかと思うので、ちょっと提案したいことが一つ。
これは別に私が考えたことではなくて、ボストンコンサルティンググループの、Yves Morieuxさんという人の改善案です。
彼の話は、従業員エンゲージメントについてなんですけども、いわゆる現状様々な会社でやってる、従業員のやる気を高めるような行為、例えば
- celebrations,
- awards,
- the Employee of the Year.
- sending leaders,
- training to develop leadership styles,
とかいうのは、全く意味をなさない。というかむしろ逆効果でしかないと。
そして例として、これがなんというか偶然のなせる業、ホテルに関してです。
お客さんが問題発生して、電話をするのはどこですか?
受付ですね。何があってもだれもハウスキーピングやメンテ部なんかには電話しません。ってか番号すら載ってない。
そうすると、受付の人が、目の間にいるお客もさばき、時には直接苦情も聞き、そしてさらに電話攻撃を受ける。
なので、まず受け付けは、そうしたことも見越して、空き部屋を意図的に用意したりしてます。
これで稼働率はどんどん下がる。
そして、入ったばかりの受付だと、そんなやり方も知らないから、苦情の嵐に途方にくれて、すぐやめてしまう。3か月とか。会社としてはひどい損失です。
そこで、いろんなルールを設けたり、トレーニングをしたり、エンゲージメントを高めようとしますが。それは真因を解決していることにはならない。対症療法でしかないわけです。なのでいつまでたっても問題はなくならない。問題解決は、真因をアタックすることでしたね。
この場合の真因は、ハウスキーピングやメンテ部が彼らの(internal)カスタマーである受付係が喜ぶ仕事をしていないところにあります。協力や協調、助け合おうという仕事スタイルではないからですね。
どんなに中途半端な仕事をしようと、怒られるのは彼らではない。むしろたまにはわざわざ運んできてくれた、あるいは直してくれたと感謝されてチップまでもらったりしてる。こんな状態では、誰が受付係のほうを向いて仕事をするでしょう? あるいは受付係はなにかハッピーになれる要素がありますか?
受付係に、ハウスキーピングやメンテ部のボーナスの査定をやらせてみたらどうですかね? 全部じゃないにしろ。自分たちにどれだけ協力的に働いてくれたかを、査定するシステムがあれば、そこに助け合う気持ちは生まれてくるんじゃないのかと。
ここで声高に「後工程はお客様だと思え」といっても、それはそれで機能しないのかなと。であれば、そういうシステム(査定制度)を、作っちゃえばいいんじゃないでしょうか?
ハッピーな好循環
そうすることによって、ハウスキーピングやメンテ部はどうやったら、受付係がハッピーになれるのかを考え始める。受付係はハッピー、お客さんもモノは揃ってるし、設備もしっかりしていてハッピー、そしていい仕事をしたことで、ハウスキーピングやメンテ部もいい査定を得てハッピー。部屋の稼働率も上がって、顧客満足度も上がって、経営陣もハッピー。
みんなハッピーになれるから、従業員満足度も上がって、ますますサービスの質も上がっていってハッピー。
常々思うんですが、誰かをハッピーにさせる仕事をするというのは、とても大事な態度なのではないでしょうか?
そして、こういう協力と協働、協調が評価される査定システムを取り入れると、結果としてどんどん好循環が得られていくのはないか。
こんな感じのことをYvesさんは言っておられるわけです。少し間にKusunoko-CIの意見も交じってますが、おおむねこんな感じです。
なので、こういう会社で叱責されるのは、「失敗ではなく、助け合わないこと」になります。
このへん、トヨタの自工程完結であったり、後工程はお客様理論とかなり近いものがあると思うのですよね。
トヨタのチームワークは「同僚の努力をムダにしない」こと、と以前書きました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
IT化が進み、どんどんどんどん世の中は進歩しているのに、逆にマネージメントは難しくなってきている。
これがKPIだー、これが新しいシステムだー、と使うべきものに追い回されて使われている、本末転倒感を抱いている方も多いのではないでしょうか。
そこで少し視点を変えて、シンプルに、「助け合い」という考え方を会社のシステムに取り入れるだけで、もしかすると生産性やら収益率やら、従業員エンゲージメントレベルやら、顧客満足度やら、ぐっと変わってくるかもしれませんよ!
一考の価値ありです。おためしください。Kusunoko-CIは、これからホテルのSenior Sales Managerと会ってこの話をしてこようと思ってます。
ではまた!