平準化からかんばんまで解説編
皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
以前も一度、平準化についてご説明いたしました。平準化できないことによる悪循環や、結局のところ他のカイゼンの仕組み導入同様、トップ、マネジメントの皆さんがどれだけ覚悟をもってやれるかにかかってくるというお話しでした。
そこで今回は、より具体的な平準化の仕方に焦点を当て、かんばん方式を導入できる下地が整う様子を確認してみたいと思います。
平準化のする際のプロセスと、かんばん方式へのつながりが見えてきますよ。
平準化のやり方 手順
ではさっそく平準化のやり方を、順を追ってみていきたいましょう。
- お客様のデマンド(受注量・種類)を確認する
- 上記全ての製品につき、それぞれ受注量から日当たりの生産量をだす
- 全ての製品の日当たり生産数を合計する。これによって月別の日当たり総生産量が把握できる
- 生産計画の部署(Production planning Dep.)が、3番からすべての部品の日当たり必要数を算出する
- サプライヤーさん(と供給部門)に、部品すべてについて生産・納品可能かを確認する
- 作り切れない数量が明確になった場合は、注文の後ろずらしが可能かを確認する
- サプライヤーさん含む、関係部署間の調整を経て、生産計画完了となる
という流れになります。
読んでみると、特別なことはやっていないということがわかりますね。
ただ一朝一夕にできるかというと、なかなか難しいですが。
ここで重要なのは、各工場がどのくらいの生産能力を持っているか、把握できているということですね。
標準作業というものが決まっているから、製造する際の時間が読める。なので、当然1個作るのにどれくらいの時間がかかるのかも分かっています。
このような状態であれば、残業や休出含め、ある受注数に対応できるのか、出来ないのかということもつかめるわけです。
出来るのであればよし、出来ないのであれば注文の後ろずらしを交渉していくことになりますが、ここが一番難しいのもわかります。
しかしながら平準化を目指すのであれば、「絶対無理」と初めから投げ出してしまうのではなく、営業部署の方等含めまして、少しでもカイゼンできる方向を模索していかなくてはいけませんね。
平準化と流れ化
具体的なやり方を見てみます。
今は便利な時代になりました。こうした平準化もコンピューターがあればかなり楽になります。
お客様からのデマンドを、製品のありとあらゆるカテゴリーごとに、徹底的に層別していきます。
例えばパソコンを作っているなら、ラップトップなのかデスクトップなのか、CPUなどのスペック、出荷する国による差異など、様々なタイプが、様々な量要求されていることと思います。
すべてが同じタクトで流れるよう、標準作業化され、サイクリックな生産方式になっているとはいえ、中にはサイクルタイムが他と比べると長くかかってしまうものというのが必ずあるはずです。
タクトタイムに対してどうしてもギリギリか、若干はみ出てしまうような、工数が多いものですね。
こうした特殊なものは、難しいものと難しいものの製造間隔が詰まらないよう、生産計画の段階で間を開けるようにしておきます。コンピューターにできないときは、人判断が必要だったりしますが。
そうすることで、比較的簡単ないしは標準的なもので若干の時間を稼いでおくことができるわけですね。
要は「流れで作る」ことの阻害原因になり得るものが、「だんご」になって流れないようにしておくということです。
このように毎月、毎日、毎時間に生産する量が決定され、かつ流れる製品の種類もならしていくことが平準化になります。
平準化からかんばんへ
ここから少しだけ、以前もご紹介したかんばんのお話しです。
上記のように平準化が出来ると、いよいよかんばんが使えるようになります。
すべての製品に対して、1シフト当たりの生産数と順番が把握できました。ここから部品も何分に一個必要か分かりますよね。
今月、ある製品ABCは300台作らなければならないとします。ABCの生産には、αという部品が、1シフト当たり10個必要です。
今1シフトが 400分だったとすると、400分を10個で割って40分/個、 つまり40分に1個のペースで部品αが必要ということになりますね。
かんばんの振り出しも、このペースに合うように行われることになります。
1枚のかんばんを振り出してから、それが部品と一緒に戻ってくる間に、どれだけの部品が必要になるかを把握し、その部品数がかんばん何枚分に相当するかを算出するというのが基本的な考え方になるのでしたね。
ついでですので、かんばんの運用ルールもここに載せておきます。
①不良品を後工程へ送らない、100%良品であること
かんばんの指定数量が完成しても、そのうち何割かが不良品であってはかんばんは回りません。
②かんばんが外れた分だけ、後工程が前工程に取りに行く
前工程が後工程に押し込み(Push)をしてはいけません。
③前工程は、かんばんが外れた量だけ外れた順番に生産する
生産の優先度を考慮します。
④かんばんの無い時は、造らない、運ばない
かんばんが無い時に、見込みでつくってはいけません。
⑤かんばんは現物に必ず付ける
情物一致で、モノと情報が一緒に動きます。
⑥かんばんは運ぶコンテナごとに1枚つける
1コンテナ1情報にします。
⑦かんばんは、最初の1個を使用するときに外して、かんばんポストにいれる
容器内のひとつに手をつければ、かんばんが外れるようにします。
⑧欠品の時は、できあがり次第後工程に届ける
異常なかんばんの振れが出た時は、ルールを決めて対応します。
⑨使用部署が管理する
責任の所在は明らかに。
以上です。
いずれにせよ、決めたルールを守る習慣が身についていないことには、こうしたかんばんも運用できません。これは何もかんばん方式だけに限ったことではなく、どんな仕組みについても同じです。
5Sの最後のS、「Self-dicipline(躾)」が問われます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「平準化からかんばんまで解説編」と題しまして、平準化の具体的なやり方と、かんばんへのつながりを説明強いてみました。
「ローマは一日にしてならず」と言いますが、こうしたLeanな生産方式も一日にしてならずです。
「最高の品質を、最小のコストと、最短のリードタイムで作るには」を目標にして、小さなことから少しずつやっていくしかありません。
産業構造や製品によって特殊になってしまう側面は、皆さん抱えてらっしゃるかと思います。ただそうした制約の中でも、出来ること・やり方は必ずあるはずです。
「最高の品質を、最小のコストと、最短のリードタイム」は、「流れで作る」ことから生まれます。流れとは、「欲しいものが、欲しい時に、欲しい量だけ手元に来る」状態です。JIT(ジャスト イン タイム)ですね。
どうしたら流れ化できるのかを考えましょう。流れを遮る滞留化の原因は何でしょうか?
工程だけ見ていてもおそらく流れは作れません。全体を見ることです。そして全体に関わる全員でカイゼンしていくことですね。
今日も読んでいただきましてありがとうございました。
ではまた!
TPS導入の手順がわかる。