付加価値とカイゼン着眼点

皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。

今回は「付加価値とカイゼン着眼点」と題しまして、製造工程における活動と、付加価値のつかない活動のカイゼン点を確認していきます。

付加価値がついている、ついていないという観点は、工程を見直す際の重要な要素です。付加価値のつかない作業をカイゼンするには、どうすればいいのか確認していきたいと思います。

ものづくりの4つの活動

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材料が製品になるまでの流れを工程といいます。

工程には次の4つの活動があります。

  1. 加工
  2. 検査
  3. 運搬
  4. 停滞(貯蔵)

人によっては、貯蔵と停滞を分けて5つの活動という方もいらっしゃいますが、場合によりけりでいいと思います。

ただリーン(Lean)な工程は、「材料が付加価値をつける活動のみにより、停滞することなく常に変化・変形しながら完成品になっていく」のがあるべき姿です。これに合わせてみれば、貯蔵というのは確実に停滞であると言えますね。

付加価値を生むのは「加工」のみ

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この4つの中で、いわゆる価値をつける活動というのは1番の加工だけです。

加工は素材・材料を

  • 変形する(形かえること)
  • 変質する(素材の性質を変える)
  • 変色する(色付けなど)
  • 組み立てる(部品を合わせる)
  • 分解する(小さな部品に分ける)

という活動に分けられます。

お客様が望む方向(製品するため)に向けて、材料に変化を与える行為が、加工です。

これらは当然、お客様が欲しいと思っているものを作り上げるために必要な行動ですから、その過程で価値を付加していることになります。

だいたいの場合、お客様はその行為ができないか、あるいはしたくないと考えているから、我々にお金を払って頼んでいるわけです。

ものづくりや飲食という商売が成り立つわけがここにあります。お客様はこうした活動に、お金を払ってもいいと考えているはずですね。逆にそれ(加工)以外の事には、お金を払いたいとは思っていません。なぜならそれらは、価値が付加されてない活動だからです。

ムダに対する認識合わせ

ではそうした加工以外の活動を見てみましょう。

検査、運搬、ありとあらゆる停滞(貯蔵含む)は、当然先ほど見た加工の5つのどれにも該当しません。

検査・運搬・貯蔵は、人(携わる人の賃金)・機械・場所などの様々な経費を発生させますが、基本的には価値は付加されていませんね。

価値が付加されていないにもかかわらず、我々はこれらを製品の代金に組み入れなければなりません。人件費であれ光熱費であれ、かかったお金はコストとして請求しないと商売が成り立ちませんからね。

しかしコストが上がれば、製品の価格もそれに合わせて上げざるを得ない。

あるいは、価格がお客様との契約などで決まってしまっているならば、コスト上昇はそのまま利益の減少を意味しますね。

このように考えてくると、加工以外にかかるコストをいかに減らしていけるかが、収益性を上昇させるカギになることが分かるはずです。

付加価値を生まない行為をいかに減らすか、これがカイゼンです。

まずは組織の全員が、これら検査・運搬・停滞(貯蔵)をムダな行為であり、徹底的に排除していかなければならないという認識を持つことです。

そしてこれらに当たる行為を見つけ出し、いかになくしていくかを考え実行に移すのがカイゼン活動ということになります。

検査・運搬・停滞とキャッシュ

当然、上記の付加価値を生まない時間が排除・短縮されれば、お客様に製品をお届けするのにかかる時間(リードタイム:Lead time)が短縮されていきます。

リードタイムの短縮が、上記の加工以外の時間を短くすることでコストの削減に結びついていることが分かりますね。

このLT短縮にはさらに

  • 同業他社と比べて、早期の納入を実現できる
  • 注文からお届けが早くなれば、お客様からの支払い(入金)も早くなる

という二つの効果があります

これらは意外と見落とされがちなのですが、商売をするうえでたいへん重要な要素になってきます。

納期が早いというのは、お客様にとっては非常にありがたい。

「欲しいものが、欲しい時に、欲しい分量確実に手に入る」なら、長々待たされてしまう会社ではなく絶対にこちらを選ぶはずです。

つまり将来の受注を約束する、お客様からの「信頼」を勝ち得ることができるわけです。これもJIT(ジャスト イン タイム)の考え方ですね

二つ目のお客様からの入金ですが、これはいわゆる運転資本(Working capital)に直結していきます。

考えてみてください。製品を作るためのリードタイムが長ければ長いほど、購入した部品がお金にならずにずーっと工場で「寝ている」ことになります。

それだけでなく、製造完了に懸かる様々なコスト、人件費や工場維持のためのお金がどんどん消費されてしまうわけです。

我々は生きているだけでお金がかかる。工場だって同じです。

生産リードタイムの短縮は、素材を買ってからお客様にお届けする時間を短くし、さらには早くなった納品による、早期の入金を実現します。

キャッシュがあればビジネスは成り立ちます。黒字倒産などといって、必要な資金が不足して経営が立ち行かなくなることもありますから、なるべく早くキャッシュが入ってくるというのがいかに貴重なことか、お分かりいただけると思います。

検査・運搬・停滞へのカイゼン着眼

では次に付加価値を生まない3つの活動への、カイゼンの着眼点です。

検査

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検査は、付加価値をつけません。なくせるならばなくす方向で常に考えていきます。

ただお客様からの要求で、検査工程を設けている場合もあるでしょう。そういう場合も「だから絶対に無理」と考えるのではなく、

  • その検査が必要かの、科学的妥当性
  • 頻度・回数・時間的長さ等に削減・短縮の余地はないか

を調べてみなくてはいけません。

また工程能力の実績を積むことで、お客様と交渉できる部分もあります。

やみくもに受け入れるかなくすかではなく、カイゼンの余地がないかを探っていくと良いでしょう。

ちなみに、トヨタでは抜き取り検査を信用しません。抜き取りはどこまで行っても抜き取りでしかないからですね。

なのでどうやってお金をかけずに全数検査をするか、100%良品にするかという思想の元、カイゼンが行われています。それが「ポカヨケ」の設置につながっていきます。

運搬

運搬はレイアウトからです。

一度設置してしまった機械設備等を動かすことは簡単ではないですが、出来る限りやらねばなりません。

工程がつながるよう「間締め」をしていきましょう。

大事なことは流れを作ることです。

運搬が発生しているところ、ものの流れを阻害している場所はどこですか?

物理的な配置だけでなく、ロット生産であることも見直していきましょう。大きなロットで作っている工程では、かならず運搬が発生しています。

次に述べる停滞(貯蔵)にもつながっていきますが、不必要に倉庫を設けていったんそこへ入れてから、また運び出すなどということも発生しているかもしれません。

制約はあるにせよ、出来る限り行ったレイアウトカイゼンの経験は、次回新しいラインを作る時に必ず役に立ちます。

その際は必ず「流れ」を確認しながら、進めていくことです。

停滞(貯蔵)

停滞(貯蔵)が生まれる理由はとてもシンプルです。

まずは、「今必要でないものを、不必要なタイミングで、必要とされていない量」購入したり、作ったりしている点。

逆JITを行っているのですね。JIC (Just in case:念のため)というやつです。

停滞(貯蔵)していることの原因は、多く発注し多く作れば、それだけ単価が安くなるという間違った考え方があるからです。

確かに一回に大量に買えば、一個当たりの単価を安くしてくれる売り方の商売は多いですね。

しかしながらここには、貯蔵することへのコスト(人件費、場所代や光熱費)や、期限切れ廃棄になってしまうムダなどという観点がないのです。

あるいは、先ほども述べましたが、素材を買い、加工・完成させてお客様からお金をいただくまでにどれくらい時間が必要かの視点もありません。

典型的な部分最適の例です。

Leanの根本思想は、「最高の品質を、最小のコストと、最短のリードタイムで作る」です。これを実現するのがJIT。

「欲しいものが、欲しい時に、欲しい分」だけお客様に届くようにするにはどうすればいいのか。

カイゼンの世界では、「後工程もお客様」でした。

後工程にJITでものを供給するというのは、自工程の都合でものを作らないということです。

そのためにロットを最小化し、後工程引き取り、ないしはコンベヤ生産で流れ化する。離れざるを得ない工程も、かんばんなどの仕組みで、「あたかも流れている」かのようにしていく。後工程から欲しいと言われるまでは作らない。全ての部品供給も、停滞を産まないように工程にお届けされていく。

そのために日当たり、時間当たりの生産計画が決定され、その工程、そのシフトで要する部品数も把握されていることが必要になります(平準化)。

こうした一個流しや流れ生産も、以前お話ししました。ロット生産よりも、一個流しに近ければ近いほど、全体に懸かるリードタイムは短くなる。これは様々な研究が証明済みです。

また品質問題(手直し、スクラップ、再検査等)も当然、流れを悪くしています。よくこれらを「工程」に組み入れて話をしているケースを見かけますが、こうした手直しは「工程」ではありません。ましてここをカイゼンしても、根本的な意味はない。なぜ手直しが発生しているのか、解決すべきはそちらですよね。

貯蔵(停滞)は、単純にこうした「流れ」がない状態です。

阻害に関わる、全ての要素を排除・カイゼンしていきましょう。一朝一夕にはいかないかもしれませんが、流れを作り、流してみて、止まったところを一個ずつ解決していく。

そうすれば、いずれはあなたの工場独自のLean生産方式が生まれてくるはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

「付加価値とカイゼン着眼点」と題しまして、製造工程における活動と、付加価値のつかない活動のカイゼン点を確認してみました。

結局のところ、いかに工程に「流れ」を作るかが問われていきます。様々な工夫が生まれてくることでしょう。

そしてその流れを阻害するものを見つけては解決していく、この作業の繰り返しがカイゼン(継続的カイゼン)であることが分かりました。

ある医療機器の会社さんで、CTスキャンのガントリー組立に、以前は5日かかっていたのが、こうした流れ化とカイゼンを行うことで、最終的に5時間まで短縮させたというケースがあります。

最初はいわゆるムービングラインが、いつも何かしらの問題で止まり流れない。そのたびにあんどんが点灯し工場長以下マネジメントが駆け付け、原因の解決に当たりました。その結果が5時間です。

愚直にカイゼンを積み重ねた末の成果ですね。

まずはものづくりの4つの工程を洗い出し、付加価値のつかないものを排除してください。

そして流れを阻害するものを少しずつ解決していきましょう。

創意と工夫です。

今日も読んでいただきましてありがとうございました。

ではまた!

とても分かりやすくて良い本です。

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