ご質問いただきました!: 海外に出てからわかる「日本人の強み」

Unsplash, JJ Ying
みなさんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CI です。
さて今回は、久しぶりにご質問をいただきました。アメリカ在住、アメリカの企業で働いていらっしゃるTKさんからのメールです。
「最近、会社でGRIT(Guts, Resilience, Initiative, Tenacity)という言葉をよく耳にするようになってきた気がします(以前からあり私が知らなかっただけかもしれません)。個人的には日本人が得意なことが詰まっていると思うのですが、GRITのように、海外に出てからわかった(日本では注目されなかった、もしくはやって当たり前だった)、日本人の強み!を感じられたことはありますか」
というご質問です。
まずはメールを読んでいただき、またこのようにご質問を送ってくださいまして、ありがとうございます。
こちらにお答えしていきたいと思いますが、あくまで私見と言いますか、私の感じていることがメインになって参りますので、そこはご了承いただけたらと思います。
私不勉強で、実はこちらの「GRIT」という言葉、初めて目にいたしました(笑)
「Guts, Resilience, Initiative, Tenacity」の頭文字を取ったものということで、直訳すると、「根性、回復力、主体性、粘り強さ」といった感じでしょうか。確かにTKさんのおっしゃられるように、根性とか粘り強さは日本人の特性かもしれませんね。
私がサウジで働いていたとき、我々が当たり前と思うレベルの仕事ができない他のナショナリティに関して、「なぜ仕事が出来ないのか」が、日本人の間でずいぶん議論の的になりました。
思えば当時、指示してもやってもらえないことに、多くの日本人の方がフラストレーションを抱えていたのでしょう。
最終的な結論は、「我々日本人のほうがおかしい」でした。
すごく誤解を生みそうなんで、ちょっとじっくり説明していきましょう。
いいか悪いかを別にして、我々日本人は物事を真摯に、きっちりやり切る癖というものが、精神のかなり深いところに染み込んでいます。
遺伝子というと大げさかもしれませんが。
これまで色々な国の方とお仕事をさせていただきましたが、一般的に言って、この「当たり前のこと・求められていることを、求められているレベルか、あるいはそれよりも高いレベルでやりきる力」というのは、我々日本人特有の強みだと感じることが多かったです。
これは私が海外で働くようになって、初めて理解できたというか、国内で働いているときは全く気がつかなかったことでした。
こういうことは、いわゆる「おもてなし」という、日本の高いサービスレベルを表す言葉にも見て取れると思います。TKさんも海外にいらっしゃるのでおわかりいただけるのではないかと思うのですが、海外のサービスレベルってひどいですからね(笑) もちろん全部じゃないですけども。
日本人は探してでも仕事をします。海外の方は、基本言われたことしかしません。あるいはJob Descriptionに書かれた、契約上縛りのあるものだけです。
もちろんいいことばかりではなくて、そこまでするその精神が、あの悪名高い「お客様は神様です」という腐った考え方を、あるいはサービス残業のような過度な滅私奉公を作り出してるという点も否めないですよね。
これらは同じベクトルに存在していると思うのです。
ちょっと話は変わって、改善活動に欠かせない標準作業(書)。
最近あるセミナートレーニングで、コンサルの方とお話しする機会がありました。海外で何度も工場の立ち上げなどをやってこられた、大ベテランの方です。
曰く、「日本人の書く標準作業書は、世界的に見て一番粗い。例えばメキシコで同じ作業の書き物を書くとしたら、五倍ぐらいの分量になる。」とおっしゃってました。
続けて、「日本人はね、優秀なんです。だからやるべきことの指示を、事細かに書く必要がない。ところが海外にいくと、作業者さんのレベルが低く、そんなの常識的に考えればわかるだろう、みたいなことも書いておかないと、適当に我流でやっちゃう。で、結果当然品質がでないんですよ」。とのことでした。
これはもちろん、ハイコンテキスト・ローコンテキストの言語の違いという測面も関与してると思いますが、ある種日本人の仕事の質の高さを物語ってる例ですよね。
最近の日本の方、特に若者の間で、草食系といいますか、あまりガッツのない人も増えたと聞きます。そういう気持ちも分からなくもないです。
ある程度のモノが揃った環境で生まれ育つと、それ以上物質的に何を求めていいのかわからなくなるというのは、私もある時期経験しました。
私も人生に何を求めていいのかわからず、必然的に何に向かって努力をしていけばいいのかわからないという漂流気分を随分味わいました。
こういう、ある意味贅沢な悩みは、海外で働く他のナショナリティの方は絶対持ってない。彼らにとって、働いてお金を得るということに、なんの曇りもないわけです。いわゆるハングリー精神ですね。
職を失うことが、ほぼほぼイコール生きていけないことを意味する彼らの中には、本当に努力家の人もいました。
私は幸運にも、一時そういう人たちに囲まれ、多大な影響を受けました。感化され自分を高めることの重要性に気付かされました。
現在外資系勤務、何かしら努力していることを見せないと、いつお役御免になるかわからない環境ということもあり、そういう自己研鑽を絶えず続けています。今では、それを楽しむところまで来ています。ラッキーだったなぁ。
もう今では、努力してない状況というのが想像できないですね。泳がないと死ぬマグロみたいになってます(笑)


Unsplash, James Thornton
「GRIT」に話を戻しましょう。
自分から海外に行って働こうと思うような人であれば、やはりこのガッツやレジリエンスは言うまでもなく持っていると思います。主体性や粘り強さも。
これはまさに、TKさんのご質問にあった、海外に出てからわかった、日本人の強みであると思います。
そういう意味で、日本人は世界に出ていって働いても、十分通用する。
先ほどの「お客様は神様」という概念を持った、おそらく世界で最も厳しいカスタマーに、良くも悪くも鍛えられている日本人は、その仕事のアウトプットの質に、素晴らしいアドバンテージを持っているんです。
だから私は、日本人にはもっと海外に出ていって欲しいんですよね。
特に今、国内で安い賃金で喘いでいるよう人たちには、一旦日本の外へ出て、経験を積んでステップアップしていって欲しい。
もちろん簡単ではないかもしれません。でもトライする価値はある。上手くやれれば人生大きく変えることも可能なはずです。
言語の壁だって、乗り越えられます。私が英語を本格的に始めたのは37歳になってからでしたからね。
ただ当然、他のナショナリティに勝てない部分があることにも気づかされます。
例えばエンターテイメント性とか、ぐいぐい自己主張する面の皮の厚さとか、自己肯定というか自信のような部分。
これらはなかなか日本人には持てない感覚かなと思ってます。
あとはマーケティングやブランディングに関する感性。
改善やQCが、リーンやシックスシグマに名前やスタイルを変え世界に広がっていったのは、ひとえにそうした売り出し方や、セールスピッチのなせる技だったと思います。
こういうの、もったいないところがありますよね。
なので私は、自分の持つ強みを活かしつつ、ただ実力だけで勝負するのではないやり方を模索している毎日です。
実力と、他者が自分に対して抱くイメージ、双方を上手く活かせれば、外資の荒波もなんとか超えて行けるかなと。
最後に、日本人の強みとして、このリーダーシップのあり方もお伝えしておきたい。世界で通用する考え方だと思います。
ちょっと取り留めもない感じになってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?
短所克服より、長所伸展のほうが効果的です。TKさんも、ぜひ日本人の強み、自分の強みを大事にして、世界でご活躍ください。
改めまして、ご質問と、またブログを読んでいただいていることに感謝いたします。何かしら得るものがあってくれたらいいなと思いながら、毎回記事を書いております。ですのでこうした反応はたいへん励みになります。ありがとうございます。
ちなみに私自身は実は打たれ弱く、回復に時間がかかる人だったりします(笑)。そう思ってるだけじゃないの? と言われたりすることもあるんですが、本人的には。
それでも意外と何とかやっていけるもんですよね。
皆さんも、何か質問がございましたら、ぜひぜひこちらの質問フォームからお問い合わせください。このようにブログ記事としてご返信させていただきます。
今日も読んでいただきましてありがとうございました。
ではまた!
こちらサウジ時代のエピソード満載です。