大きな問題は小さくしてから! 系統図法(新QC7つ道具)

皆さんこんにちは。今日もどこかでカイゼンサポート、Kusunoko-CIです。

さて本日は系統図法のご紹介です。こちら英語では、「System Drawing Method」と呼ばれております。

抱える問題が大きすぎたり、曖昧でどこから手を付けていいのかわからないようなとき、それを具体的にかつ行動可能な要素にまで落とし込んでくれるのがこの系統図法。

TBP(トヨタ・ビズネス・プラクティス:トヨタの問題解決手法)でも、大きすぎる問題・課題は現実的に対応可能なレベルにまで分解していきます(ステップ2)。

派手さはないですが、かなり効果的な問題・課題への思考の枠組みです。

抱える課題・問題を論理的にすっきりと分割して手段にしてくれるところなど、使っていると時々感動すら覚えてしまいます。

改善活動やProjectだけでなく、実生活にも威力がありますので、ぜひマスターして、公私ともに活用していきましょう。

とても簡単だし、おすすめですよ!

系統図法とは

問題・課題解決というのは、いつも「差(Gap)」から始まります。

例えば、商売をされていて売り上げを上げたいのであれば、現状と望んでいる状態との間に「差」があることになりますよね。

品質問題であれば、不良をなくしたいと思ったとき、今ある不良率と目指すべき数字の間にも「差」が生まれてきます。

以前もお話ししましたが、この「差(Gap)」に対してカイゼンしていこうというのが、トヨタの基本的な問題解決の姿勢になります(Gap approach)。

Gap approach

言い方を変えれば、こうした差がある、あるいはその差に気が付けるからこそ、もっと良くしていくための「カイゼンの種」が生まれてくるわけですね。

なのでトヨタでは、問題というのは「金の卵」(貴重な機会)であるととらえて、積極的に発掘していこうとします。

一般的な会社であれば、ともすれば「問題はなるべく隠してしまおう」などと考えてしまいますが、それではいつまでたっても現状は良くなりません。むしろ隠された分だけ問題というのは大きく育ってしまいますからね。

本当に隠し切れなくなった時に、取り返しがつかなくなるというのはよくある話です。

さてこの「差」=問題というものを、解決すべき「目的」と置き換えれば、そのための「手段」を考え、具体的な行動に変えていくのが問題解決、あるいは改善活動ということができますね。

このように問題を、「目的」(解決すべき課題)と、そのための「手段」関係に系統立てて考える思考の枠組みがこの「系統図法」になります。

そのような意味において、系統図法というのは問題・課題解決の考え方をきれいに体現している思考方法と言えると思います。ですので、私は個人的にこの手法が、かなりお気に入り(笑)。

目的(課題・問題)とその解決「手段」を図に表わすことによって、最適な方策を見出していく。いわゆる思考の「抜け漏れ」をなくすためのもの。

以前もご紹介したMECE(ミーシー:Mutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの考え方ですね。訳すと「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」という意味になりますが、要するに「漏れなく・ダブりなく」と意味。

集合(ベン図)。AとBは同時に怒らない。「互いに排反(Mutually Exclusive)」

ちなみにこの「Mutually Exclusive」は、特に新しいものではなくて、皆さんが中学校で習った数学の「集合」で使われている考え方です。

これもフレームワークを重ね合わせて生み出された、と言えなくもないですね。

系統図法はいつ使うのか?

系統図法の基本コンセプトが分かったところで、この系統図法、具体的にいつ使うのか考えてみましょう。

冒頭でも、TBP(トヨタ・ビジネス・プラクティス)のステップ2のお話をしました。「問題を洗い出す(Break down the problem)という段階のこのステップ2では、必ず大きな問題を分解し、現実的に対応可能なピースにすることが求められています。

また問題・課題解決の場合、どういうステップを進むにせよ途中で、「原因・真因」を探るという過程を経るはずです。

ですので、またTBPの手法で言えば、ステップ4「真因を見つける」と、ステップ5の「改善策を考える」のあたりで、よく使われることになります。

もっと広範囲に対象を広げると、

  • おおきな(ざっくりした)問題に対処するとき、目的を達成するための合理的な手順を考えだすとき
  • 解決策そのもの、またはそこから派生するProject実行のためのアクションを考えだすとき
  • プロセスを詳細に分析したいとき
  • 問題の真因を調査し、改善施策を導き出したいとき
  • 親和図 または連関図で、問題の焦点が見えてきた後
  • コミュニケーションツールとして、他の人に詳細を説明したいとき

などが使用場面として挙げられます。

特に最後のコミュニケーションツールというのは、チームで取り組んでいるときなど必ずついて回りますね。

今なぜこの方向なのか、ということが全員で「見える化」できていること。これがProjectの遂行において、極めて重要な要素であるのは、説明の必要もないはずです。

系統図法の作り方

Photo by Patrick Perkins on Unsplash

まずは取り組むチームの皆さんを集めます。

ブレインストーミングです。

チームなら、一人では気付かなかった良いアイデアを得られる可能性が、ぐんと高まります。

皆さんで、最初に達成すべき「目的(問題・課題」を明確にしましょう。今回は何について掘り下げていくのですか?

またここで、制約条件がある場合は、最初に確認しておきます。つまり、「予算○○まで」とか縛りのある事柄をクリアにしておくのです。こうすることで、制約条件ではねられてしまうアイデアの混入を、初めから避けることができます。

今回もまたピザで、「売上を上げたい」ということを目的(課題)とした例を作ってみました。

「売り上げを上げたい」という課題

以下手順です。

  1. まずは目標や計画、問題など取り扱う今回のテーマを書きいれます。例のように水平に展開していくなら、左端に書き込みます。
  2. 1を達成するために、具体的にどんな行動が考えられますか? より詳細なレベルへの、的を絞った質問をします(1次の段階)。このピザの例で言えば、売り上げを上げるという目的のために、
  • 味の向上でお客様をもっと呼びこむ
  • 認知度を上げてお客様に知ってもらう
  • 客単価を上げることで、売り上げを上げる

といった手段を考えてみました。

  1. 手段として考えられるすべての答えをブレインストーミングします。以前に親和性図または 連関図を実施したことのであれば、そこからアイデアを取り入れることもできるでしょう。
  2. 2の段階(1次)で上げた、3つの手段が、今度は新しい主題(目的)になります。それぞれについて、対象を絞った質問をもう一度行い、次のレベルの手段を明らかにします(2次の段階)。

例えば「味を向上させる」という目的のために今、

  • いい食材を使う
  • 魅力的な新規メニューを追加する
  • 最適な焼き方を発見する

という手段を考えました。これをすべての項目に対して行っていきます。

  1. 引き続き、それぞれの出てきた手段をまた目的に置き換え、これ以上は分割できないレベルに達するまで同じ作業を繰り返していきます(3次~)。

続けていくと、「売り上げを上げたい」という当初の目的(課題)が、かなり具体的で、かつ実行可能なレベルのアクションにまで落とし込まれていくのがわかると思います。

例を見てください。上位の目的を達成するための手段が、下位へ行くほど順次具体化していますね。

これはまた、方針管理でいうところのBreak downとも同じ考え方であることに気がつきましたか? いわゆる「The lower, the more specific action plan」(下へ行くほどより詳細なアクションプランになる)というやつですね。

ちなみに最初にあまり具体的な内容を出すと、手段の展開幅が狭いものになってしまいます。少しずつ具体化するようにしてみるといいですよ。

系統図法いろいろ

この系統図、大きくて捉えどころのないような課題・問題も、論理的・段階的に細かく手段を考えていくことで、具体的な手段(アクション)の発見につなげられる優れものです。

言ってしまえば我々の抱えている問題は、こうした作業の末に、小さく分類分けすることで意外と実現可能なアクションにまで落とし込めて行けるものなのです。

他にも、例えば組織の在り方を考えるとき、事業を遂行する上でどういう機能が必要なのか、つまりどういう下部組織(部署)があれば業務を遂行できるのか、などということを考えるときにも、この系統図法はかなり有効です。

こうしたやり方を特に「構成要素展開型系統図」と言います。構成要素を整理し、それらの相互の関連や要素の抜け漏れを視覚化してチェックするのに役立つ使い方。

会社の組織図って、そのまま系統図法なんですよ。

ちなみに先ほどのピザの場合のような、問題・課題解決への方策を考え出す方法を、「方策展開型系統図」と呼んで区別したりますね。

ちなみに、トヨタ発といわれている「なぜなぜ5回」の真因追及の方法も、基本的には同じ考え方の上に成り立っています。

まず最初に問題をおいて、なぜそれが起きたのか、理由を考え下にどんどん「なぜなぜ」と展開していく。

もちろん、一つの問題にいくつかに異なった理由がある場合もあるでしょうから、必然的に下へ行くほど、先ほどのピザの例のように、どんどん根が広がっていく形になってくわけでですね。

樹状に広がっていくことから、英語では別名「Tree diagram」と呼ばれたりもしています。

一説にはこの系統図法、そのトヨタの「なぜなぜ」手法から生まれた、言われていたりもしますが、ちょっと真偽のほどは分かりかねますが。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は新QC7つ道具から、系統図法ご紹介でした。

問題・課題を目的として捉え、それを達成するための手段を論理的に展開していく方法。

仕事だけではなく、生活に関わる問題などにも適用出来て、適用範囲が広いので個人的にかなり好みの手法です。

抱えている悩みなど、あいまいでどこから手を付けていいのかわからない、と感じるようなことがあったら、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

不安なまま、「困ったなー」と頭を抱えて悶々としているよりも、ずっと建設的な案が生まれてくるはずですよ。

もちろんすべての悩みを解決できるわけではありませんが、どんどん具体的かつ小さな手段(アクション)に落とし込んでいくことで、とにかくまずは行動に移すことができる。

小さなことでも行動に移せれば、それだけで悩みというのは、かなり解決に近づいていくものです。「象を食べるにも、まずはスプーン一杯分から」。

できることからはじめよう」の精神にも合致して、かなり心も軽くなるはず。

人生の秘訣は、ムダに悩むより、こうした実効力のある具体的な行動をとることですよ。

みなさんの仕事、生活両面の課題・問題解決にぜひご活用ください。

今日も読んでいたきましてありがとうございました。

ではまた!

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