息子へ、パパから伝えておきたいこと その8
To my son, things that Papa wants to tell you, Vol. 8
やぁ元気かい?
前回の手紙からずいぶん時間がたった。調べてみたら、「その7」を書いたのは1年以上も前だったよ。
なんだかパタパタと忙しかったようだね。今回は前回の続き、2018年末ころから、2021年の初めくらいまでの2年半くらいことについて書いているよ。君が3歳~5歳になった頃だね。
幼稚園~コロナ禍
パパの会社のトレーニングが終わって、とうとう今いる街に引っ越してきた。
3歳になった君に、幼稚園を探したんだけれど、たまたま近くの園で若干名の募集が残っていてね。君はとてもラッキーだったよ。
入園式の前日に転んで鼻をすりむいて、大泣きしたんだ。そのままの顔で入園式に出た写真や、写真館で取った記念写真も残っているから、君も覚えているかもしれないね。
ちなみにこの頃は、パパは出張でほとんど家に居なかった。君はまだ小さくてよくわからなかったかもしれないけど、ママは大変だったと思う。
サウジ暮らしで海外に住むという経験はあったにしろ、日本という国は初めて住むわけだし、日本語はわからないし、日本の社会の仕組みも何にもわからないしね。
2019年暮れから、君も覚えているかもしれないコロナという病気が広まって、世界中の人の暮らし方が変わった。
パパも全く出張に行かなくなったんだよね。
コロナはとても怖くて、迷惑な病気だけれども、パパが家にいて君と一緒に過ごせるようになったということを考えると、いい面もあったと言える。
2020年からこれを書いている2021年は、君の大事な時期を一緒に過ごせた貴重な期間になったよ。
運動・学び
幼稚園では友達もいっぱいできて、毎日楽しんでいるみたいだし、とてもいいことだね。入会したスポーツクラブも、運動大好きアクティブな君は、本当に毎回喜んで参加しているよ。
幼稚園の先生が君の事を、「外で遊ぶ時間には、初めから終わりまで、ずーっと走ってます。ずっーとです」と言っていたくらいだから、そうとう体を動かすのが好きなんだと思う。もちろん、元気がないよりはよっぽどいい。
時に水泳をやりたいと言ってみたり、サッカーになったり、武道になったり、いろんなことにチャレンジしたいみたいだね。コロナがもう少し落ち着いて、君も何かこれというものに絞れるようになったら、運動系の習い事も考えてみようね。
日本人と過ごす時間が増えて、だんだん家で英語を話す機会が減っていったのもこの頃。パパとママは「英語Day」を作って、なるべく君の英語が錆つかないように工夫したりしたもんだ。
君が大人になるころ、バイリンガルというものの貴重性がどこまで保たれているかわからないけど、まだ当面は有利に働くことと思う。
文字を学んだり、初歩の算数を始めたのもこの頃。
パパが家にいるようになって、こうしたことに時間と意識を割けるようになったのは、ありがたいことだった。
出張に行き過ぎて、2019年の7月は、3日しか家に居なかった(笑)。
そんな時一緒に仕事したマレーシア人から、「そんなんでどうやって価値観を伝えていくんだ?」と言われたのが心に残っている。「出張中、ネットがあるから会話はできても、本当に伝えるべきことは伝えられていないのでは?」と言われた言葉はずっと心に引っ掛かっていた。
コロナ禍はそんな折だったんだ。家族で過ごす時間をくれたよ。
そんなわけで、「今君にしてあげられることは何か」が、パパとママの最大のテーマになった。いや元からそうなんだけど、特に将来のための特に勉強に関して。
その前からひらがな・カタカナ・アルファベットはもうママがしっかり始めてくれていた。ママは日本語を君と一緒に学んだんだよ。ママは、自分がわからないながらも、一生懸命君に日本語の問題を教えてくれてたんだ。すごいとは思わないかい?
パパは、日本に住んでいるその価値を最大限有効に利用できるよう、いろいろと教材を探した。
まずパパお気に入りは100円均一で売ってる問題集。お値打ち品だよ。しかも違う100均に行くと違うものが売ってるからね。
君は今のところ、4冊くらいやってる。毎日少しずつ、100玉そろばん使ったり、ブロックを使ったりしてこつこつやったよね。
それからおじいちゃんおばあちゃんがテレビで拾ってきた情報、「九九の歌」。今も毎日聞いているね。覚えさせようとはしないで、流すだけ。半年たたずに全部歌えるようになった。5歳でこれなら十分だろう。
それからいわゆる「STEAM」教育用に、「ワンダーラボ」。これは以前他のエントリーでブログにも書いたね。いい教材だったんだけど、タブレットを使うのでちょっと集中力に悪影響ということが分かった。どうしてもYou tubeなどに気を取られてしまうんだ。あとはワンダーラボの副教材が、日本語のみのインストラクションで、なかなかママが一緒にやってあげられないという点。残念だけど、これは休止しました。またそのうちに再開するか考えようね。
そのワンダーラボと入れ替わりで始めたのが、「七田式」のプリント。「かず・ちえ・もじ」の3部構成で、10冊ずつのやつ。毎日1枚ずつやって10カ月かかる計算だけど、よく頑張っているよ。就学前には十分な基礎知識が付くんじゃないかな。終わったらシールを一枚貼っていくのもお気に入り。もちろん、いつもいつも機嫌よく机に向かっているわけではないけれど、毎日きちんとプリントをやる姿は感動ものだね。こうした習慣を、どうか大きくなっても忘れないでほしい。
もう少ししたら、プログラミング関係の何かをやらせてあげたい。考えてた教室は、コロナで当面なくなってしまったから、また何か探してみようと思う。
負けず嫌い
負けず嫌いだから、どんなことも負けるのがいやで、問題集も間違えると泣いたり怒ったり、最初の頃は大変だった。
覚えているだろうか。パパはよく「Problem is your friend」という話をしてあげたよね。
間違えるというのは決して悪いことではない。逆に間違えたり、わからなかったりするからこそ、次があるんだ。
これはパパがサウジのトヨタ時代に、パパのボスから学んだことだけど、覚えているかな? ワークショップで「間違い」に関する考え方を、根本から変えるアクティビティ。
目の前に大きなマス目の紙を用意して、あらかじめ「爆弾」を仕込んでおく。各チームは見えない爆弾をよけてゴールを目指さないといけないのだけれど、爆弾を踏んでしまったらまた振出しに戻る。
このゲームは、結局のところどのチームが早くゴールに着いたかではなく、間違いに気づいたことで、「そこを通らなくなっている」ことに気づけるかどうかが問われるゲームなんだったね。
パックマンの好きな君に、パックマンのモンスターを爆弾代わりにマス目に仕込んで、このコンセプトを理解してもらった。
このゲームの後から、「間違えたりわからないことは、必ずしも悪いことではない」ということに考えが及ぶようになったね。
すばらしい。
一生懸命やったなら間違えてもいい。ただそのトライしたことから何かを学んでいければ、それに勝る財産はないよ。
逆に間違えない人生ほど危険なものはない。進んでいった先の「爆弾」は、先送りにした分だけ大きく育っている。再起できなくなるかもしれないほどにね、パパみたいに。
若いうちにはトライして、失敗しておくといいよ。
もうすぐ6歳、少し将来の事
5歳の誕生日は、タイに行ったんだったね。本当にうれしそうで、このブログを書いている今でも「楽しかった」と言っては涙目になっていた(笑)。
またこのコロナが収まったら、家族でいろんなところへ行ってみよう。
そして今年で6歳、早いもので、幼稚園もこの1年で最後。
来年からは小学生だ。
パパがいつも思うのは、君が大人になるころには、今の常識では考えられないような変化が社会に起こっているだろうなということ。
無くなっている職業も多いだろうし、また新たに生まれた仕事もいっぱいあるだろうと思う。
「こういう職業に就きなさい」とか言うことは、パパには言えない。なにせどう変わっているか想像もできないからね。
ただ一つだけ言えることは、「学びが君の人生を創る」ということ。
サウジに行って学んだ最も大きなことの一つは、みな努力をしているということだった。きちんとした人はみな、若い頃からこの「学び」の重要性をしっかり理解していた。
学校を出たら終わりではなく、そのあともいろんなことに挑戦しては、自分を成長させることに時間を使っていた。
日本以外の多くの国の人にとっては、「学がない」ということはそのまま社会的地位や機会がないということを意味する。特に海外で働くとなるとなおさらだ。
それはそのまま「生きていけない」ということにつながっていくからね。
誰も甘えたことなんて言ってなかった。生きるために必死に学び続けていた。
だから学ぶという大きな習慣を、今からDNAに刻み込んでほしい。
何かを学び、それを実際の仕事や生活に活かしていくことで、知識が本当の知恵になっていく。そうやって世界を見る「解像度」を上げていくことを続けていってほしい。
「解像度」が上がれば、仕組みがわかるようになる。仕組みがわかればうまく調和し、共に機能することが可能になる。
あるいは、自分で新たな仕組みを作ることもできるようになるだろう。
算数はおろそかにせず、やっておきなさい。すべての基礎になるからね。
君がコロナなんかにかからず、健康に過ごせますように。今のところは大きな病気もなく、本当にありがたいことだ。
今現在、乳歯は二本無くなったよ。一本は自然に、もう一本は最近、初めて歯医者さんで抜いてもらったね。こうやってだんだん大きいお兄ちゃんになっていくんだなーと、うれしくもありさみしくもある、パパママそんな風に毎日君と過ごしているよ。