息子へ、パパから伝えておきたいこと その3
To my son, things that Papa wants to tell you, Vol.3
1歳の思い出
最近はどんなことに興味をもって過ごしているのかな? 1歳になったばかりの君は、ディズニージュニアが大好きだったね。ほとんど毎日テレビでディズニージュニアの番組ばかり見てた。Lion Guardとか、Miles from tomorrow とか、Mickey mouse club houseとか。何するんでもミッキーミッキーだったね。だからパパもママも何か買ってあげるときは、Mickeyの絵のついたものとかそういうキャラものを買ってあげてたんだ。覚えているかい?
香港旅行(1歳誕生プレゼント)
そんなわけで、1歳の誕生プレゼントとして、香港のDisney Landへみんなで行ったんだ。楽しかったね。
巷ではよく「結婚したときと子供が生まれたときは生命保険の見直し時期」って言われてるから、パパはその時新しく生命保険に入りなおしたんだよ。今はよくわからないけど、当時は日本在住じゃないと日本で入れる保険がなかった。しかも、日本の保険の返戻率は異常に低い。そもそもいろんなもの(特約というね)で釣って、掛け金が全額戻らないものがほとんどなんだよ。
そんなわけで、海外にいても入れて、かつ戻ってくるお金の多いものを探したんだ。そしたらSunlifeというカナダの会社の生命保険はとてもいいことがわかって、パパとママはそれにすることに決めたんだよ。ただし、「生命保険会社に自分たちの姿を見せる」というのが加入の絶対条件だったから、そんなこともあって香港行きを決めた。ついでに香港の銀行口座も開きたかったし。いろいろ家族のためできるお金のことは、その都度考えておくようにしたらいいよ。ちなみに今香港の様子ってどうだい? 2019年、香港はとても大変な状況にあったよ。
行きの飛行機は結構揺れた。赤ちゃんだった君はバシネット(bassinet)という赤ちゃん専用のベッドに寝ながら行くことになった。でも、揺れると危ないからあんまり使えないんだ。CAさんがすぐ取り外しちゃう。何度も君は起こされて、そして全然眠れなくなっちゃった。パパも結局眠気を逃してずっと起きてた。8時間くらいだったかな? 香港に着いたら朝早すぎて、ホテルはチェックインできなくて。パパママ疲れ切ってたから、時間で貸してくれるユースホテルみたいなところを見つけて3時間くらい休んだんだ。その時もフィリピン人の受付の人がずいぶん良くしてくれた。世界中にいるフィリピン人ネットワークって、ほんとにありがたいと思ったよ。君も困っている人がいたら、助ける心の余裕のある人になってほしい。
で、ようやく午後チェックイン出来たら、得意の片頭痛に襲われて、パパはその日(土曜日)一日ベッドで過ごした。君は、ママが持ってきてくれたいっぱいのおもちゃで元気よく遊んでいたね。
香港Disney Land
どうだろう、うっすらとでもDisney Landのこと覚えてる? 君は結構喜んでMickeyの列車に乗ったり、Toy storyのテーマパークできゃっきゃしてたけど。香港のDisney Landは東京のに比べて少しこじんまりしてるから、みんなで1日で回るにはちょうどいい感じだったね。
最後のパレードの時の写真、今手元にあるかな? 君は初めて見るエレクトリカルパレードにずいぶん釘付けになっていたよ。もうなんていうか、「なんなんこれ!?」みたいなリアクションがとても面白かったしかわいかった。パパ、君がマックイーンを見ているときの写真撮ったけど、君の眼が、いかにパレードに驚いていたかをすごくよく語っていると思うんだ。ちょっと君の脳の中で、何かものすごい化学反応でも起きてるんじゃないかと思って心配になるくらいだったよ。
そして圧巻だった最後の花火では、君はもう疲れ切っていてぐずり始めていた。まぁ長い一日だったしね。そのあとまたUberがつかまらなくて大変だった。広すぎてどこに車が来るのかわからない。どっぷり日も暮れて、赤ちゃん連れで。ママ頑張ってたよ。
パパからの教訓は旅行に行ったら万一のため、その国で使えるWi-Fi用のSimは買っておいた方がいいということ。ケチらずに。これを君が読んでる時代、世界のネット環境はどうなっているのか想像もつかないけど。
とにかく、パパもママも、おそらく君もすごく楽しんだDisney Landだった。
誕生日とパーティ
おかげさまで、大きな病気もせず(ちなみにこれを書いてる2019年の12月の段階でも君はほとんど大きな病気やけがはしていないんだ、本当にありがたいよね)、君は1歳になった。
誕生日には、きちんと「一升のお餅を担いで転ぶまで歩かせる」っていうのもやったんだ。もちろんJeddahにお餅はないから、一升のもち米を君の好きだったMickeyのリュックサックにいれて、君に担いでもらったよ。案の定というか期待を裏切らずというか、君はよちよち歩いてこけて泣いていた。迷信といってしまえばそれまでなんだけど、これには、
「一升には「一生」の意味が掛かっていて、おめでたいお餅と合わせることで、「一生食べ物に困らないように」「一生、健康でありますように」といった願いが込められています。また、一升餅の丸く平たい形には「一生、円満に過ごせるように」という意味合いもあるようです。
という言われがあって、そういうこともできる限りしてあげたいと思うのが親なんだ。君が生まれてからは、神仏に君の健康や無病息災を祈ることも多くなったしね。親心ってのはこんなもんだ。いずれ君にもわかる日が来る。
1歳の誕生PartyはJeddahのJolibeeでやった。なかなか日本では、こんなふうに大掛かりに誕生日を祝ってくれるお店のサービスっていうのはないから(あるのかもしれないけど、きっとうんと高いんじゃないかな)、うれしかったし楽しかった。君のGod parentsも皆着てくれて、お友達もいっぱい。プレゼントもいっぱい。みなさん本当にありがとうございました。この場を借りて改めてお礼申し上げます。
君が着ていたMickeyの着ぐるみは、Papa AlexとMama Edithがアメリカから取り寄せてプレゼントしてくれたんだ。よく似合ったてよ!
この時の様子と、ママの発案でやった写真撮影の様子は今もYou tubeにあるから、いつでも見られる。よかったね、本当にいい思い出になるよね。Jasonさんありがとう!
あとこの誕生日でもう一つ伝えておきたいことがある。それはパパやママのお友達だったDindoさんがその翌年急になくなったことだ。彼は結構高価なプレゼント(あの君の好きだった大きなブロックのおもちゃだよ)をくれた。日本にも持って帰ってきたよね。彼にも君より3歳くらい大きな息子さんがいたんだけれど、おそらく君と息子さんを重ね合わせていたんだろう。君の話題になるたびに、「息子さんかわいいね」と言ってくれていた。いろいろ困ったことがあったらしいけれど、パパたちには全く相談してくれなかった。そしてあまりにも急だった。だから、人生というのは何があるかわからない。お礼を言わなくてはならない人がいたら、必ずすぐ言うこと。そして謝らなければならないことがあれば必ずためらわず謝ろう。次というのはないかもしれない。
ちなみにフィリピンでは、1歳の誕生日を結構大々的に祝うんだよ。それは昔から1歳まで健康で生きられたら、それは本当にすごくラッキーで大きなもののご加護があったから、と考えるからなんだ。もう少ししたらわかるかもしれないけど、出産(子供が生まれること)だってとても危険なことで、世のお母さん方というのは10カ月余りもきつい期間を乗り越えて、そして本当におなかを痛めて、命を懸けて君たちを生んだんだよ。パパやママもそうやって君のおばぁちゃん・Lolaから生まれてきたんだ。君も命がけだったしね。人はみんな、ものすごい奇跡の積み重ねの上に生まれてきて、そして本当にラッキーなことにこうやって人生を楽しんでいる。そうしたことは、あまりに普通過ぎて、実感としてすごさ加減がわからなくなる時があるかもしれないけど、時折思い出してみるといいよ。君も君に関わる人たちもみな、すごく価値ある存在だと感じられるようになるからね。
時間の感じ方について
今いくつになった? まだまだ時間はゆったり流れているかい? いろんな人が言う「年を取ると、時間の流れ方が早くなる」っていうあれね、本当なんだ。
パパも小さい頃、いろんな人に言われたけど、全然わからなかった。でも今すごく実感する。
例えば今この話題の君は1歳で、1年を過ごしているとき1年分の1年を過ごしたんだ(1/1)。つまり君の1年は全人生の1年だった。すべてが初めてで、分母と分子は1、つまり100%を示しているね。
そして2歳になったとき、君が過ごす1年は、2年という全体の中にある1年(1/2)、つまり50%を占めることになる。
こうやってどんどん計算していくと、今パパが50歳だとして、1/50、つまりパパが過ごす1年の感じ方は、全体の人生経験の中の2%ということになる。だんだん加速していく感じがわかるかな? 初めて見るテレビCMって長く感じるでしょ? パパあれと同じかなと思ってる。ところで今もテレビってあるの?
これもよくネットで見かける話だけどね、人生という「壺」には大事なものから先にいれないといけない。
壺があるって想像して、そこに大きな石と、小石と砂と水を入れていかなくてはいけないとして、正しい順番は大きいものから順に入れることなんだ。なぜかは、ここで答えは書かない。できれば同じようなものを用意して自分で実際に試してみてほしい。そして身をもって感じてほしい、何が起こるかを。
ここで言いたいことは、時間に関する君の感じるValue(1年1年の大切さ)も変わっていくし、それをどう使うかも君次第ということなんだけど、本当に大事なものが何なのかを自分の中で見極めていく努力をしてほしいということ。これを間違えると人生は結構ハードモードになっていってしまうし、リカバリには結構な時間と労力が必要になる。パパ経験済み。難しく言うと戦略的思考を持つということなんだけど、古典だから孫氏の兵法とかランチェスターとか読んでみることを、パパはお勧めします。
今日は少し長くなって、ちょっと話が難しくなったかもしれないけど、飽きずに読んでいてもらえたらすごくうれしい。君がどんな顔をして読んでいるのか、考えながらこれを書くのは本当に楽しい! 書くことでパパも記憶や思い出が整理されて、写真を見返してはいろんな感情に浸っている。できればいつもこうしたことを対話の中で伝えられていればいいんだけれど、伝えきれないこともあるだろうしね。なんかパパが言っていたことってこれかな、とか思い出しながら読んでくれたら、それもまたうれしいよ!