改善でブレインストーミングするならバリュー・マトリックス
Value matrix.
皆さん、こんにちは。今日も一日お疲れ様です。改善おじさん、Kusunoko-CIです。
改善活動や、Projectを立ち上げてみると、とにかくアイデアを出して出して出しまくる、ブレインストーミングをする機会があると思います。
ブレインストーミングは、とにかく既成概念を取り払い、できる限りの可能性を模索するための強力なツールです。いわゆる「Think out of box」というやつです。
どんなにバカげた案でもいいから、ブレスト時には批判・批評せず、数を追う。そうすることで、今まで見えなかった、思いもしなかったアイデアを「抜けなく・漏れなく」思いつくことができるというコンセプトですね。
ところで、出てきたアイデアですが、皆さんどう処理されていますか? とにかくいっぱい出す、ということで、出しては見たものの、「ここからどうするんだろう?」と途方に暮れたことないですか?
- どうやって優先順位をつけるのか。
- その時の理屈はどう説明するのか?
ちょっとどうしていいのかわからなくて、せっかく出たアイデアを有効活用できていない、そう感じることもあるのではと思います。あるいは、せっかくブレストをやったのに、やっただけで終わってしまった、そんな経験もあるのではないでしょうか。
そんなわけで今回は、意外と処理に困る、ブレインストーミングの後、出てきたアイデアをどう扱うの? というところに焦点を当ててみました。
「バリュー・マトリックス」というフレームワークのご紹介です。
Value matrix(バリュー・マトリックス)
Value matrix、あるいはValue graphという言い方もされる、改善アイデアの優先順位をつけるために最適なフレームワークです。
まずは下の絵を見てください。これがバリュー・マトリックスです。


バリュー・マトリックス
まずは全体的な、マトリックスの説明です
軸
こちら2つの軸で構成されています。縦軸が「必要な労力」、横軸が「得られる価値・効果です」
縦軸の「必要な労力」は下の方が小さい、つまり少ない労力=簡単にできるものを意味しています。反対に、上に行くほど大変になっていくことを示しています。
横軸の「価値・効果」は、その改善アイデアで得られる効果が、どのくらいかを示しています。左に行くほど小さな効果しか得られず、右に行くほど大きな効果が得られる=価値がある改善案ということになりますね。
4つの小部屋
そして今、この図を4つの領域に分けます。
だいたい真ん中くらいに線を十字に引いてみます。絵には破線で入れてみました。こうして4つの小部屋の完成。そして左下から反時計回りに、
- Quick hit(すぐやる)
- Gems(お宝)
- Strategic(戦略)
- Don’t do(やっちゃだめ!)
と名前を付けた、4つの長方形が見えると思います。
Value matrix(バリュー・マトリックス)の使い方
今皆さんは、すでにブレインストーミングで、山ほどアイデアを出された後だと思います。
いつもならここで、なんかめんどくさくなってしまうのではないでしょうか?(笑)
「アイデア出たはいいけど、これ誰がどうまとめるんだよ」とか「かえって、わけわからなくなった」とか。
こうしたことを避けるためにも、このバリュー・マトリックスが威力を発揮します。
今、特性要因図(Fishbone)やマインドマップで出されたアイデアたちが、手元にあるとしましょう。
あるいは壁に貼ってある。そのPost itなどで出されたアイデアを、ひとつひとつ、この上に示した4つの小部屋に貼っていきます。
ブレインストーミングをやった、そのチームのみんなで続けてやりましょう。
カードに書いてあることがちょっとわからなければ、それを書いた人に説明を求めながら、1枚1枚、分類分けしていきます。
- これは効果も少ないけど、すぐやれるから、ちゃちゃっとやってしまおう→①のQuick hit(すぐやる)だね。
- これいいね! 効果はでかいのに、やることも時間も労力も少ない→②の② Gems(お宝)行き。
- 結構いいアイデアだけど、長期戦。あるいは経営陣に上げて、予算も少しもらわないとできない。あるいは個々のチームだけではできないから、他部署と連携だ→③のStrategic(戦略)。
- インパクトが小さい割には、やることは多くて、いまいちだね。あるいは、費用対効果が良くない→④Don’t do(やっちゃだめ!)へ。
こんな感じで、それぞれの小部屋に分けていくのです


アイデアを分類わけ
すごく簡単にアイデアの評価ができて、とても便利ですよ。
もちろん①の「Quick hit(すぐやる)」は、すぐにアクションプランに入れて、やってしまいましょう。効果は小さいかもしれませんが、手間もかからないはず。数を打てば、実は効果もかなり出てきます。当たり前だけど。
そして②の「Gems(お宝)」。これが今回のブレストの最大の功績です。手間がかからない割に、インパクトがでかい! まさにお宝アイデアなので、改善活動の施策の軸になっていきます。
③の「Strategic(戦略)」にあるものは、とりあえず今回は手を付けないけれども、将来的にやることとして、マネージャーや経営層に報告しておきましょう。次回以降、大きなProjectになっていくかもしれません。価値は大きいですから。
④の「Don’t do(やっちゃだめ!)」は、ちょっとやっちゃダメなんで引き出しにしまっておきましょう。いい思い出になります。
こうして、難しく考える必要もないのに、きれいに優先順位がついて行きます。チームで話し合いながらなので、同意も得られているし、なにより評価基準が自己中心的でない。あとから、「それはお前が決めたんだから、俺は知らない」というのも避けられますしね。
いいことだらけのバリュー・マトリックス
この「バリュー・マトリックス」の最大の利点は、とにかく使いやすいところ。評価の過程もとってもわかりやすく、全てが貼り終わるころには、その場にいるチーム全員のコンセンサスも得られているという、なかなかの優れものです。
アイデアのまとめ方としては、いわゆるKJ法というものもありまして、これはこれでいいツールだとは思うのですが、どちらかというと、何かに対する調査に使われることが目的となっているように思います(マーケティングとか)。
あいまいなものから要素・要因を言語化・抽出し、それらのアイデアを紐づけする。そして俯瞰して、全体像を理解する感じでしょうか。
我らが改善活動の場合は、今はそうした全体像の把握が目的ではなく、とにかく「効く改善アクションが欲しい」の一点ですよね。そして、それらのアイデアを、どれから手を付けていこうか? という優先順位の明確化。
KJ法は、以前部署戦略の策定で使用したことがありますが、これをやり慣れたリーダーさんがいないと、なかなかいい形にまとまりません。正直難しいです。
その点、このバリュー・マトリックスは、ワイワイガヤガヤの雰囲気で、楽しんでやれるので、改善ワークショップやProject進行の時、とても役に立っています。
皆さんも良くご存知のFishbone(特性要因図)や、以前ご紹介した「マインドマップ」ともとても相性がいいので、ぜひ試してみてください。
改善やるうえで、この「楽しんで」というのは、とてもポイント高いですよ!
ちなみに、軸はいろいろ応用可能で、例えば、縦軸に「費用」と置いてしまえば、すぐに「費用対効果」のバリュー・マトリックスにも早変わりします。色々応用が利くというのは、シンプルでも強力なツールであることの証明ですね。
軸によっては、小部屋の名前付けも変化が必要かもしれませんが、感じなことは、「2軸で判断が可能」という点です。この軸は、皆さんの課題・問題にあう形でアレンジしてみてください。
まとめ
ということで今回は、バリュー・マトリックスというフレームワークのご紹介でした。
ブレスト後、みんなで出したアイデアを
- Quick hit(すぐやる)
- Gems(お宝)
- Strategic(戦略)
- Don’t do(やっちゃだめ!)
に分類分けしていくんでしたね。
Kusunoko-CIのやる改善ワークショップでは、いつもお世話になっているフレームワークです。ぜひ一度使ってみてください。簡単で、すぐにその効果が実感できると思いますよ!
皆さんが、改善活動を「楽しく」続けていけますように。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!