改善とは トヨタでの考え方 その1 What is Kaizen in Toyota Vol. 1

“改善 Vs. カイゼン”

カイゼン活動と聞いて、みなさまは何を思い浮かべるでしょうか? ある方は品質に関すること(TQMやQCサークル活動)、またある方はトヨタウェイやトヨタ生産方式そのものを、またある方はより具体的に生産管理板やポカヨケなどの機能的なことを思い浮かべるかもしれません。 ここで、このブログの中で述べられているカイゼン活動について定義してみましょう。

「改善とは、物事をよくするために既存の状態に変化を加えていくこと」です。そのためにとる一連の行動、それがいわゆる改善と呼ばれる活動になります。

トヨタでは、この一般的な改善活動と、彼らの行う全社的な取り組みとに一線を画すため、あえて漢字を使わず「カイゼン」と片仮名を使うと、私にカイゼン師匠に習いました。 いや彼だけそう言ってるのかもしれないけど。

ですので、「カイゼン活動」とは、継続的・永続的な活動であり、英語ではこれを“Continuous Improvement”と呼んでいます。 はい、”Kusunoko-CI”のCIです。

トヨタ自動車の強さについては、皆様ご存じでしょうからここであえて説明はいたしませんが、そのパワーの源が、彼らが日々行っている全社的なカイゼン活動であることに異論を唱える方はいないでしょう。 私はそのようなカイゼン活動の本質を、いまこのブログを読んでいる皆さんが、英語で難なく説明できるようになってもらいたい。 海外に行って強い・地力のある組織体を作る牽引役になってほしい、そんな思いからブログを書き進めております。 英語を使って、カイゼンを世界に広めていく、そんな仕事をしておりますが、常日頃から日本人はもっと世界に出て活躍すべきだ、と思っておりますよ。 できることは山ほどあるはずです。

 

Gap Approach

それはさておき。

物事をよりよく変化させていくために、初めにしなくてはいけないことはなんでしょうか? あるいは目標達成のためにしなくてはいけないことは? ここで旅に出ることを考えます。今あなたは「旅行に出かけたいな」と思い立ちました。次に来るのは「どこ行く?」です。予算であれ計画であれ、まずはどこに行くのかで大きく変ってくるはずです。

Gap Approach

カイゼン活動であれ、プロジェクトであれ、まずは「目的地=あるべき姿」を描くのが一番初めの作業になってきます。余談ですが、このゴールや目的があいまいなまま始まってしまったプロジェクトのことを、「死の行進」プロジェクトと呼びます。始まったからやらなくてはいけない、しかしながらゴールや求められる姿があいまいなために時間とコストが無意味に浪費されていく、そして最終的にはプロジェクト自体が頓挫してしまう、という最悪のシナリオです。

「目的地=あるべき姿」が決まったら、次は現状分析です。今現在、自分たちの会社や部門は、どこに位置しているのか。同業他社やベンチマークを基準に今ある状況を冷静に把握する、それによって「あるべき姿」と「現状」との間のギャップが明確になっていく。これがいわゆる「ギャップアプローチ」と呼ばれる問題解決の普遍的かつ基本的なポイントとなります。

大野耐一氏

問題意識トヨタ式カイゼン活動の祖ともいえる大野耐一氏は、「問題ないというやつが、一番大きな問題を抱えている」と語ったと言われています。これはすなわち、問題に気付かない、あるいは問題を問題としてとらえられないメンタリティについての警告です。 前項の“旅”で例えるなら、旅行という行為を知らないといったところでしょうか? 問題に気付かなければ、それは問題ではないという、なにやら哲学的な問答のような話ですが、これは問題に対する従業員の意識を考えるうえで非常に重要です。問題に対する気づきのなさの階層には、下記のようなものがあると思います。

  • 問題があっても気が付いていないふりをする。
  • あまりに慣例化しているため、指摘されるまで本当に気が付かなかった。
  • そもそも問題意識などというものを持ち合わせていない。

Problem Awareness

Kusunoko-CIが見てきた限りでは、だいたい上の3つに分類されるかなと思います。もちろん最悪なのは1のケースです。これはとことん教育を施して、そういった考え方を矯正していかなくてはならないと思います。 2のケースは、よくおこります。私も陥ってしまいます。我々人間の能力の限界でしょうか。 定期的にチェックするシステムや、外部との交流などで対処していくのがいいでしょう。 従業員をカイゼンや技術コンテストに参加させるのも、外からの情報を取り入れるために必要な措置でしょう。 最後の3番目が、結構厄介だと経験上感じています。 初めは、このような人たちをどこから教えていけばいいのかと悩んだものでした。でも根気よくコミュニケートしていきましょう。自分たちに何かしらの利点があれば、人は学んでいきます。 “what is in it for me”の精神です。先述のギャップアプローチも、この問題意識がなければ、まったく機能しないのは自明の理だと思います。“旅”を知り、“旅に出たい”と思ってもらうことが肝要です。

まずはカイゼンと、ギャップアプローチ、それからMind set についてでした。 この次はPDCAなど話していきましょう。

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