問題解決能力 高めるには How to improve our problem solving ability
皆さんの改善Project、調子はどうですか? Kusunoko-CIもつい最近、ひとつ改善Projectをやりまして、案外うまくいったので良かったです。皆さんのお役に立てたと思うと、本当にすがすがしい気持ちになれます。さて、今回はその改善活動における問題解決の能力とその高め方についてちょっと語ってみたいと思います。
問題解決?
先ほども述べましたように、Kusunoko-CI、なかなかいい感じに一つ改善Projectをまとめてきました。じゃあ、問題は解決?・・・というとそんなこともないわけです。なぜなら、今回のProjectの現状把握の際、さらにまた別の問題が発見されたからです。皆さんもご経験があるかもしれませんが、こういうことはよくあって、次から次へとネタが尽きない。改善屋さんとしては最高の状況ですね! そんな時、ふっとサウジトヨタ時代に経験したProjectを思い出しました。それも進めていくにつれ、Projectがどんどん広まっていった事例です。


国境付近の車置き場にて
問題解決 事例 in Saudi Arabia
問題解決 整理できない
以前もどこかでお話したかもしれませんが、国境付近のディーラーさんの定期点検業務の改善活動をお手伝いしていた時のことです。5,000㎞とか10,000㎞点検の生産性を上げるというProjectでした。
だいたい月一回くらいのペースで現場には行っていまして、後は電話やらメールでやり取りをして、サービスマネージャーのAmroさんと一緒に進めていました。そうですアムロさんです。いろいろ行くたびにアドバイスして、やり方や資料なんかも残しいるのですが中々改善は進みません。Amroさんはしばらくこの町に常駐してください、とか言っていましたが、私もそれだけやってるわけじゃないですからね、ムリです。
で、ある日、なんでそんなに改善進まないの? とストレートに電話で聞いてみました。なんか言ってることを要約すると、やろうと思ってもなんかまわりが云々と、説明というよりだんだん愚痴になっていきます。こちらも「アムロ、オツカレ、アムロ、オツカレ・・」とか言ってる場合ではないので、出張しました。
で、ここで聞き取りという事象が発生しますが、この聞き取り調査、本当に難しいです。とにかく相手は、自分の思ってることをどう伝えていいのか、多くの場合知りません。まして論理的に整理して話すなんて、ほとんどの場合で期待できません。ですので、ここでも5W2Hのようなフレームワークを使って聞き取ると割と状況が把握しやすくなります。FYI (For your information)です。
問題解決 現状把握
そんなわけでまた行きました、砂漠の町へ。現地現物です。で、F2Fでいろいろ話を聞いて見るとどうやら部署間の縄張り争いがあって、にっちもさっちもいかないようなんですね。で、詳しく聞いてみると、
- Reception Area (サービス含む)はアラブ系(エジプト人・シリア人など)
- 整備士たち フィリピン人
- 部品 アフリカ系(スーダン人とか)
なんていう構成になっていまして、皆さんやっぱり国籍と職種でかたまり、互いをけん制し、自分たちのコミュニティを守る=職を失わないようにという感じで、仕事が日々行われているわけです。
私日本人一人ですよ。とほほ。
でもまぁそんなことで嘆いていたって仕方がない。とにかく何が問題なのか、顕在化させる努力が始まりました。
問題解決 コミュニケーション
部署間が抱える不満
このメンツでの、勇気を出して初めてのブレインストーミングです。要は国籍や文化が違えど不満は共通で、みんな自分のとこしか見てないんだよ ということが、ながーーーーーーい議論の中から判明いたしました。
お国柄というか、なんというか。皆さん、お客様のために仕事をしているはずが、自分たちの場所を守ることが最優先事項になっているという。これはいわゆる後工程はお客様理論の中で言われる、「みんな自分のためにだけ仕事をしている状態」です。
そうした理屈をかんでふくめて伝えるだけの時間もなく、とりあえず要点だけ伝える。3日の日程で、しかもその日が最終日でしかもその夜のフライトで帰る。時間がないので、とにかく今の彼らでもやれることを、エッセンスを伝授しよう。
問題解決 対策立案
そもそも、この日まで、各部署の長が一堂に会し、なにかを話し合ったこともなければ、まして問題を解決しようなんてしたことはただの一度もなかったという。おいおいおいおいおい。同じ会社で働いていて???
とにかく、自分の仕事に何が求められているか書き出しなさいと。受付から整備に必要な書類は、何と何が情報として載っていれば、問題なく仕事が回せるの? 部品は整備から何を情報としてもらえれば、倉庫に掛け合って適切な部品をそろえてくれるの? 必要な要件をまとめなさい。それを自分の仕事の判断基準にしなさい。そして、それが反映された書類のフォーマットにしなさい。それだけです。
驚くなかれ、このおかげで部署間コミュニケーションは活発化、リードタイムはなんと30%くらい減少しました。元が悪いからという話もあるんですが。今まではほとんど建設的な会話をしたことすらなかった関連部署、一歩前進させることができました。
その後はもう少し突っ込んだ生産管理版の導入や、予約の推奨と踏み込んで行くのですが 、またそれは違うエピソードで。いい経験になりましたし、当時の上司にも褒められましたよ(サウジ人)。
問題解決 見える化と思考
どんな問題であれ、まずは問題の顕在化・見える化を行うこと。
外から来る人(私みたいな)存在にも意味はあるんです。その職場の派閥に所属してないから、けっこうInnocentに(なふりをして)問題に首突っ込めますからね。これ、同じ仕事場にいてその力関係に巻き込まれてたら、おいそれとしゃしゃり出られないですよね。
始めの話題に戻りますけれども、だいたいどこでも、そこにだけ問題があるというのは非常にまれで いろんなところにいろんなことが積み重なって、さらに悪循環を作り出している。 だからほつれた糸を一本引っ張りだすと、それこそ芋づる式にその他の問題がごそっと出てくるわけです。
問題解決能力を高めるにはまずは、問題に光を当てようとする意識を持つこと。そしてそこに問題をもたらす、もう一層上の問題を見つけ出すこと。いつも日陰の暮らしの問題さん。でも「問題」とは改善が変装してるもの、と以前お話しましたね。アグレッシブに見つけ出す、そうすれば次のアクションが取れる。何が問題かわからなければ、永遠にそのままです。
だから改善活動を行う時は、最初はそこ集中で構わないのですが、この問題を作り出している本当の問題は何なのか、という視点を常に持つといいでしょう。
まとめ
いずれにせよ、大事なのは経験です。まずは行動してみましょう。問題ははどこにでも山ほどあります。そして、見つけてもらえるのを待っていますよ。混沌とした状況に。光をもたらし、現状をすっきりさせて、次の改善へとつなげていく。まずはアクションを起こしてみてください。行動に勝る学びなしです。あなたならできるわ。今回うまくまとまりましたね。