人づくりとは 改善と組織 1 What is human resource development Kaizen and Organization 1

すでに何回か「ものづくりは人づくり」という話をしてきました。別にものづくりだけではないです。どんな組織も結局は人があっての活動ですから、人を育てていくことは、言うまでもなくすべての根幹となる活動です。

とはいえ、「人を育てる」って、じゃ一体どうやるの? 個々の上司の人となりやその努力によるんじゃないの? みたいな疑問てわいてきますよね。

今回は、私が特に海外での改善活動の難しさから学んだ、私なりの組織での人づくりに関する考え方を述べてみたいと思います。全3回の予定です。

人づくりとは仕組みづくり

結論からいいますと、先ほど述べた「個々の上司の人となりやその努力」に任せたやり方というのは、カイゼンの考え方から考えてもよろしくないです。なぜなら、人によって「ばらつき」が出てしまうから。

ある人は部下の育て方がうまく、ある人は潰しがちだ、あるいはみな辞めてしまうとかいうのは、ライン作業者によって品質にばらつきがあるというのと一緒です。作業が標準化されていなくてはならないし、

例えば供給される部品やコンポーネントの質も問われていくでしょう。品質に関する判断基準(尺度)も必要ですし、チェックするための仕組み作りもいります。

これと同じことが人づくりにも当てはまると思うのです。「人づくり=仕組みづくり」ということです。

ではこの仕組みの中身ですが、ざっくりいうと

  • 入ってくる人への仕組み
  • 入ってきた人への仕組み
  • 育てていくための、あるいは組織運営の仕組み

の3つに分けられると思います。

入ってくる人への仕組み

まず今回は、「入ってくる人への仕組み」について考えてみましょう。

これは企業のイメージやブランディングの話になってくると思います。この会社はどういうコンセプトで運営されているのか、今なら企業のWebページを見れば何に重きを置いて、どういう商品・サービス・価値をお客様にお届けしようとしているのか、そのための具体的な活動は何なのかというのはすぐに理解できます。

ちなみにこの「どういう商品・サービス・価値をお客様にお届けしようとしているのか」を表すのがVision, 「そのための具体的な活動は何なのか」を表すのがMission、そして「何に重きを置いて」というのがValueのそれぞれStatementになります(ただこれも解釈がいろいろあるので、全部がこのようなStatementになってるわけではないですが)。

いずれにせよ企業というものは、その姿勢や社会に対する態度、立ち位置というもので既に差別化をし、お客様に選ばれる努力をイメージの面でもしていかなくてはいけないわけです。

例えばトヨタのWebページに行けば「改善」に関する情報が山ほど。これを見て「なんか改善って好きじゃないんだよな」という人はあんまり入社したいとは思わないはずです。

ちなみに私だとそんなにエンタメ向きの人ではないので、Walt Disney Companyの corporate vision “to be one of the world’s leading producers and providers of entertainment and information.”とかみると、うーん向いてないかもなと判断したりします(見るのは大好きですけどね!)。

人事戦略

つまりは、どのような人が集まり、何を目指して、どんなことをやっています、そしてその際にいつも気にかけている価値観はこんなものです、というイメージの発信には、志が同じような人と一緒に仕事がしたいというメッセージが込められているわけです。

企業ブランディングは、もちろんその企業が打ち立てた根本的戦略から生み出され、かつそれを実現していくための具体的な方法であり、組織としての発展や繁栄を作る構成員の収集段階においても非常に重要な役割を担っています。

ですから、人の募集や採用というのは包括的な企業活動の肝心要であると心底思いますね。

Strategic Hiringというのが大事になってくると思います。ちなみにトヨタの人事だと「人事労務Toyota way」なる部署戦略があって、改善やそれを目指した人材育成がカギとなるときちんと明記されております。

軸がしっかりしているので、そこから採用判断に関するCriteriaも導き出しやすい。もちろん人と人ですから、いつもうまく採用できるわけでもないでしょうし、同じような人ばかり集めていいわけでもありません(組織は多様化しているほうがInnovativeという研究結果もあります)。

しかしながら、そうした大きな会社方針の中で、採用や人材育成というのが考えられていくというのが本来あるべき姿でしょう。

そうやって入社してきた人たちが、仕組みでもって育ち、評価され、次世代のLeaderになっていくわけです。こうして仕組みがあれば冒頭に話した「ばらつき」はかなり抑えられていきます。

まず今回は、3つの仕組みの中の入ってくる人への仕組みに焦点を当ててみました。これがここから入ってきた人へ、そして実際に組織を運営していく話につながっていくのですが、最終的にはこれを総称して「企業文化」ないしはその作り方という話になってまいります。

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