稼働率と可動率 Operating Rate Vs. Operational Availability そしてTPM
皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
最近インターネットの調子が悪くて困っていました。突然「接続なし」状態になってしまいまして。
結局借りているルーターとモデムの両方を取り換えて、様子を見ることになったのですが、私はHome office。
これがないと仕事にならないのですね。
大事な会議の最中、突然落ちるなんてこともしばしばでしたので、これで改善されてくれればいいのですが。
こんな時、機械や設備が「動いてほしい時に、確実に動いてくれている」ということがどれだけ重要か感じますね。
これをLeanの世界では、「可動率(べきどうりつ)」と呼びます。
今回はこの「可動率(べきどうりつ)」と、いわゆる一般定な「稼働率(かどうりつ)」の違いと、その英語表現を見ていきたいと思います。ついでに少しTPMにも触れてみました。
改善すべきはこの「可動率(べきどうりつ)」の方なのです。
可動率 Operational Availability
こちら、いつもお世話になっております、KAIZEN BASEさんに、以下きれいに説明されております。
可動率とは、「設備を動かしたい時に、正常に動いてくれていた時間の割合」を指します。保全によってもたらされる設備の信頼性を示すと言ってもよいでしょう。
例えば、設備を運転しようとしていた時間が8時間だと仮定します。
しかし、実際にはトラブル等が発生し、動いていた時間は、6時間だった時の可動率は何%になるでしょうか。この場合は、6時間/8時間で計算され、可動率は、75%となります。
当然ながら、トラブルは極力ゼロで抑えて、最短の時間で生産を終えたい、というのが現場の目指すところです。
可動率は、英語で「Operational Availability」です。「オペレーションにおける有効さ加減」という感じでしょうか。
可動率(%)の計算式は、「実際に動いていた時間 ÷ 動いて欲しい(欲しかった)時間」です。
ですから、下の2通りの考え方があります。
- 可動率 = (生産実績数 × 基準サイクルタイム) ÷ 動いて欲しい(欲しかった)時間
生産実績数は、実際に生産された台数ですね。
「実際に動いていた時間 = 生産実績数 × 基準サイクルタイム」ですから、それを機械の動いて欲しい(欲しかった)時間で割ると、割合(%)で表すことができますね。
あるいは、
- 可動率=(動いて欲しい[欲しかった]時間 - 停止時間)÷ 動いて欲しい(欲しかった)時間
可動率というのは、機械・設備が「動くべき時に、正常に動いていた時間」のことですから、動いて欲しい(欲しかった)時間から、停止時間を引いたものということもできますね。
ちなみにこの「本来動くべき時間」を阻害するものが、
- 故障
- 段取替え時間
- チョコ停
- 速度ロス
- 不良
- 手直し
などです。
産業や工場などで、これ以外にも阻害要素というのはあるのではと思います。こうした停止というのは、予想外の事で機会が停止してしまった、という問題のある状況ということができますね。
稼働率 Operating ratio
稼働率は、英語ではこれを「Operating ratio」と言います。
これは、設備の生産能力に対してどのくらい生産できたかを示す指標のことです。例えば、 1日100個作れる設備で90個作った場合は、稼働率は90%となります。逆に120個作った場合は稼働率は120%となります。
高い稼働率であれば、単純に考えると「イコールいいこと」のように思えてしまいますが、Leanな考え方においては違います。
Lean Production System(TPS=トヨタ生産方式)において、重要なことは何だったでしょうか?
そうです、ジャストインタイムの考え方です。
つまり後工程が、必要なものを必要な時に、必要なだけ供給するのが前工程の役目になるのでした。
稼働できるから稼働する、あるいは稼働率を追求してどんどん生産する、というのはこうしたJITの考え方に真っ向から反対してしまいますよね。
これはいわゆる「Push system」。Leanが目指すのは「Pull system」でした。
ですので、この稼働率というもの、なかなか曲者であります。ゆめゆめこれだけを追求することのないように。
TPM, Total Preventive Maintenance
ということで、要は冒頭のインターネットの件と一緒で、「動いてほしい時にきちんと動くか」が目指すべきところになります。
ネットのモデムやルーターは、個人レベルではちょっと整備のしようもないですけれども、工場の機械・設備に関しては、作業者さんも一体となって、いかに保全を強化していくかが、このLean 生産に有効な「可動率」を向上させるキーになりますね。
「予防保全」という考え方です。英語では「Preventive Maintenance」と言います。
これを全社的に行っていくのが「TPM=Total Preventive Maintenance」という取り組みになります。
日本のデンソーが先駆けとなったこのようなの全社的な活動が、いまでは世界規模で導入されるようになりました。
これもLeanな生産活動を実現するための、大切な要素と認識されています。詳しくはこちら、「全員参加の生産保全、TPMとは何か?」という記事に詳しいです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は「稼働率と可動率 Operating rate Vs. Operational Availability、そしてTPM」と題して、両者の違いと、Leanに必要な考え方のご説明でした。
インターネットは、これを書いている本日も、3会議中きっちり3度落ちてしまいました。「動くべき時に動かない」、これはどんなものであれ由々しき問題です。また電話しないと。。。
皆さんも、稼働率ではなく可動率に着目して、真にLeanな生産体制を目指してみてはいかがでしょうか?
代表的な阻害要素は
- 故障
- 段取替え時間
- チョコ停
- 速度ロス
- 不良
- 手直し
などです。
TPMという考え方を導入し、全社的にこうした阻害要素を排除していくのが、昨今の潮流です。OEEもここから生まれた考え方ですしね。
ぜひ皆さんの現場に、活かしてみてください。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!