工程能力表の書き方 エクセルヒント
Production Capacity Sheet
皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
「標準のないところに改善はない」ということで、カイゼン活動の第一歩は、標準を定めることです。
そこで今回は、この標準作業を策定するための3種類の標準作業書から、「工程能力表」の書き方をご紹介したいと思います。
機械設備のある工程の生産能力を把握し、これを書くことで、以前ご紹介した「標準作業組合せ票」につなげていくことができます。
工程能力表とは
早速ですが、こちらが工程能力表の例になります。
こちらを書くことで、ボトルネックになる工程(生産能力の一番低い工程)を明らかにすることができます。「問題がわかれば解決できる」ということで、これもいわゆる見える化のためのツールであることがわかりますね。
工程能力表の内容
では順に、書かれている内容を確認していきましょう。
①と②は、品番や品名の基本情報と、加工する型式・個数。この部品を組み付ける製品の形式や、何個取りつけるのかに関する情報です。
車で考えるとわかりやすいですが、車両形式と、その車1台に何個とりつけるのか、といった事柄ですね。
③作成者に関する情報です。
④その工程の順番。
⑤工程名称。同時に複数個処理できる機会の場合は、その数も書いておきます(例、4個取り、とか)。
⑥機番は機械の番号。
⑦手作業で行う時間を記入。歩く時間は含みません。
⑧機械が加工している時間。起動してから加工後、すべてが起動位置に戻るまでの時間を書きいれます。要は次の加工が始められる状態までの1サイクルですね。
⑨の完成時間は、⑦と⑧を足したものです。
⑩は、何個加工したら、刃具などを交換すると決めてあるのかの標準数。
そして⑪で、その一回の交換に当たる時間。ここは最短時間を記入します。
⑫加工している製品一個当たりにかかる交換時間を書きます。エクセルで作っていますので、交換時間のセル⑪を交換個数のセル⑩で割る式を入れて、自動で出るようにしてあります。
⑬1シフト当たりの定時の時間内で、加工できる機械ごとの最大能力を入れます。
そして最も加工能力の低かった機械の数字を一番上に記入。ここもエクセルなので「=MIN」関数で、自動で入るようにすると楽ですね。
加工能力の計算は
になります。⑨(完成時間)と⑫(個当たり刃具交換時間)が、例の中で○数字で示した、計算に使う数字の位置ですね。小数点以下は切り捨てです。生産性なので、少数点以下「0.…」とかそういうのは含めません。
こちらもエクセルですので、計算式を入れておくと自動で出ますね。小数点以下切り捨てなので「=ROUNDDOWN」関数を入れておきましょう。単位は、秒に直すことを忘れずに。
⑭は、手作業と自動送りの時間を線で表したものです。実線が手作業、破線が自動送りの時間で、パッと見てどのくらいの時間がかかるのかわかるようにしておきます。
これがそのまま、標準作業組合せ票に書かれていくわけです。同じ線の形式で記入しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は、標準作業を策定するための3種類の標準作業書から、「工程能力表」の書き方のご紹介でした。
ご覧の通り、こちらも機械作業の生産能力を見える化することで、対象を絞りこんで定量的にカイゼンができるようになります。
ボトルネックの作業時間を短縮することで、工程全体の生産能力がアップしていきますね。
時間観測でこちらを記入してから、標準作業組合せ票を書き、まさに人と機械作業の最適の組み合わせを考えていくことになります。
またボトルネックになっている工程の簡便自動化(Low Cost Intelligent Automation:LCIA)、あるいは着々化を考えたり、歩行中にできる作業を見出していくことも可能になります。
いずれにせよ、当たり前と思っている現在の作業を、「作業要素」や「動き」に分解して考えてみることが必要です。
そうした作業の始まりにも、ビデオを使った時間観測と工程能力表などの帳票はかなり役に立ちます。
出来上がった新標準は、「標準作業票」で掲示し、作業者に順守していただくことことになります。そうして管理しつつ、次のカイゼンPDCAを回していきましょう。
工程能力表、皆さんのカイゼン活動に、ぜひ取り入れてみてください
今日も読んでいただいましてありがとうございました。
ではまた!
工程能力表の説明もあり。トヨタ会館のショップでも売ってます。