動線分析にスパゲッティチャート 使い方入門

Spaghetti diagram.

皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。

仕事柄、多くの工場を訪れては、改善Projectのサポートししている私です。

改善というのは、「いかにムダをなくしていくか」、この一点絞られるといっても過言ではないでしょう。

ですので、何度かご紹介した、「7つのムダ」(最近は「使われない才能・能力」も含む、8つになってますが)というのは、とても重要です。

これも、実際いつも「7つ」というわけではく、「少なくとも探せば7つはある」というものであって、私たちの改善箇所の探索を、制限するものではありません。

その最たるものとして、7つのムダに入ってませんが、「歩行のムダ」というのがあります。「歩いてるだけ」の動きです。

これをいかに省くか。どこへ改善お手伝いに行っても、必ずこの問題が議論されます。ほぼ100%と言ってもいい。

そのためのに、我々が普段よく使う、「スパゲッティチャート」というものを、今日はご紹介したいと思います。「見える化」のためのツールです。

これを読めば、歩行のムダの見つけ方から、解決の仕方までが見えてきます。

スパゲッティチャート

作業における、ムダな移動の分析するためには、「スパゲッティチャート」と呼ばれる改善ツールを使います。

ある物理的タスクに従事する、作業者さんの動きを丹念に追います。

そうすると、彼・彼女がどのくらい一日に、工場・オフィス内を歩いているのかが、「視覚的に」捉えられるようになります。

見える化」です。

7つのムダの「運搬にムダ」同様、それを専業としている職業以外、歩くことそれ自体は全く付加価値をつけません。

こうして、どのくらい「ムダに」歩いているのかを、はっきり図に表すことで、今ある問題が見えるようになります。

改善活動の最初の出発点です。「問題が見えれば、打つ手があります」。

レイアウトのわかる図面を用意しよう!

今あなたが、改善を行おうとしている場所の「レイアウトのわかる図面」を一枚用意しましょう。

例えばこんな感じで。

無ければ、描くしかないですが、なるべく実際の縮尺に、あうようにするといいでしょう。エクセルで、行列ともに30ピクセルの正方形にしてしまえば、立派な方眼紙になります。

30ピクセル

ちなみに、Kusunoko-CIの自宅オフィスの間取り、とモノの配置を捉えてみました。

今エクセルの1マスを、10㎝四方で見たてています。

これ描くのは楽しいですけど、できれば図面があった方がいいですね(笑)

スパゲッティチャートに取り掛かりたいということは、今「モノが一貫して流れていない」という問題が、あるのではないかと推察します。

あるいは、今作業そのものがタクト内に収まっていないのではないですか? なので、どうやって作業のムダを、取り除いて行こうか、と考えている。

ないしは、倉庫のPickingの作業改善でしょうか?

いずれにせよ、まずは用意したレイアウト図に書けるよう、作業者さんの動きを追いかけてみます。一番いいのは、ビデオ撮影。「実際に作業をされている方を、追いかける」、です。

作業はもちろん、すべてを捉えることはできませんので、優先順位をつけましょう。

倉庫内の作業であれば、ABC分析があります。

作業の頻度がより高いもの(High runner)や、事業貢献度の高いものから選ぶのがいいでしょう。パレート図を書けばすぐ分かりますね。

ビデオを撮ったら、3倍速くらいでいいので、作業を見て研究します。先ほど用意したレイアウト図に、作業者さんが、実際に歩いている経路を描いてみる

そうすると、実際にどのように動いて(歩いて)いるのか、かなり正確に把握することができます。

こんな感じ

フィーリングとか想像とかではなく、現実どのくらい歩いているのか、見えてきますね。

一人で30分歩いていたとしても、5人の作業者さんなら150分、2時間以上です。これを一カ月で考えてみたらどうでしょう?

レイアウトや、作業手順、モノの置き場所を最適化することで、この作業時間から、歩くという付加価値のついていない動きを、なくすことができます。

もちろん損益計算書に、直接書けるコスト削減ではないです。でも「一秒1円、一歩1円」という基準があるなら、いわゆる「Soft saving」として、改善結果を計上することも可能です。削減した分、新たなビジネスに、その時間を割り当てることもできる

そしてもっと大切なことは、実際に無駄をなくしたことによって、その作業者さんたちの貴重な時間(人生)を、ほかのもっと付加価値率の高い作業に、あてることができる点です。

これもトヨタの考え方ですが、会社というのは、社員の人生の、貴重な時間をいただいています。なので、成長が見いだせないような「動き」ばかりを彼らにさせるのは、とても失礼なことです。

作業者さんの行動の「動き」を減らし、「働き」になっていくよう(Kaizen Base)にします。

そうした作業改善をするのも、上に立つの者の役目になります。

スパゲッティチャートで目の当たりにすると、「何とかできないか」という気持ちが、ぐっと涌いてきますから、ぜひお試しください。改善前・改善後の比較も、簡単に表せますよ!

Before / After

倉庫(荷物受け入れ作業)改善事例

Kusunoko-CIが、以前お手伝いした倉庫内作業のProject、このスパゲッティチャートをしっかり使ってくれました。

パレット物(大物)部材の受け入れから、倉庫内格納までの時間や、工数削減に関する改善Projectでした。

そもそも、倉庫というもの自体、存在していても付加価値を生まないものなのです。

理想としては、納品された物品が、ライン横に直接届けられればいいわけで。

必要なものが、必要な分だけ、必要な時に」届けばいいのですが(ジャストインタイム、JIT)、なかなかそこまでは、到達できないのが現実です。倉庫はある程度、持たなければいけませんよね。

ただ、流れる作業を追求する過程の中では、厳しいことを言えば、倉庫というものは何の付加価値も生みません、残念ながら。

なので、できる限り、倉庫での作業工数や、滞留時間というものは減らしていかなくてはならないですね。

今回も課題になったのは、「届いたものを、検品し、検査し、棚に保管。生産に合わせて、Pickingして、お届け」という、倉庫ではごくごく当たり前の作業たち。

ただ、その当たり前の中に、歩く作業は山のように存在しています。

なので、こうしたムダな動線を生む、レイアウトを変えたい、あるいはプロセそのものを見直したい、というなら、まずはこのスパゲッティチャートを使いましょう。そして客観的に「どのくらい歩いているのか」はっきりさせることです。

このProjectも、スパゲッティチャートを書くことで、大幅に歩行時間を短縮できました。あとは、この考え方を、丁寧にほかの作業にも広げていくことです(ヨコテン)。

問題があることはわかっている。なので、まずは現状把握として、絵や数字で「悪さ加減」を表します。そうすれば、どのくらい減らすのか、減らしたいのか、減らせるのか、減らしたのかが、感覚ではなく、客観的なデータで表せられますね。

「一秒いくら」とか、「一歩いくら」ということも、改善結果としてアピールしていくこともできます。

改善の基本は「見える化」。問題が「見える化」できれば、打つ手があります。

動線に関しては、この「スパゲッティチャート」が、とても便利な「見える化」ツールです。

とても役に立ちますよ。

まとめ

今回は、動線分析のためのスパゲッティチャートでした。

何人の人が、どの位の距離、どのくらいの頻度で歩いているのか、図にしたり数字として見せつけられると、いかに「ムダな歩行」が工場内・オフィス内に存在しているか、具体的に見えてきます。

ぜひ、レイアウト図を用意して、スパゲッティチャートを描いてみてください。

現実に直面できて、改善のためには最高です!

改善後も、新たなスパゲッティチャートを描いて比較すれば、変化が一目瞭然です。成果を見せるための改善before/afterも、とてもわかりやすく提示できますよ! ぜひ試してみてください。

今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。

ではまた!


トヨタで学んだ動線思考 最短・最速で結果を出す

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