カイゼン後に、カイゼン状況管理に。「標準作業票」の書き方
皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
寒暖の差が激しくなってきました。皆さん風邪などひかれていませんか? うちは息子が幼稚園でもらってくることがあるので、そうなると家族全員にいきわたってしまいます。
今はCOVID-19もありますので、うがい・手洗いはしっかりやっていきたいですね。
さて今回は、標準三票のうちの1つ、「標準作業票」のご紹介です。
改善の手初め、そして標準化・管理や、さらなるカイゼンに力を発揮するこの「標準作業票」。TPS(トヨタ生産方式)の「標準」でもあるこの書類と仕組み、ぜひマスターしてみなさんの現場改善にお役立てください。
「標準作業票」とは
標準作業票とは、工程の設備配置や、作業者の動線を1枚の紙に描いて、実際の作業ベンチ上などに掲示するもののことを言います。
改善Projectを実行した後などは、その改善の結果、新たな「作業標準」が生まれているはず。それを作業者の方に覚えてもらわなくてはいけないですね。
一気には変えられませんから、少し実際に試してみて、うまくいきそうだと判断出来たら、それをシェア・トレーニングして新たな「標準」とします。
ただ人間なので、そう簡単に従来のやり方をすっかり忘れて新しいやり方になじめるかというと、そうでもない。
あるいは、もちろん教えてもらったのに間違えたり、自己流になってしまったりすることもあります。
そこで監督者は、作業者の皆さんが、そうした標準作業に沿って仕事をしているかどうかを確認していかなくてはいけませんね。
目で見てわかる「異常管理」が必要になります。これもいわゆる「見える化」の一方法ですね。
なので原則としては、その工程やラインの監督者が自ら作成することになります。
それも、監督者が自分で手順なども試してみてからの作図です。
こうすることによって、その(新たな)標準である作業が、合理的に機能するのかということが確認されます。
また監督者自らが体感して書き表したものですから、管理の際、作業者さんの行う作業手順や方法がこの標準作業票にのっとっているかどうか、いち早く気付けるのです。
標準作業票 書き方
まずはもちろん、工程の作業分析から入ります。
実際の作業のビデオを撮って時間と動作の観測、あるいはスパゲッティチャートで動線の分析をして最適な作業とレイアウトを模索します。
以前ご紹介した「時間観測」の方法や、「標準作業組合せ票」をご参照ください。
まずはとにかく「ムダ」を排除していくことですね。付加価値のついていない作業は極力排除する。こうしてムダのない、「Lean」な作業・工程にしていきます。
作業を出来る限り要素に分解していくのがコツです。そしていずれは、秒単位でムダを取っていくことになります。
分析と実際焦点を当てたポイントが改善されましたら、作業手順を明確にしていきます。
作業の入れ替え、あるいはそもそも不必要であった、作業(動き)の排除などもあったかもしれません。
こうして改定された(あるいは新たな)「作業手順書(SOP)」が出来上がります。
そうしましたら、いよいよ標準作業票です。今ピザを焼く工程があるとして、その標準作業票を描いてみました。


ピザ焼き工程 標準作業票
上のパートはこの票の情報です。
工程の開始と終了や、いつ作られたものなのかを明記します。
そうしましたら、
- 設備・機械のレイアウトを描く
- 作業者の動きを順に書きいれる
- 作業の動きを、矢印でつなぐ(最後の動きは点線で)
- 標準手持ちがあるべき場所に、マークを描く
- 品質チェックがあるところには、チェックが何個に一個必要かを書きいれる
あとは必ずタクトタイムとこの作業にかかるサイクルタイムを記入し、標準手持ちも書いておきます。
こうして出来上がった標準作業票を、現場のよく見えるところに掲示します。
管理のために
「標準のないところに、カイゼンはない」という大野耐一さんの言葉が示す通り、まずは作業者全員が従うべき「標準」が必要です。
あらゆるムダを排除して、最高の品質を、最低のコストと、最短のリードタイムで作る、Leanを実現する標準作業を目指すわけですね。
今もし作業にそうした「標準がない」のであれば、まずは「標準を作る」ことから始めてください。
これを表準作業と言ったりします。まずは現状が見えるように、「おもて(表)」にして、どんどんカイゼンを進める、という意味です。
また「標準作業の三要素」と言われる、
- 作業順序
- タクトタイム
- 標準手持ち(Standard WIP)
が記載されてなくてはいけません。
今これらの情報が書きいれられないのであれば、そこに改善の芽があるということにもなりますよね。
標準作業票の情報は、初めてこの作業に取り組む人向けの指導用としても重要ですが、ベテラン作業者の、慣れによる自己流アレンジを抑制するのにも役立ちます。
またこの標準作業票は、管理者自らが原則として作成します。ですので、管理者本人が、(改善によって構築された)作業手順や方法を熟知している必要があります。
これは確かに大変なことですが、作成者が作業を知っており、効率的なやり方であることも証明されているというのは、現場管理や指導という点においても、大きな効力を発揮します。
「やってみせて」の精神ですね。
管理者自らが作成し、現場に掲示することで、今後の更なる改善へのツール、管理のツール・指導のツールとして活用できるのです。
あるいは作業者が急に休んだ時など、管理者がヘルプに入ることも可能になりますしね。
ちなみに、これが長いこと改訂されていないということは、「何も管理していません、改善もやってません」という証左になりますので、カイゼンの進捗を見える化するということにも大きな意味が出てきますよ。
大変かもしれませんが、まずはできる頻度でやっていってはいかがでしょうか?
まとめ
ということで今回は、標準3票のうちの1つ、「標準作業票」のご紹介でした。
繰り返しになりますが、「標準のないところに、カイゼンはない」という大野耐一さんの言葉もあります。
まずは「標準化」です。
そこから「カイゼン」になります。
この「標準作業票」も、トヨタで生まれたTPS(トヨタ生産方式)の仕組みの一部です。こうした地味ではあるけれども、やるべきことを愚直にやり続けることが、競争力の高い現場力を培っていくカギです。
「カイゼンは倦まず、たゆまず」。
ぜひ皆さんもこの「標準作業票」、導入して現場力高めてください!
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。ではまた。