DXという手段と、その導入目的に関わるお話

皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。

さて本日は、巷で叫ばれるようになって久しいDXについての考察です。Chat GPTにも少しお話を聞いてみました!

デジタル化の3段階と真のDX

まず初めに、いわゆるデジタル化の3段階を確認してみます。

業務にデジタル化を推し進めるのには、以下の3段階があるといわれています。

  1. デジタイゼーション:文書の電子化。読んで字のごとく、紙の廃止です。環境にも貢献できますし、文書保存の場所も大幅に削減できます。
  2. デジタライザーション:行うプロセスを電子化していくこと。個別の業務・製造プロセスのデジタル化になります。製造業でいうと従来のERPやMRPなどのシステムは、まだこの辺に位置しているのではないでしょうか
  3. デジタルトランスフォーメーション(DX):業務プロセスの電子化をより広範囲に組織横断的に、全体最適化を目指して行うこと。ビジネモデルとの統合もなされている。

経済産業省の「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」でも、だいたいこのように定義されているようですね。

こうしたいわゆるビジネスモデルとの統合を果たした、本当の意味でのDXとなると、有名なところでUber(タクシー)やNetflixなどがイメージしやすいかもしれません。どちらもITの技術と普及がなければ実現不可能だったビジネスモデルですし、従来なかった新しいサービス形態を創造して、お客様に届けることに成功している事例だと思います。

このように真のDXとは、全社レベルでの改革を通して、新しいビジネスモデルを展開し、そこから生まれる今までにない「価値」・「経験」を、顧客に届けることに貢献するものだということができます。

デジタルシステム導入への6つの質問

デジタル化やシステムの導入は、組織の活性化、利益増加のために活用を目指して行わなければならないものです。デジタル化は手段であって、目的ではないはず。

また導入しても、現場の人間の働き方が変わらなければまず無意味になる代物です。

以下こうしたデジタル化や技術に関する6つの質問に答えることで、なぜ我々はこうしたデジタル技術を導入しようとしているのか、また導入の際にはどのようなことに意識を置かなくてはならないのかが見えてきます。

  1. デジタル化・テクノロジーのパワーとは何か? デジタル化・テクノロジーにより、情報・データを処理する能力が飛躍的に高まる。こうして、人間の能力や作業だけでは限界があったものが取り除かれてきたし、今後も限界は突破され続けていく。
  2. ではどのような限界が取り除かれたのか? 企業活動のあらゆることが見える化されるようになった。ただし、見える化されても、従来の「限界」に縛られたままのルールで、同じように仕事をしていたのでは、このデジタル化・テクノロジーの恩恵を享受することはできない。いわゆる「宝の持ち腐れ」状態。
    例えば、意思決定は月次の会議で必ず行われなければならないという、昔ながらの各部署すり合わせのためのルールが、デジタル化でリアルタイムの変化が終えるような状況になって、いまだ意味を持つのか。
  1. ではそのような古いルールは何か?、どんな特徴があるのか? 全体が「見えない」中で個々の部署が意思決定してきたルールは、「個別最適のルール」であることが多い。暗闇の中手探りでスィッチを探すのに似たものがある。
    ちなみにデジタルプロセス導入のシステム設計時には、その会社の仕事のやり方に基づいて設計を行うが、ヒアリングの結果、個別最適ルールの業務フローをそのまま受け入れてしまえば、そのためのシステムを構築・導入する羽目に陥る。
  2. ではどのような新しいルールを用いればいいのか? 当然、テクノロジーの恩恵を最大限活用できて、利益を伸ばすための新しいルールを作らなければならない。部分最適のオペレーションを全体最適に変えるルールの構築が求められる。が、おそらくこうしたことに関する議論は往々にして行われない。
    カイゼンワークショップなどをお手伝いしていても、デジタル導入ありきでプロジェクトが進んでいくことが多い。先にも述べたように、それは手段であって、目的ではないはず。まずは「あるべき姿」、新たなルール化でのプロセスの「未来図」を明確にしておくことが重要である。この議論のないデジタル化は、おそらく100%失敗に終わる。
  3. ルールの変化に合わせて、そのシステムに求められる要件は? きちんとした未来図の議論ののち、全体最適のルールに基づいてシステムを構築する。
    個別に最適化しなくていい分、システムはずっとシンプルになるはず。重要なのは、「制約」にフォーカスしたマネジメントを可能にするシステムを作るということ。あらゆる仕事の流れの「制約」に集中して、全体最適のマネジメントを可能にするもの。これがテクノロジー導入の真の力、意義である。
  4. いかに変化を起こすか? ただし5番の「シンプルな仕組み」も、仕事のやり方が変わらなければ、実際に稼働し、成果を上げることは不可能。
    人は今まで「部分最適」のルールに縛られたまま仕事をしている、あるいはし続けようとする。人の意識の変化を促さなくてはならない。
    製造業でいえば、全体の状況が見えないがゆえに、
  • とにかく個別の部署・プロセスで高い「効率」を目指そう
  • 資材を早め早めに投入すれば、その分早く仕上げられるはず
  • バッチは大きければ大きいほど、コストは安く、早く、効率よく仕事ができる
    という考え方で仕事を推し進めてきた。
    これらがすべて、逆の効果すなわち、全体として低い生産効率、様々な追加のムダをもたらす仕掛や在庫の山・それによりかえって高くなるコスト、キャッシュを圧迫する長いリードタイムという状態を生み出してきていた。
    今新たに全体最適化ができるシステムが構築され、効率化の手段を得られる技術革新が行われたとする。これらの恩恵を享受するためには、従来の仕事のやり方も変えなくてはならないというシンプルな事実を、すべての従業員が理解し、意識を改革できるようになることが必須
    そのためには当然、人の意識の変革を担うチェンジマネジメントも必要である。
    と同時に、全体最適の新たな業務フロー・ビジネスモデル(あるべき姿)がどのようなものであるのかの「大きな絵」を描けるかどうか(#4)、ここにデジタル化、いわゆるDX導入成功のカギが潜んでいることは明白である。

いかがでしょうか。DX導入ありきではない議論と明確なビジョンが求められてきますよね。

手段VS目的 DX 編

ではここで、なぜ多くの人は目的(業務改革やカイゼン)ではなく、手段(新たなシステム導入=IoT、AI、DXなど)に飛びついて、導入ありきで事を進めてしまうのか、今流行りのChat GPTに話を聞いてみました。

以下返答です。

人が手段に飛びついてしまい、目的や業務改革を見失う理由はいくつか考えられます。

  1. 新技術への魅力: 新しい技術やシステムには魅力があります。特にAI、IoT、DXなどのテクノロジーは注目を集めており、革新的な解決策や効率化の可能性を提供すると期待されています。このような新技術に対する興味や期待から、人々は手段に飛びつきたくなる傾向があります。
  2. システム導入の簡単さ: システム導入は具体的で見える行動であり、実行しやすい場合があります。一方で、業務改革やカイゼンはより広範な変化や長期的な取り組みを必要とする場合があり、実現までの道のりが複雑であったり時間がかかる場合があります。
  3. マーケティングや競争圧力: 新技術やシステムはマーケティングや広告の対象となりやすく、魅力的なビジョンが提示されることがあります。また、競合他社が新技術を導入して成功を収めている場合、他に取り残される恐れがあると感じ、手段に飛びつく傾向があります。
  4. 機会の誤解や不確実性: 新技術やシステムは機会として認識され、将来の成果や競争優位性をもたらす可能性があると誤解されることがあります。しかし、その機会の実現可能性や効果は不確定な場合が多く、目的や業務改革との関連性や適合性が見落とされることがあります。

これらの要素が組み合わさり、手段中心のアプローチが取られることで、本来の目的や業務改革が見失われる可能性があります。しかし、重要なのは目的を明確にし、手段と目的をバランス良く組み合わせることです。新技術やシステムはあくまで手段であり、目的や業務改革を支援する道具として活用することが重要です。

とのことで、結構まともな答えを返してくれました。

先にも述べましたが、ワークショップなどをサポートしていても、とにかく新しい機械や仕組みを導入したがるケースを多数目にしてきました。

そのたびに、IT化は後でいいから、まずはその仕組みがアナログ的手法できちんと回るのか試したほうがいいことを進言してきました。もちろんそのためにはきちんとした業務フローが確立されて、関係各所ときちんとすり合わせが行われていなくてはいけない。

こういう作業は、正直嫌がられます。めんどくさいからでしょう。

ITでサッとできる(と本人たちは思っている)のに、なんでそんなことをしなくてはいけないのか、というのがあるようですね。

力及ばず話を聞いてくれなかった活動は、ほぼ100%失敗してきました。

魅力・簡単さ・圧力・誤解。はたから見ていると、こうした要素が心の中でミックスしているようですね。

何が目的で、そのためにどのような手段をとるのか。DXだろうと、AIだろうと、ERPやMRPであろうとその辺の本質は変わらないはずです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は「DXという手段と、導入目的に関わるお話」と題しまして、つらつらとデジタルシステム導入に絡むトピックをまとめてみました。

その昔、ERPなど様々な仕組みが導入されても、なかなかそれを活用しきれないという現実が、世界各地、特に日本で顕著に発生いたしました。

技術は日進月歩ですから、次から次へと新しい、そして魅力的なものが世に登場してくるものです。ただその度に、それらに振り回されてしまうのは、よろしくない。

結局のところは、「何が目的で、どういう手段をとるのか」、「そのために変化していかなくてはいけないところを変化させるだけの技量や覚悟があるのか」、ということが問われていくはずです。

IT化は避けては通れません。これはまず間違いない。

ただ導入には手順があるということを、きちんと踏まえておかなくてはいけないですね。

今日も読んでいただきましてありがとうございました。

ではまた!

 

デジタル化6つの質問は、こちらから。

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