企業文化の作り方 How to create Corporate Culture

皆さんは企業文化というものについて考えてみたことはありますか? 私は、サウジアラビアにて勤務中、ずいぶん真剣に取り組みました。今回は、曖昧模糊とした企業文化をはっきりさせながら、では実際にはどうやって作っていけばいいのか、そのあたりを論じていきたいと思います。この記事は、「人づくりとは 改善と組織 (What is human resource development Kaizen and Organization)」のVol.3になります。

企業文化とは

組織文化を論じている名城大学の伊藤賢次教授は組織の文化を以下のように定義しています。

(組織に属する)メンバー(全員)が“当たり前”と考えているものの考え方や見方

及び行動の仕方を指し,組織メンバーに大きな影響を与える,

メンバーに共通の思考・判断・行動の様式

(2012年7月;『トヨタの組織文化と豊田章男社長』)

つまり、しっかりとした企業文化の中では、いちいち指示しなくても、従業員は同じような価値観のもと、組織が定めた方向への最適なアクションを”当たり前“のように取り続けていくということです。

私見ですが、企業文化そのものには良いも悪いも存在しないと思っています。その文化が導く思考・判断・行動単体とその総体がいい結果や悪い結果を内外にもたらすのであって、文化そのものは煎じ詰めれば「皆が思うように出来上がった」という、ある意味innocentな存在なのではと。

ちなみに、この「企業(組織)文化」という言葉を使うのもとても要注意だと思っていて、「これがこの会社の文化だから」と言った瞬間、往々にしてすべての思考はストップしてしまう。「仕方ないね、文化だもんね」、で議論もアクションもそこで終焉という場面に出くわしたことはないですか? 

私は結構あります。

なので企業文化を語るときは、きちんと定義と覚悟をもって臨みたいと思っています。止めるための発言ではなく、具体的にアクションを取るめに。

Action

企業文化 例

企業文化の例として、まず悪いものの代表が昨今話題に上る、いわゆるブラック企業というものではないかと思います。私自身はそんなにひどいところで働いたことはないですが、従業員に対して過酷な労働を強いるのが、あるいは上から下への横暴、まして暴力(精神的含む)などが当たり前になっているようなところは、断言しますが、すぐ辞めてください。

ネットには、それこそありとあらゆるタイプのブラック企業体験談が出回っていますね。これも結局そうなる環境を、社員総出で、そしておそらくは経営者や組織に影響力のある方々が、ある意味率先して作り上げてきた結果といえるでしょう。

企業は人です。その扱いがそうであるならば、ビジネスや社会に対してもそうであると思わざるを得ない。人間尊重の価値観のないところに、断言しますが企業としての繁栄はあり得ません。

逆に良い文化の例も実は、いろいろ出てくるインターネット時代。

私がここで一押ししたいのはホテル「リッツ・カールトン」。

ここでは、全ての従業員が、お客様へのサービスに関して、1日につき2000ドルまでの金額を上司の決裁を仰ぐことなく使うことができます。

すごいですよね。こうした行動は、従業員に配られた“Credo(信条)”と呼ばれ企業理念にのっとったものであり、リッツ・カールトンで働く全ての従業員が常とする、哲学や使命・共通の価値観の結晶体といえるでしょう。

そもそも、労使間において信じられないくらいの信頼関係がなければなしえない世界であり、人も、教育も、マネジメントシステムも、不断の努力でもってここまで昇華されているのだろうなと考えさせられる、稀有な例ではないかと私は思っていますが、いかがでしょうか?

リッツ・カールトン “Credo”

企業文化作り方

可能であるならば、改善やLean・Six sigmaに興味のある皆さんは是非そうした、強く、しなやかで、関わる人みんなが幸せになるような企業文化を作っていきたいと思っていますよね?! それでは肝心の企業文化の作り方です。

企業文化は3つの側面から成り立っています。

  • 理念
  • ルール
  • Paradigm

です。ひとつづ説明してみましょう。

1.理念

これはいわゆるトップの姿勢です。経営者の方は、何かしら社会に貢献するために自分の企業をお作りになったはず。お金儲けのためだけとは言わせません(権限はないですが)。

であるがゆえに、Vision, Mission, Valueというものを胸を張って社会に送信しているはずです。それがBrandingでもあります。Strategyにもつながっています。ここでもう一度、Vision, Mission, Valueを説明しましょう;

  • Vision; そもそもの企業の存在理由です。他社と比較して、あなたの抱える組織は、何が違っていて、どんな便益をStakeholdersに与えるために存在しているのでしょう。もちろん差異化できますよね。
  • Mission; で、上記の理念を実現するために、具体的に何をしていますか?それがここに描かれます。
  • Value; そして上記を実行に移す際、この組織の一員は、どんなことに重きを置いて取り組んだらいいですか? 言葉を書いてください。トップが大事にしたい価値観の単語を、定義し突き詰め、組織のあるべき姿をイメージしながらここに記してください。

以上、理念です。そして、経営者またはトップの方はこれらに代表される理念に背かぬ態度と行為を遂行してください。

ビジネスは生き方だと思っています。口で言って、行動が違えば、それは皮肉なメッセージを強化・送信することです。

2.ルール

そしてルールです。

このルール、社内規則とか就業規則だけでなくて、昇進・昇給・Awarding・Recognitionと、ありとあらゆる会社の規則のことを指しています。

これらの社内規定が、1番の理念を実現するために設定され、かつ実行されていますか? 人を雇う時もそうですか?(Strategic hiring)、トレーニングの頻度や形態はどうですか?(Strategic human development)、昇進・昇給・Awarding・Recognitionはいかがですか? 

すべての規則・規定が、会社の理念に沿えば「賞」、背けば「罰」となるようにセッティングされていますか? 矛盾していませんか? 公正ですか?(公平ではない、念のため)、皆が理念の実現へ邁進できる「ニンジンや鞭」としての働きを持っていますか? なっていなければ整備してください。

GEでは、マネージャーになるため少なくともシックスシグマのBlack beltを持っていなければませんでした。何が理念で、何が「賞罰」か、ということです。行動原理マネジメントです。

3.Paradigm

ここでいうParadigmとは、「模範となる実例、範例」です。

2番のルールで理念が実現されるべき規則・規定の設定の話をしましたが、ルールがあっても実行されなければ意味ないです。

いや、意味ないならまだましです。ルールがあって反対のことが起きるとそれは、さらに反対方向に強くメッセージを送ります。「守らなくていいよ」ないしは、「そうは言っても、現実で良いことが起きるのは別だから」というメッセージです。これは組織内の人間を理念から遠ざけ、実際に起きている方の「良いこと」に走らせる強力な起爆剤となります。

またGEの例を取り上げましょう。誰が部の人間に時間を与えてSix sigmaのBlack beltを取る時間を与えますか? そして最終的に昇進や昇給のgo signを出しますか? 

その部署の上司ですよね。つまりは、各部の長が、ルールが守られるよう番人として機能しているかどうかです。

GEでいうならJack Welchが「Six sigmaをやる!」と宣言した時から、これを実現するための社内規則や規定が整備され、レイヤーごとの部門長はそれを実行するための門番として、Change Ambassadorとして、Jack Welchの言葉を、指示を伝道し、そして実行の要としての役割を果たし続けてきた、きているわけです。

このように、3つの円の重なる最も色の濃くなった部分に企業文化は生まれます。何が欠けてもダメです。Peter Druckerは「Culture Eats Strategy for Breakfast」という言葉を残しています。

Strategyだけあってもダメなんです。結局企業文化を作る、愚直で時間のかかる作業を抜きにして、Strategy、そして方針など作っても機能しないのです。すべてはCultureありきなのです。

まとめ

サウジ時代、改善を企業文化に昇華させるには、というかなり大きなProjectに携わっていました。当時も今も、企業(組織文化)を理念(Vision, Mission, Value)と結び付けた記事は多いです。でも肝心の「どうやるの?」という部分は語られていないことが多く、当時ずいぶんフラストレーションがたまりました。皆さんにはそんなところに時間を使うのではなく、実際に文化を構築するところに向かっていただきたい。愚直に、真摯に試してみてください。そして今ないからといって悲観しないで。それは伸びしろがあるということ。これも改善の考え方です。

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