標準作業組合せ票の書き方
Standard work combination sheet.
皆さんこんにちは。今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
さて、「カイゼン活動はムダどり」である、とっても過言ではありません。まずは、徹底的にムダを排除することで、どんどんリードタイムを減らし、収益性を高めていくのが目標です。
そのために、現状を把握して、悪さ加減を見えるようにし、悪いところから順にアタックしていくわけですが。
それをどうやるのか。
今回は、「時間がかかっていて、問題だなー」というプロセスを見つけたあと、具体的にどう分析して、施策につなげるのか、のお話になります。私たちの改善ワークショップで、毎回必ず使われる「標準作業組合せ票」のご紹介です。
この記事を読むことで、「標準作業組合せ票」の書き方が、一通りマスターできます。
標準作業組合せ票
「標準作業組合せ票」というのは、こちらです。
「標準作業組合せ票」は、現状を「見える化」するためのツールになります。問題点がどこにあるのかを把握した上で、そこ(問題点)にある根本原因を、深く掘り下げていくためのシートと作業になります。
基本的には、「作業者」と「機械」の仕事や、それぞれの時間の使い方を観察し、「組合わせ」を改善していくので、「組合せ票」という呼び名がついているんですね。
とはいえ、機械を使わない作業(作業者さんの作業のみ)であっても、もちろん使えます。
ざっくり言って、以下のような効果が望めますよ。
- 手動の操作時間、機械(自動化)の時間、歩行時間、待ち時間の明確化
- プロセスのリードタイムが、タクトタイム内に収まっているかどうかの確認
- どこに時間がかかっているかの見える化(「長い線」からアタック)
- 機械と人との作業順序の再設計(どういう順番が一番効率的か)
- 全体的な作業時間の最適化
標準作業組合せ票の書き方
超有名カフェの一押しドリンク、「スペシャルレモネード」のオーダーから、提供までの工程です。今40分に1回オーダーが入る、「繰り返し生産」体制です(笑)。
ではさっそく、具体的な書き方を追いかけてみましょう。
- プロセスをビデオで撮影する。
- 製品名、工程名などの情報を書き出す。
- タクトタイムの線を書きいれる(今例では、40分に黄色線を入れています)。
ビデオは、必須ではないですが、あるととても便利です。何度でも、繰り返し見られるうえに、時間までしっかり表示されますので。いい時代になりました。
そして、
- 要素作業を書き出す。
- 「手作業の時間」、「機械による時間」、「歩行時間」の実測値を書きいれる。ビデオを見ながら書入れます。
一番下の合計時間は、エクセルなので自動で計算してくれます。
線の種類は、シート下にも書いてありますが
- 実線=人の作業
- 破線=機械の作業
- 波線=歩行
- 両端矢印の線=待ち時間
です(下図↓)。
実測の数字が入ってますので、それを確認しながら、
- 線をどんどん引いていく。
- 待ち時間の合計も、観察と記入後は、はっきり分かるので、書きいれる。
以上で上のような感じに出来上がります。
注意点
書き方の注意点ですが、
- 歩く時間がないなら、上と下との要素作業を、「直角」につなぎます。
- 基本は、繰り返し作業用のワークになります。なので、作業者がもとの位置に戻る時は、波線を一番上まで引くきまりです(この場合1分かけて、元の場所に戻っているというイメージです)。
見えてくる”改善ポイント”
今サイクルタイムが、タクトタイムを超えているので、ムダを削減して、タクト以内に収まるようにしないといけない。
この例で言うと、
- 歩行時間が多い → キッチンレイアウトを変えて、極力歩かない配置に。
- レモンを冷蔵室から、取り出す時間が長い → 探さない、すぐ取り出せるような工夫を。
- レモンの皮むきに、時間がかかっている → 外段取り化できないか。
- 機械→機械の生産性を確認しよう。本当にそんなに時間がかかるなら、台数を増やすことも視野に入れなくてはいけない。
- 待ち時間をなくすには。
などが、パッと見るだけで見えてきます。
ちなみに上記のような改善施策を実行することによって、下のようになりました。
サイクルタイムが大幅に、短縮できたことになりますね。
ただしこれはこれで、新たなムダ「手待ちのムダ」を生み出していますから、管理者さんは、この作業者さんの、有効活用を考えなくてはいけませんね。複数作業持ちとか。
ちなみに、「改善後」は、赤インクで、もともと使っている組合せ票に書くと、「Before Vs. After」がはっきり見えて、比較がしやすくなります。
補足点
オフィス改善
先ほども述べましたが、機械がない作業でも、もちろん使えます。
例えば、オフィスの仕事で、一人専属で仕事をしている。「仕事が人について」いて、ほかの人から全容が見えない、などということが起こってはいませんか?
オフィス系の仕事では、このように作業がBlack boxに入ってしまっていることも多々あります。
そんな時、この「標準作業組合せ票」を使うと、何をしていて、どれだけ時間がかかっているのかが、はっきり見えてきます。
以前ご紹介した、「モノと情報の流れ図(VSM)」を描いた後、こちらを使ってより詳細な分析を行う、ということになります。
「標準作業組合せ票」を書くことで、いわゆる「時間は動作の影」が、シート上に、くっきり浮き上がってくるわけです。
機械作業が長い
ちなみに今回の例では出てきませんでしたが、もし機械作業時間が、タクトタイムを超えてしまう場合は、タクトタイムまで点線を引いた後、工程開始のところから引くと良いでしょう。「繰り返し作業」になりますので、次のサイクルに持ち越された形になっているのが図示できます。
単位時間は「分?」
もちろん作業によります。
また分単位でやっている作業を、秒単位で書くと、とんでもなく長いシートが出来上がってしまいますから、気をつけましょう。
改善が進んで、「秒単位のカイゼン」が繰り返しできるようになった時、単位を「秒」にするといいでしょう。それまでは分で、またエクセルの1マスの長さも、書きやすいように工夫するといいですよ。
まとめ
ということで今回は、私たちの改善ワークショップで、毎回必ず使われる「標準作業組合せ票」のご紹介でした。
上に記したことに沿って書いて行けば、さして難しいことはないと思います。ぜひ有効活用して、ムダを取り除いていってください。
「カイゼン」とは、継続的にムダを取って、どんどん効率・収益性を上げていく活動です。
見えるようにして、「人と機械」、「複数の人」がどう作業されているのか分析することは、カイゼン活動にとても有効ですよ!
テンプレつけておきます。ぜひご活用ください。
ちなみに、この「標準作業組合せ票」の書き方は
Kaizen Baseさんや、コンサルソーシングさんのホームページにも、情報が出ていますので、参考にされるといいでしょう。ただ、あまり「正しい書き方」にこだわらず、「まずは書いて、改善を進める」、ということを大事にしてくださいね。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!
「トヨタ生産方式」に学ぶ現場改善と損益管理
こちらにも標準作業組合わせ票の書き方が載ってますし、損益管理のやり方も詳しいです。