「モノと情報の流れ図 (VSM) 」 アイコンの説明1「モノの流れ」編
みなさん、一日お疲れ様です。今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
さて、何回かにわたり「バリューストリームマップ(VSM)の書き方」をご紹介しました。
そこで今回からしばらく、このVSMの中でよく使われている「アイコン」をご説明したいと思います。
これを読めば、これらのアイコンを、実際のVSMを描く時に、どう使うのかが見えてきますよ!
今回は初回、「モノの流れ」編です。
モノの流れのアイコン(お客様・サプライヤー)
まずは「モノの流れ」の中でも、左右の上の部分から。絵の中で赤く囲まれているエリアです。
外部の会社


カスタマー・サプライヤー
右上と左上の「カスタマー」と「サプライヤー」。
自分の会社以外の会社、だいたいはお客様とサプライヤーさんになると思うのですが、これらはこの「工場」のような絵を使います。
外部からの運搬に関わるアイコン


運搬手段
これは、お客様へ完成品をお届けしたり、あるいはサプライヤーさんから部材を届けてもらう運搬を表すのに使います。
もちろん実状に合わせて、飛行機アイコンを使ったり、船の絵になったりするでしょう。適切なアイコンを選んで使ってください。
そしてこのトラックや飛行機の絵には、「頻度」を書きいれてください。お客様には「一日に一回納品」とか、サプライヤーさんからは「週に何回」とか。ここももちろん改善するポイントになっていきます。
そこに、色が一色で無地の矢印を入れます。品物・完成品移動アイコンです。


完成品移動アイコン
先に掲げた例では「黒塗矢印」になっていますが、要は後に出でくる「Push」の矢印と差別化出来ていればいいので、何でも構いません。
またお客様のところには、どういう要件が求められているかを「データボックス」に書きいれます。


お客様要件データボックス
ここでは、月に18,400個のデマンドがあって、Lの製品が12,000個、Rが6,300個必要なんだな、ということが分かります。
また、納品の際の「1コンテナ容量」は20個入り。
シフトも書いてあります。この会社は2シフト体制で生産に当たっていることを、ここに書きいれたようですね。
ちなみに、月の必要量と、就業時間(正味の)がわかれば、タクトタイムがわかるのでしたね。
タクトは生産のリズムとなる、とても大切なものでした。
モノの流れのアイコン(生産ライン)
さて次に下段の「モノの流れ」、すなわち生産ラインのほうです。
工程アイコン
流れ化できていない、分断された工程はすべてこの「工程アイコン」で表します。


工程ボックス
今この絵の例の中では、「Cutting」から「Shipping」までの6つの工程が描かれていますね。実際の生産の順に書きいれていきましょう。
その工程の箱の中には。「作業者」さんが描かれています。


作業者アイコン
横には数字が書きいれてありますが、その工程で何人働いているのか、分かるようにしましょう。
この例だと1名ですね。


Welding工程に1名
データボックス
そしていよいよ、各工程の生産に関するデータの記入です。


工程データボックス
上から順にみていきます。
- 1サイクルの作業を終わらせるのに、どのくらいかかっているのかのC/T(サイクルタイㇺ)
- 段替えにかかる時間(C/O, Change over)
- この例ではおそらく可動率
- 1ロットのサイズ
- 最後は、この例では就業時間でしょう。27,600秒なんで460分ということですね。


他の例:データボックス
本来は、C/T、C/O、シフト数、品質に関する数字(直行率とか歩留り)なんかが入力されます。
工場によって違いもあるでしょうし、必要なものを書きいれてください。
大事なことは、チーム全員で現状に対する共通認識を持ち、優先順位や喫緊の問題を明らかにすることですから、状況に応じてアレンジしていただければと思います。
必要な情報を、必要な分だけ書きいれる。情報もジャストインタイムであるべきだし、5Sされてないといけません。
工程間矢印
工程間で、部品・仕掛かりがどのように後工程へ送られているかを示す矢印です。
Push矢印か


Push 矢印
後工程引き取り(Pull)矢印があります。


Pull矢印
皆さんの工程で採用されている方法を選んでください。
ですが、「Push」つまり、前工程が自分のところに送られてきた「生産スケジュール」でもって、作っては後工程へもっていくというのは、基本的にはLeanの在り方ではありませんので、これらの矢印がいかに丸い方の「後工程引き取り」の矢印に変えていけるかが、改善Project のポイントになります。
仕掛かり
仕掛かりのマークは三角形に「I」(Inventoryの”I”)を書きいれたこちらです。


WIPアイコン
Pushの生産であるならば、工程間の仕掛かり品は、かなり大量にあるのではないですか?
しかもいろんなところに散らばっていたり、場合によっては倉庫まで使っているかもしれませんね。
会計上は、こうした仕掛かりは「資産」になりますが、管理会計上は当然マイナスの意味を持つ(キャッシュを食う)金食い虫=負債です。
システム上のデータなどあてにせず、現地現物で、在庫を数えてみてください。2・3日とか1週間、平均でどの位の仕掛かりが各工程間で眠っていますか?
その数字をこの「△アイコン」の下に書きいれていきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はまず、VSMの中でよく使われているアイコンの、「モノの流れ」編をお送りしました。
先にも書きましたが、大事なことは、チーム全員で現状に対する共通認識を持ち、優先順位や喫緊の問題を明らかにすることです。
状況の「見える化」です。
工程ごとに理解している人はたくさんいても、前工程や後工程、あるいはこのビジネスの頭から最後までをきちんと把握している人は、なかなかいないものです。
このようなお客様の注文から、お届けまでという価値(Value)を生み出す一気通貫の流れを、英語で「Value stream」と呼びます。
それを書き表したものがVSM(Value stream map)ということですね。
皆さんのValue streamにおける、「モノの流れ」はいかがですか?
みんなで描いて、問題点を見える化すれば、改善の芽が見えてきますよ。ぜひ試してみてください。
次回は、「情報の流れ」編をお送りしたいと思います。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!













