「モノと情報の流れ図 (VSM) 」 アイコンの説明2「情報の流れ」編
皆さん本日もお疲れ様です。今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。
さて前回から、「モノと情報の流れ図 (VSM) 」のアイコンの説明を始めました。手始めに「モノの流れ」編をご紹介しております。
ということで第2回目の今回は、アイコンの説明2「情報の流れ」編でございます。
VSMの上段部分にあります、「情報の流れ」を描く際に、よく使われるアイコンに注目してみました。
ぜひぜひ覚えて、「流れによる生産」を支える情報網づくりに活用してください。
情報の流れ
はい、早速前回からお世話になっているこのVSMの例。「ReserchGate」さんというサイトから拝借しております。
見ていただくとわかるように、この上の赤枠で囲まれた部分、お客様、サプライヤーさん、そして自分たちの工程にいろいろと矢印がありますね。
ここでフォーカスしているのは、「情報の流れ」に関する動きです。
まっすぐ矢印


マニュアル伝達
こちらが情報の流れの中でも、マニュアルでやり取りされているもの。
生産計画や出荷の計画は、いまだにマニュアルで現場に伝えられているかもしれません。
あるいは、電話やFAX(!) による受注・発注もこちらの矢印で書くといいのではないでしょうか。そうした前近代的な仕組みは、ミスも生み出しやすいです。
改善ポイントとして、電話なんかのツールの絵を添えておくと、分かりやすくなりますね。
ギザギザ矢印


電子情報
こちらは、ITなどを使った情報の流れの場合に、使います。
Eメールとか、あるいは外部やラインと共有されたシステムで、自動的なやりとりができているようなときに、マニュアル伝達と差異化するため、少し形を変えてあります。
情報ボックス


情報ボックス付き矢印
そしてそうした情報の流れの上に、「情報ボックス」を書き入れておきましょう。
例えば
- お客様からのフォーキャストはどのくらいの頻度で来ているのか
- 受注頻度は?
- サプライヤーさんへの連絡回数
- 生産ラインへのオーダーの出し方・頻度
などがあげられます。
Leanな流れを作り出すために、障害になっているところ、つまり改善が必要な情報の流れやシステムを明らかにすることが目的です。聞き取り調査や「現地現物」でしっかり確認しましょう。
「ReserchGate」さんの例でみると、
サプライヤーさんに、6週間のフォーキャスト、あるいは週次で発注しているようですが、
- もう少し頻度を高めることはできないか
- FAXはなんとかならないか
- 生産ラインへのオーダーは週次でいいのか
こういうことが問題になってきますね。
メガネアイコン
ここでの例には書かれてませんが、「メガネアイコン」なるものが登場することもあります。


メガネアイコン
これは、システムなどで生産オーダーがラインへ出されているにもかかわらず、担当者さんがわざわざ現場に出向いて、生産・在庫状況を目で確認してからまた調整に入る、という行為が現場で行われているとき使います。
突っ込んだ話になりますが、MRPなどで各工程に送られている生産情報というのは、基本的には予測です。
そして予測というものは、生産においては必ず外れます。大なり小なり変動というものがおきてしまうのです。
しかしながら各工程が、自分たちのところへ送られてきた計画によって機械的に作り、機械的に後工程に押し込むようなライン(プッシュシステム)である限りは、これは避けようがありません。
つまりは、変動に関わらず、生産を続ければ必ずムダな在庫が、滞留し始めることになるのです。
これがいわゆる「作り過ぎのムダ」を生み出し、作業者さんの手待ちを覆い隠し、ムダな運搬とムダな在庫スペースをさらに誘発していきます。
必要以上の在庫は、その維持にもお金がかかりますし、賞味期限切れを起こしてしまうかもしれません。
さらには、どこかで不良が発見された場合、その山となった在庫すべてが検査対象です。あるいは、すべてが手直しや廃棄の対象になる。
恐ろしいですね。
「現場を見て微調整」と言えば、「現地現物」のようで聞こえはいいですが、「そもそもその行為自体がムダである」と認識したほうがいいのです。
たかが小さなメガネアイコンですが、いろいろなことを語りかけてきます。ですのでぜひおろそかにせず、しっかりと現状の「見える化」をしてください。
「情報とプロセスの流れ図 (Swim lane)」
ちなみに、おおざっぱにこの情報の流れを書きまして、そこがこの「バリューストリーム」の改善点であると認識された場合は、以前ご紹介した「情報とプロセスの流れ図 (Swim lane)」を使うのがいいでしょう。
こちらの方法は、モノの動きがなく、書類や情報伝達のシークエンスがメインである時効果を発揮します。情報は、精度ももちろん、頻度もとても需要です。これが滞れば、すべてが滞る、といっても過言ではありません。
また、「うちはIT化されているからOK」としてしまうのではなく、システム自体がバリューストリームを支えるよう、しっかり効果的に稼働してるのかを確認するのも重要です。
よくあるのが、IT化ありきで、なんでもかんでも先にシステムを入れてしまい、あとで機能しなくなるという例です。
ITなどのシステムを入れるのは、改善の最後の段階。
まずはきちんと、プロセスが機能するように作り上げましょう。
実際にやってみて、プロセスの不具合などを解消してからIT化していかないと、高いお金を払って使えないシステムを導入、その不具合を人間の知恵と工夫と、そして残業でカバーするなどという、本末転倒なことにもなりかねませんので。
「流れ」を作ってください。そうすれば、最適なシステムや機械が見つかります。おそらくは「シンプルなものに、作業を手伝ってもらう」、という仕組みになってくるはずです。
まとめ
ということで今回は、「モノと情報の流れ図 (VSM) 」のアイコン説明第2回、「情報の流れ」編でした。
先にも書きましたが、情報の流れは「バリューストリーム」の要です。これを機に、流れるようなバリューストリームへと改善を進めていっていただきたいなと思います。
また補足ですが、アイコンは自分たちで作ってしまったっていいのです。
要は、自社内で意思の疎通がはかられ、カイゼン活動がはかどればいいのですから、自分たちの状況に見合ったものを、逐次カスタマイズしていってください。ただ社内ルールは明確にしておいてくださいね。
今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。
ではまた!