ご質問いただきました:「改善部の活動について」

皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。

さて最近、自動車部品業界におられる、KM様からご質問いただきました。今回はそちらに回答する回になります。

改善部の活動、というお話になりますので汎用性も高いと思います。ぜひ一度読んでいただいて、皆さんの活動の参考にしていただければ幸いです。

KM様、ありがとうございます。

ご質問内容

さてKM様からの質問メールでは、以下の現況をご説明いただきました。

  • 今年からタイの工場(400名規模)に赴任し、改善部のマネジャーとして配属
  • 改善部自体が出来てまもない
  • 部員5名の業務内容や業務所掌、目標などが曖昧で、日々の活動にしまりがない

このような中、どのような日々の業務、活動、部員の管理方法を取ればいいのでしょうか?

というのが主な質問内容になります。

また、

部員4名+私で全6プロセスの不良率の改善に取り組んで入るものの、私自身も全プロセスの知識はなく、ヒアリングで勉強しながら、「次はこれをやろう」と場当たり的な指示も多く、なかなかしっくり来ません。

という悩みも抱えていらっしゃるとのこと。

KMさんには、

  • 現地現物ができないので、Generalな回答になってしまうこと
  • 回答はこちらのブログで行うこと

の了解を得ております。

ということで、さっそく私の分かる範囲でお答えしていこうと思います。

部署の方針

出来て間もなく、またKM様自体もプロセスがわかっていないということで、なかなかたいへんなのではとご推察いたします。

出来ることなら、まずは組織と工場全体の中長期戦略の確認から始めることが望ましいです。

が、なかなか現状そこまではということであれば、まずは自分たちの改善部が、5年10年後にどうありたいのかを考えましょう。

またその時に、部署に求められた役割をしっかり達成するために、という視点を持ちます(KM様の場合は、「日本に頼らずとも、分析しカイゼンしていける組織づくり」、という目的が、はっきりされていますね)。

そして部署の達成すべき目的や、中長期戦略を達成するために、この1年で具体的に何をしなくてはいけないのかを考えます。

それがKM様の改善部の、年間の方針になりますね。まずはいわゆるPDCAの、P(プラン)をしっかり立てることです。

実行と評価

そうすると、部として行うことはがはっきりしてきますから、それをKM様含む部署の方5名に割り振りすることになります。

能力や、向き不向き、あるいは人材の成長も考えながら割振ってください。

それに応じて毎日の業務を遂行していきます。

個々のタスクは、さらに細かなアクションプランに落とし込めると思います。個人個人、あるいはタスクによってはチームで行うかもしれませんが、ガントチャートなどで進捗を管理するといいのではないでしょうか。

部として月1など定期的に、進捗確認をしていきましょう。これでPDCAのC/Aの部分がカバーされることになります。

うまくいっていれば良し、うまくいっていないならば、現状の分析とリカバリー案を考えなくてはいけません。

またそれらのタスクの達成のために、個々人はどのようなトレーニングや自己研鑽をしなくてはいけないかも見えてくるのではと思います。1オン1など個人面談で話を聞きながら、進めていくと良いでしょう。

それに応じて、内部での勉強会や外部でのトレーニングなども考えていくことができます。

個々人のタスクの達成がはっきり見えるようになるので、評価・褒賞なども行いやすくなるはずです。

ムダと見える化

部としての活動ですが、「改善活動や企画がメインで、ルーティーンがない」とのこと。「場当たり的」ともおっしゃられていますね。。

本来であれば、工場としてどうしたいのか(中長戦略と方針)に基づいて、問題解決の優先順位を考えていきます。

それがなかったとしても、問題は探せば(あるいは探さなくとも)山のように存在しているはずです。いわゆる7つのムダの視点で、工場全体を見なくてはいけませんね。

それがまだ見えてないということであれば、現地現物でしっかり状況を目で見て調査して確認していきましょう。

流れを阻害しているところはどこなのか? です。

不良率やコスト、生産性などのデータをきちんと見える化して、優先順をつけてカイゼンに当たるのも重要です(80 20 ルール)。

おすすめは、まずはVSM(モノと情報の流れ図)などで、工程を見えるようにすることです。KM様の工場の End to End(バリューストリーム)を図示しましょう。

カイゼンは、全員が行うものです。改善部は、そのお手伝いという立場で行ってください。ですので、VSMはこのバリューストリームに関わる全部署が参加する形で書き上げます。必ず一人は参加してもらうように、各部と調整してください。

品質、仕掛、リードタイムなどの問題点を、バリューストリームに関わる全員で見える化し、そのチームで優先順位に関してのコンセンサスを取ったうえで、個々の問題解決に当たります。

これにより全体最適を目指すことが出来ます。

そこで必要な改善ツールなどのトレーニングをしたり、実行のお手伝いをしてください。

カイゼン活動を究極までシンプルにすると、

  • 状況が見えるようになっている
  • 見える問題・課題を解決する
  • 問題解決を自発的にできる人を育てる

になると思います。

カイゼンツールというものも、要はすべて状況・状態を見えるようにするものです。問題が見えれば、解決できます

組織の目指すあるべき姿(中長期戦略・方針)を踏まえたうえでの、VSM。このように活動を、全体から部分(Broaden->Narrow down…)へとつなげていくことで、一本芯が通ります。

次に何をしようか、と悩む状態は避けられますし、部としての貢献度も目に見えて効果的になっていくことでしょう。

日々の業務

再び「ルーティーンがない」点についてですが、毎月小規模のワークショップを実施したり、カイゼン提案制度を発足・運営するなど、やることは結構あります。

このあたりは日科技連で出している、「QCサークル活動運営の基本」なども参考にしながら推進していくといいのではと思います。カイゼン事務局の在り方が見えてきます。

例えば、第4四半期はその年の反省と戦略調整・次年度の方針策定、年初めにはなるべく1回目のVSMワークショップ、四半期から半年に一度はカイゼンの基本的な考え方やツールのトレーニングを実施、VSMから発生したプロジェクトのためのトレーニングやワークショップ、あるいはそれぞれのフォローアップ、お客様からの苦情やその他さまざまな問題発生へ都度対処と、1年通してやることはいっぱいあるものです。

また改善部として、成果を出したり頑張った人を表彰する制度を考え、マネジメントと共に実行することも、カイゼンへの意識変化のためには重要です。

海外ではカイゼン後の定着もなかなか厳しいものがあると思いますが、フォローアップの仕組みもしっかり作っていかなくてはいけません。

大事なことは、全員が問題に気づきことができ、その問題を率先して解決する人間と仕組みづくりです。

改善部が主に注力するのはこの部分だと、私は常々感じています。

海外カイゼン

もう十分ご存知と思いますが、海外でのカイゼン活動はなかなか特殊な難しさがあります。契約や文化的な面にも配慮しながら、上手に部署・現場の方を扱ってください。

時にはあまりにも分かりあえず、投げ出してしまいたくなる時もあるとは思いますが、かっかせず、彼らが楽しめるような活動にしてあげてください。

カイゼン活動のプロジェクトを、現場の皆さんと進めていけば、プロセスに関しては徐々にわかってきますので、そんなに心配はいりません。

その代わり、現場の問題を解決してあげて、「この人たちは役に立つ」と思ってもらうことが先決です。

カイゼンのツールやフレームワークを教えて一緒に使用しながら、手柄を立てさせてあげましょう。

とにもかくにも、見える化です。繰り返しになりますが、問題が見えるようになれば解決できます。そしてその問題を「問題だ」と思う目を養ってもらう、そして問題があるとわかったら、自分たちで解決できる足腰を育ててあげてください。

信頼は時間をかけて醸成されるもの。なかなか初めのうちは受け入れてもらえないかもしれませんが、

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。」

この精神で取り組んでみましょう。

最近、台湾行政院でデジタル担当をしている、オードリー・タン氏の「デジタルとAIの未来を語る」という本を読みました。

台湾のコロナに関する防疫の成功例として、オードリー氏は、

「少数の人が高度な科学知識をもっているよりも、大多数の人が基本的な知識を持っている方が重要である」

と述べています。

「基礎的な知識を持っている人が多ければ多いほど、情報を再確認し、お互いに意見を出しあったり、対策を考えることができ」るからというのが理由とのことです。

KM様の部署の大きな目標は、工場で働く大多数の方が基本的なカイゼンの考え方・マインドセットを持ち、実行していける人づくりにあると思います。

自ら学び、率先して動ける人の育成、究極的にはこれが目指すべき姿(Vision)であり、そこから導き出される行動の指針(Mission)になるのではないでしょうか?

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回はタイの自動車関連工場で、改善部を率いておられるKM様のご質問にお答えする回でした。

私自身の経験から、頂いた情報をイメージして書いておりますので、現実にそぐわない部分もあるかもしれませんが、そこはご容赦いただければと思います。

ただカイゼン、ないしはCI(Continuous Improvement)という活動の本質は、どの産業・工場であっても共通です。

そこを外さなければ、おのずとやることははっきりしていくと思いますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

今回の記事が、KM様の業務遂行の一助になりますように。ご質問ありがとうございました。

皆さんも、カイゼンに関する質問などありましたら、ご要望フォームからお問い合わせいただけば幸いです。

今日も読んでいただきましてありがとうございました。

コロナ、世界的にまだまだ厳しい状態続いていますが、皆さん体にお気を付けてお過ごしください。

ではまた!

ご質問いただきました:「改善部の活動について」” に対して2件のコメントがあります。

  1. KM より:

    何度も読み直して、実践していきたいと思います。特に、人づくりを念頭に置いて、工程と問題の可視化から確実に実行していきたいと思いました。この度は詳しく教えて頂きありがとうございました。今後も引き続き拝見させて頂きます。

    1. Kusunoko CI より:

      KM様、この度は質問並びにコメントいただきまして、ありがとうございました。
      「モノづくりは、人づくり」。
      ぜひ実践していってください。
      大きく始めず、小さく試しにやってみる、そしてうまくいったら少しずつ拡大ていく、というのがコツかなと思います。
      今後とも当ブログ、よろしくお願いいたします。
      また何かありましたらご連絡下さい。

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