あなたの方針管理はなぜうまくいかないのか

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皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポート、Kusunoko-CIです。

このエントリーを書いている今は某年暮れ。まさに来年の計画を考え始める時期に来ているわけですが、皆さんの組織はいかがでしょうか?

今回は、新しい年を迎えるに当たり、今年の反省と、来年の計画を考えるべく再び方針管理にスポットを当ててみたいと思います。

題して「あなたの方針管理はなぜうまくいかないのか」です。

うまくいかない理由を検証し、実行可能でかつ組織をきちんと導いてくれる方針管理の(あるいは組織の)在り方を考えていきたいと思います。

方針管理の基本

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既に何度も記事を書いていまして、詳しいお話しはそちらを参照していただきたいのですが、方針管理はそもそも品質のための仕組みでありました(TQM)。

お客様の求めるもの=品質、その向上が、モノづくりにとっては必須であるという観点から生まれたのが方針管理。

その目標達成のために、組織内の全員が、同じ方向を向いて仕事をしくためのベクトル合わせをするために考え出されたわけです。

現在では品質のみならず、ビジネス全体に広げて使われています。中長期の戦略達成のため、従業員一人一人の努力を拡散させず、集約させることを目指すためのものですね。True North(トゥルー・ノース:真北)という方もしますが、真に重要な目標を目指すことです。

個々人がやるべきことを理解して、その業務が全体の中で何のためであるのかを理解しながら努力しているのが、組織のあるべき姿ですし、そういう組織は本当に強いです。

いろいろな方法があるのでしょうが、方針管理はそのための仕組みの一つと言えるでしょう。

あなたの方針管理はなぜうまくいかないのか

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ということで、そんな便利な仕組みであるのに、なぜかうまくいかないケースが多々発生してしまう、それも方針管理の一つの特徴です。

さっそくなぜ方針管理がうまくいかないのかをPDCA(Plan 計画, Do 実行, Check 評価, Act カイゼン)のそれぞれの段階に分けて考察してみます。

Plan(計画)の段階

まずはPlanから。

トップ主導・全社的であること

始める前の段階として確認しておきたいことは、こういう仕組み導入が経営層のトップのトップのリーダーシップで行われているかということです。

組織戦略からの年間計画である方針管理も、当然全社的な活動でなければなりません。組織自体が未来に向けて進化していく、あるいは未来に向けての新しい商品・サービスを開発していくための方針管理で、なぜトップ主導でないのにうまくいくと思ってしまうのか

計画から実行、評価と調整(カイゼン)のPDCAすべての段階において、トップが範を示してやっていくことです。

かつ全社的に、です。

それぞれの部署は、それぞれ理由があって存在していますよね。役割を分担しながら業務を遂行することで会社というのは成り立ってるはずです。

方針管理も当然、すべての部署が協調しあって初めてうまくいくものであります。

一部の部署だけで始めたり、あるいは部署間のKPIが相乗効果を産むように設定されていないとうまくいくわけがないですね。

組織図

そしてそもそも組織図は描けているのでしょうか?

たかが図で?と思われるかもしれませんが、組織図を描く時、我々は職務分掌を明らかにすることを迫られます。

職務分掌は英語でdivision of dutiesといったりしますが、シンプルに何をする部署ですか?ということです。

この業務はここ、このタスクはこちらというようにしっかり役割分担が出来ていなければ、当然方針をカスケードダウン(cascade down:段階上に下へ下へと落ちるさま)することはできません。

また、この人は何で組織にいるのだろう? という素朴な疑問にも答えてくれます。すこしバカげた感じがしますが、役割がないのなら組織にいる必要ってないですよね?

それともう一つ組織図の効能として、レポートラインをはっきりさせられることがあります。方針指示をカスケードダウンしていくにあたり、これがクリアでないと、アクションを起こしてくれる下位構造がどこだかわからなくなるのです。

本当にたかが組織図、されど組織図なんですよ。

なんでも突っ込みがち

これも本当によくあるケースなんですが、重要そうだから何でもかんでも方針に突っ込もうとしてしまう。

80 20の法則を思い出しましょう。

成功のためには重点化が絶対に必要です。

組織が使えるリソースには限りがありますよね。本当に重要なこと、Vital Few(バイタル・フュー)に厳選していくことです。

先ほども True North(真に重要な目標)のお話をしましたが、北が10個も20個もあったらどこに向かっていいかわからなくなりますよね。

部署の業務と、あとは会社として本当に重要な機能に関する方針、おそらくコストや品質、人材育成を横串として差し込む。

この辺は、何を重点的にやっていくか、組織によって見解のわかれるところですが、トヨタであれば、品質・人事・原価などが横串に入っているのが下図からも見て取れます。

大事なことは、Vital Fewを明らかにすることです。戦略とは「何をやらないのかを決める」ということでもあります。

日常管理との混同

方針管理は日常管理とは違います。

日常管理は日常管理で、日々のルーティーン業務としてこなしていかなくてはいけない。そちらは製造であれば日常管理板であったり、日々の計画表で進捗を管理していく。

日常の目の前にある仕事は、それはそれでとても重要です。ただそれだけをやっているのでは、進化することはできません。

ちょうど家庭で言えば、日々の暮らしに使うお金と、将来のために備えておくお金(貯金とか投資とか)を別建てで管理していくような感じです。

方針管理に日常業務進捗管理を入れてしまうと、これも何が何だかわからなくなる。

以前、Event typeとSetting Typeという二つの目標設定のお話をしました。

Event typeとSetting Type

この場合で言うとEvent typeは日常業務、Setting typeが方針管理の目標設定の在り方になります。

組織が5年10年のスパンの中で、社会の変化も予測しながらどの位置にこぎつけようと思っているのか。

その旅の中で、今年1年しなければならないことは何なのか。

ですから、方針管理で扱うのは一歩先行くための目標であり、アクションになっていきます。

そこを上手に分けて管理することが必要です。

朝三暮四

せっかく方針管理があるのに、後々あれもこれもと新たなことをやろうとするケース。

それでは何のために1年の目標を作ったのでしょう?

二つのケースが考えられます。

1つ目は、プランニング自体がきちんとできていない場合。

以前ご紹介した3C分析などを通して、きちんと社会・自社・競合の分析をしておくことです。そして必ず、皆さんでキャッチボールセッションをしておくこと。

例えば社長さんであればその下の部長さんたちと共に、向かうべき方向やターゲットの妥当性、リソースなどをしっかり話し合っておくことです。

出来る出来ないは、その時はっきりしてくるはずです。

2つ目は、トップがブレブレである場合。

朝三暮四的に、ころころ変わるトップの元では、方針管理を運営するは意味はありません。

この場合は方針導入など考えず、思うままにやったらいいのではと思います。

それがいいことなのか私にはわかりませんが、勘と行き当たりばったりでも、運が良ければ組織が生き残っていくケースもあるでしょう。

部下の方は、うーん、一応トップを変える努力をしてみて、だめなら身の振り方を考える必要もあるのかもしれませんね。

Do・Check・Act(実行・評価・改善)の段階

次に計画以降の段階を見てみましょう。

計画がしっかりしていれば、実行の段階は割とスムーズにいくはずです。関係部署との根まわしや、PDPC的リカバリープランの設定も行われていますよね。

もちろん何の問題も発生しないというわけにはいかないと思いますが。

ここでよくみられるのは、方針のCheck・Act(評価・改善)をするための、定期的なミーティングが設定されていないケースです。

日々の業務が忙しいのはわかるのですが、このCheck・Actにおける進捗確認と、必要であればリカバリーを確認しあうことなしに、方針管理というのは機能しません。

月毎、4半期、半年に一回と、必ず皆さんで現状を確認する機会を設けてください。

うまくいっているのであればよし、そうでないなら、関係部署ともまた話し合って何らかの手を打たなくてはいけませんね。

そしてもちろん1年が終わった段階でのCheck・Actも欠かせません。1年間の反省です。

計画に無理はなかったのか、予期せぬことが起こったとして、次年度の方針管理設定に活かせる要素はないか、リソースは足りていたのか、補充や調整は必要かなど、この1年の活動と結果を話し合い、より良い方針を策定するための糧としてください。

当然トップによる方針診断というのも行われなくてはいけませんね。これにより中長期戦略の微調整というのも発生してくるでしょう。いずれにせよ問題点が見つかったのであれば、そこをカイゼンしてもっと効率的に目標を達成できるような体制づくりを目指します。

あとまたバカげた話で恐縮ですが、報告の際に嘘をつかないことです。うまくいってないのにうまくいっているという報告を上げ続けるのは愚の骨頂なのですが、これは組織の文化にもよりますよね。

  • 問題を「悪」としてとらえている
  • 問題発生で責めるのはいつも人
  • トップやリーダーなのに責任を取る気がない

こういう組織はあまり先行きも明るくないし、働いていても厳しいでしょうから、できれば他を当たることも検討したいですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は「あなたの方針管理はなぜうまくいかないのか」と題しまして、PDCA時に見られる典型的な失敗例を確認してみました。

このように眺めてみると、方針管理というシステムが、組織の体制をあぶりだす良い「リトマス試験紙」になっていることが分かります。

もっと他に戦略を展開するいい方法があるのなら、私は別に方針管理でなくてもいいとは思っています。

ただ大事なことは、組織をどこへ向かわせていくのか、全員が同じ方向を向いて向上していく仕組みを作ることだと思います。

バランスドスコアカード(Balanced score card)というのもありますが、これだって方針管理から派生したものですし、横串の取り方も大変似通っていますよね。

Vital Fewですよ! そして組織は人です。

今日も読んでいただきましてありがとうございました。

ではまた!

方針管理の本は、あんまり良いものがないのですが、概要をつかむなら。

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