間締めを英語で伝えるには 工程の「7つの流れ」を考えよう!

皆さんこんにちは! 今日もどこかで改善サポートKusunoko-CIです。

さて今日は、英語に訳そうとしても、訳せない、ネットでも見つけられないLean のコンセプト、「間締め」についてのご紹介です、と書く前は思っていたのですが。

そもそもなぜこの「間締め」をしなくてはいけないのか、その理由を説明しないとな、と思い立ちました。

この「間締め」という考え方、ほんの小さな改善トピックのように見えますが、実はかなり大元の工場デザインなんかとも絡んだお話しなのですね。

今回は、「間締め」を英語で伝える術を考えつつ、工場・工程デザインという結構壮大なところへ情報を広げてみました。

「間締め」、「アイデア7 Ways」、そして「7つの流れ」というLeanの考え方のご紹介です。ぜひ参考にして、効率的な工場・ラインを目指してみてください!

「間締め」とは

カイゼンするうえでとても大事な概念は、ムダをなくすということでしたね。

この「間締め」、「間(あいだ)を締める」と書きまして、まずは離れ小島になってしまっているライン間や、作業ステーション間のムダな「間(ま=スペース)」をなくしましょうという改善アクションです。

1つの作業場から、別の作業場の間に移動距離が存在すれば、そこに運搬するというムダが生まれますね。

また、運搬するに当たり、必ず人間思いつくのが「まとめて運ぼう」という考え方。これがとても自然に、まとめ生産へとつながっていきます。こうして場所場所にモノがたまっていく、不必要に仕掛りが増えキャッシュを圧迫します。

また経験したことがあるかもしれませんが、そこに空間があるとモノを置きたくなるのが人情。仕掛かりだけでなく、道具や冶具なんかをいろいろとため込み始めて、5S活動も崩れていきます。

当然安全面からもよろしくない。

あるいは仕掛かりが多ければ、不具合が出た時、そこに溜まったすべてがチェックの対象です。恐ろしいことに、全部が不具合であるかもしれません。

見通しも悪くなって、こうしたムダ(コスト)が、どんどんかさんでいきます。

ざっと書いてみるだけでも、間締めしてない作業場というのは、多くのムダを生みだす温床になることがわかりますね。

ぜひぜひ「間締め」して、生産性・品質アップの第一歩としてください。

7つのムダの優先順位から、その見つけ方まで

7つのムダ 英語で言ってみよう 7 wastes saying in English

間締めを英語で言うと

Photo by Thought Catalog on Unsplash

残念ながら、適切な用語はなさそうです。いろいろ調べてみましたが。

これは「もったいない」という言葉の時も説明しましたが、ないなら変に訳さず、「Majime」と言って、その後説明を加えていくのがいいでしょう。

例えば

  • 「Ma(間)」:space between lines, operators, processes or equipment
  • 「Jime(締め)」:Tightening or make something close

と各々の漢字の意味を分解して伝えてあげてから、

It means, “to reduce unnecessary space in between.” (不必要なスペースを埋めることです)

というような説明をするのがいいかもしれませんね。

この他にも、

  • 平準化(Level loading)
  • 整流化(Stream lining)

などもそれぞれ、もっともらしい英語訳はありますが、若干意味合いが変わってきますので注意してください。

ですので、訳語があるからといって安易には使わず、日本語のまま伝えて、意味を解説していった方がいいですよ。

より深い理解を得てくれるはずです。

もったいないを訳してはいけない! 英語で改善、もったいないと言いたいとき

初めから「間締め」~工場レイアウト

アイデア 7 Ways

Photo by Edho Pratama on Unsplash

さて多くの工場が、こうした間に空いた「ムダなスペース」に悩まされているのはなぜでしょうか?

答えはとても簡単で、レイアウトするときにきちんとデザインしていないからです。

材料となるモノがどこから入り、最も無駄なく工程を抜けて運び出されていくために、どのようなレイアウト・デザインにするのか。

これはトヨタ生産方式で、かなり重要視されている部分です。

工場レイアウトというのは、当然ながらやっちゃってから、ひょいっと直す、というわけにはいかない。

なのでかなり厳密に緻密に、先を見通して考える必要がありますが、そうは言ってもなかなか簡単ではない。

そんな時に威力を発揮するのが、以前もご紹介した「Idea 7 ways」という考え方のフレームワークです。

以前説明いたしましたので、こちらの記事、ぜひご覧になってみてください。

レイアウト変更や失敗できない改善に 7 Ways(テンプレあり)

7つの流れ

また、モノづくりの現場で大切なのは「流れ」を良くすることです。「流れで作る」というやつですね。

流れが悪い、ということはすなわち効率が悪く、いろいろなところに吹き溜まりと淀み(よどみ)が生まれがちだということです。

工場の中を流れるもの、すべてに関してシミュレーションしてみましょう。

その時役に立つのが、以下の7つの視点になります。

  • 原材料の流れ
  • 部品の流れ
  • 製品の流れ
  • 人(作業する皆さん)の流れ
  • 機器・機械の流れ
  • 情報の流れ
  • エンジニアリングの流れ

生産性をあげるには、一個流し生産ラインとそのメリットについて

原材料や部品、完成品の流れ

まずは「原材料や部品、完成品の流れ」です。

標準的な作業はどうなっているのが理想でしょうか? 既に定義されていますか?

それぞれ置き場所や、距離はいかがですか?

コンテナの種類とサイズはもう決まっているのでしょうか? 入数も、ロットの決め方に大きく関与してきますね。

梱包材は必要ですか? であれば、何をどこの段階で用意しておくのでしょう。

コンベヤー、カート、フォークリフトは何台で、どこに配置するべきでしょうか?

人(作業者さん)の流れ

次に「人(作業する皆さん)の流れ」を見てみます。

標準作業のサイクルタイムはどれくらいですか?

作業者さんの体の動きは、しっかり考えられていますか(動作の経済)? 腕、手、頭、目、脚、足…。しゃがんだり振り向いたりさせるような手順になってはいませんか?

「モノと情報の流れ図 (VSM) 」 アイコンの説明3「時間線」編

機器・機械についての流れ

MustangJoe, Pixabay

次は機器・機械についての「流れ」です。

マシンのサイクルタイムは今わかりますか? これも流れの中に位置して、ときには大きな作業者さんの「待ち」を生みだしてしまいますよね。

セットアップ要件はクリアになっていますか?

機械加工は、そもそもどこで必要なのでしょう?

機械を導入するとして、必要なものだけに適したサイズになっていますか? マシンに未使用の機能はありませんか? というかそもそもそれは必要ですか?

機械操作の手順はどうなっていますか?

機械を適切に保守するため、要件に何かノウハウの蓄積はありますか?

機械は購入するのですか、または社内製造ですか?

機械の廃棄物(収集方法、廃棄の仕方・法令、サイズと形状、リサイクルなど)は考慮に入れましたか?

標準作業組合せ票の書き方

情報の流れ

今度は「情報の流れ」です。

どのような情報が必要でしょう? 情報の経路は決まっていますか?

作業者さんが下す決定は何で、どの工程で、いくつの意思決定が必要ですか?

問題が発生した場合、または質問がある場合、作業者さんはどのようなアクションを取ることを想定していますか? また問題の情報はどのように、また誰に伝えられますか?

生産管理やスケジュールなどについて、どのような伝達手段と頻度、正確性を計画していますか?

情報とプロセスの流れ図 Information and process flow (Swim lane)

エンジニアリングの流れ

最後はちょっとわかりづらい「エンジニアリングの流れ」。

必要な冶具や工具は何ですか?

プロセスのコントロールや品質チェックどこで、どのように誰がおこなうのでうすか?

「go / no-go」ゲージはありますか?

はねだし装置(機械から部品を自動的に排出して、作業者さんが機械に仕事をさせるだけで済むようにするメカニズム=自働化)できるところはどこでしょう。

と、このように問いかけるべき質問は泉のように湧き上がってきます。

理想形は、もちろん7つの流れすべてが、調和して機能することです。これらの7つ流れのプロセスの理解から、いわゆる「バリューストリーム」をどう構築するのか。それが物理的なものづくりの流れに大きなインパクトを与えます。

カイゼンの世界では、俗に「デザイン85%、工程15%」などといわれまして、工程でできる改善はほんの15%に過ぎない。多くはすでにデザインの段階で決まってしまっている、という戒めにも似た言葉があります。

工場建てラインを完成した後では、どうしても手直しできない部分というのは出てきます。

どうか前もって、7つの流れの視点から、デザインを考えてみてくださいね。

モノと情報の流れ図(バリューストリームマップ)とは 書き方注意とヒント

自働化と自動化の違い イノベーションも模倣からだ

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は「間締めを英語で伝えるには 工程の『7つの流れ』を考えよう!」と題しまして、間締めという考え方や、工場レイアウトの7つの流れの視点についてのご紹介でした。

もちろんこれらの7つ流れの視点や、アイデア7Waysは、工程を再びレイアウトしなおしたりして効率を上げる改善Projectにも生かせます。

というか、工場設立時にできなかったからといってあきらめることはない。今からだって何かできる方法はあるはずです。

「流れが悪いな」と感じたら、まずは「間締め」の余地がないか考えましょう。

そして、レイアウトを変えられるなら、やってみるのも手です。その時はこの「流れ」の視点でもって、アイデアを最低でも7つは考え、その中のベストなものを適用するようにしてみてください。

「やっちゃったよー!」という大きな失敗はおきません。必ず効率的なラインになるはずですよ。

今日も読んでいただきまして、ありがとうございました。

ではまた!

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